コード・ネーム? ナンデスカ? ソレ【31】
俺は白々しく惚けた。そして銀貨を返すようもう一度催促する。
するとそいつは銀貨をさらに隠すように引き寄せて尋ねてきた。
「それって言えないの? それとも言わないだけなの?」
どうでもいいから返せコラ。
「じゃぁお兄ちゃんのコード・ネーム教えてよ。そしたらこの銀貨返してあげる」
「マサキ!」
「あ、ママ」
廊下の向こうから女性の声が聞こえてきたかと思うと、ハイヒールを鳴らして憤怒の形相で走り寄ってくる。
どうやら女性はこの男の子の母親だったようだ。
女性は男の子の前に座り込むと言い聞かせるようにして説教を始める。
「どうしてすぐそうやって人に意地悪するの? 優しい子になりなさいってママはいつも言っているでしょう。その手に持っている物をすぐに返しなさい。お兄ちゃんが困っているのがわからないの?」
そいつ──マサキは「はぁ」とだるそうにため息を吐いてから半ば投げやり気味に俺に銀貨を返してくる。
「返す」
俺は銀貨を受け取った。
彼の母親が俺に謝ってくる。
いや別に、返してもらえればそれでいいです。
マサキは母親に手を引かれて連れて行かれる。
去り際に俺に指を突きつけて、
「絶対お兄ちゃんのこと見つけてやるから」
「こら、マサキ!」
母親に頭を叩かれて去っていくのだった。




