俺が居るべき世界【34】
その後。
検査で何の異常も見られなかった俺は退院することが決まった。
そして退院日を迎えた今日。
退院手続きや荷物整理の関係で俺と母さんが病院を出たのは昼過ぎだった。
迎えに来た父さんの車に乗り、途中で外食を済ませてようやく家に帰り着く。
荷物を玄関に放って、俺は二階の自分の部屋へ行くとそのままベッドに直行して倒れこんだ。
はぁ。やっぱり自分の家が一番落ち着く。
『明日から学校ってのもだるいしなぁ。よし、じゃぁこのままゲームの世界へ逃げちまおう』
行かない。
『……。なんか最初の時と比べてノリが悪くなってきたな、お前』
さんざん騙しといてよく言うよ。
『俺がいつお前を騙した?』
最初からだ。おまけに目が覚めればこの有様だし、ほんと最悪だよ。
『全部俺のせいだっていうのか?』
そうだよ。今回のことでどんだけ周りに迷惑かけたと思ってんだ? もしあのまま俺が元の世界に帰れなかったらどうなっていたと思う? 父さんも母さんも俺のせいですごくやつれた顔してたよ。俺はもう二度とあっちの世界には行かないからな。クトゥルクの力も俺には必要ない。欲しがっている奴がいればくれてやる。だからもう二度と俺に話しかけるな。わかったか? おっちゃん。
一階から母さんが俺を呼んでいる。
どうやらダチが俺に会いに来たらしい。
俺はベッドから起き上がると、部屋を出て一階へと降りていった。
玄関に立っていたのは朝倉だった。
そういや俺が入院して寝ている時に何度か見舞いに来てくれたんだっけか。
俺は朝倉に向けて手を挙げる。
よぉ。
「おぅ」
朝倉も同じように反応を返してきた。
短い会話で伝わるコミュニケーション。
行くとこはだいたい決まっていた。
俺は母さんに「公園に行って来る」とだけ告げて朝倉と一緒に家を出た。




