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SR:B 1 -おっちゃんが何かと俺の邪魔をする。-  作者: 高瀬 悠
【第一章 第一部】 異世界編
2/65

異世界体験マジっすか?【2】


 俺は両手や自分の体をじっくりと観察する。

 すげーリアリティ。

 妙に現実味があって、ここがゲームの世界と言われても信じられない。

 試しに腕の肉を掴んでみる。

 普通に痛いし。

 いやマジで?

 俺、マジで異世界に来たのか?

 まるでハリウッド映画の中に入り込んだみたいで、すげーワクワクしてくる。

 服装も靴も、ゲームに合ったファンタジックな感じになっている。

 コスプレというのだろうか? こういうの。

 俺は周囲を見回した。

 街を歩く人も皆自分と同じ、ゲーム世界のような格好をしている。

 よし。この格好に違和感はない。

 俺は自分の格好に自信を持つと、試しに一歩二歩と足を前に進めた。

 風景が本物みたいに流れていく。

 角度を変えても風景の一部が消えたりしない。

 壁に埋もれる不自然な人物もいない。

 まるでというより、これはもう本物の異世界ってやつだ!

 俺は興味本位に近くにあった壁に倒れ掛かると、そのまま壁に抱きついた。

 コンクリの感触がすごく本物だ。

 思わず頬ずりする。

 周囲が白い目で俺を見ているが気にしない。

 そのまま視線を飛ばして街のあちこちを観察する。

 お! あそこにあるのはもしかして武器屋か?

 その向かいは防具屋!

 なんと! あの店では魔法の杖を売ってる!

 ってことは、もしかしてこの世界で俺は魔法が使えるということなのか!

 俺の胸は高鳴る。

 夢なら覚めるな。

 

『お? どうやらこの世界が気に入ったようだな』


 うわー。またあのおっちゃんの声が聞こえてきたー。

 俺は別の意味で現実に引き戻される。


『聞こえないでどうする? ログアウトのやり方も知らねぇくせに』


 ……え? ろぐあうと?


『ログアウトはログアウトだろうが。ゲームの世界だっつったの聞いてなかったのか?』


 聞いてたさ。


『じゃぁわかっているはずだよな? 時間になったら自分でログアウト。現実の時間とここで過ごす時間は同じだということだ』


 ちょっと待て。現実の時間とここで過ごす時間が同じだと?


『そうだ。現実世界じゃお前は寝ている。寝ている時間がここで過ごせる時間だ』


 ……。

 えっと。

 俺は思い出す。

 宿題はあとどのくらい残っていたんだっけ?


『十五分後に起きるんじゃなかったのか?』


 よし。前倒して睡眠時間を先にとろう。午前五時に起きればなんとかなるだろう。


『単純な奴だな、お前。まぁ好きにしろ』


 なぁ、おっちゃん。


『なんだ?』


 一度ログアウトした後でも、またこうやってここに来ることはできるのか?


『そうだな。お前が睡眠休憩して暇だったらまた連れてきてやるよ』 


 

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