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コード・ネームM【37】


 俺は差し出されたセガールの手を掴もうとしていた。


 その寸前で。

 横から俺の手を掴んで阻止してきた少女がいた。


 長い黒髪を高い位置でツインテールにし、小柄で活発そうなその子は初対面でいきなり俺を睨みつけて言い放つ。


「馬ッッ鹿じゃないの!? あんた!」


 そのまま俺の手を捻りあげる。

 俺は痛さのあまりに悲鳴をあげた。


 朝倉が助けに入ってくる。少女の肩を掴んで、

「何やってんだよ、てめぇ! 俺のダチに!」

 少女は噛み付かんばかりの形相で朝倉に喚きたてた。

「いいからあんたは黙ってて!」

「はぁ!? お前何様のつもりだよ!」

「何様でもないわよ! 通りすがりにあんたの友達を助けてやっただけよ!」

 言い放ち、少女は再び俺に顔を向けて言ってくる。肩の力を抜くようにため息を吐いて、

「これで少しはあんたの目、覚めたでしょ?」


 何のことだよ?

 

 尋ねる俺に、少女は無言で俺の隣を視線で示した。


 視線に沿って俺は隣を見る。

 隣にいたはずのセガールの姿は消えていた。

 少女が俺の手を解放する。


「奴らの言葉を真に受けないで。契約したが最後、二度とこっちの世界に戻れなくなるから」


 戒めるように、俺の額を指で弾いてくる。


「あんたは間違いなくこっちの世界の人間。本当に信じるべき者はいつもあなたのそばにいる」


 少女が俺に向けてにこりと笑う。そしてこめかみに人差し指を当て、言葉を続ける。


「そう。あんたとあたし、それぞれの頭の中にね」


 照れくささを隠すように少女は俺の頭をくしゃくしゃに撫でてきた。


「あたしのコード・ネームはM。興味があったら捜してみて。今度はゲームの世界で会いましょ、K」


 ひらひらと手を振って、ツインテールの少女――Mは、俺の前から去っていった。



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