アホかー!
なんだろう。最近疲れているのかな?
『テストばかり続いたしな』
そうだよなぁ。その上、徹夜で勉強したにも関わらず全部ヤマは外れたし、勉強勉強と周囲はうるさいし、毎日の宿題の量はハンパないし。
『あーぁ、これじゃまたオンライン・ゲームがおあずけだな』
今の時期はジャカルの森で討伐イベントがあるはずなんだが。
あの魔物を倒せばレベルが上がるのになぁ。
『それは残念だったな』
さっきから変なおっちゃんの声も聞こえてくるし。
きっと相当頭も体も疲れているんだろうな。
俺は、やりかけた宿題の上に倒れこんだ。
机に飾っていた置時計を見つめる。
午後十時二十三分。
『きっとステキな何かが待っている』
待ってねぇよ。
──って、あぁもうダメだ俺。脳内ツッコミなんて完全に疲れている。
ほんの少し睡眠休憩をとろう。
十五分だ。
そう、十五分だけ睡眠をとろう。
俺は静かに目を閉じると、襲い来る睡魔に身をゆだねた。
◆
『おい、聞こえているか? 坊主』
暗闇の中でおっちゃんの声がする。
夢の中ですら、俺は疲れているというのか?
『そんなにゲームがしてぇんなら思う存分やればいいじゃないか』
アホ言え。
成績下げてまでやりたいとは思ってない。
『じゃぁ睡眠しながらゲームをやるってのはどうだ? 両立できていいぞぉ』
じゃぁの意味がわからんが、それでやれたら効率的だな。
『そうか。それなら思う存分楽しんでこい』
……何を?
『ゲームだ』
ゲーム?
俺の目が自然と開いていく。
暗闇から光の世界へ。
差し込んでくる太陽の光に俺は手をかざして影を作った。
徐々に明るさに慣れてきた頃、俺は目の前に広がる世界に驚愕した。
まるで本当にゲームの世界に入り込んでしまったかのように。
中世ヨーロッパな街並みの真ん中で、俺は絶叫した。
「ンな、馬鹿な話があるかッ!」