1‐white&black
少しグロテスクな表現が含まれています。苦手な方は注意してください。あらすじにはあんなこと書きましたけど、そんな真面目な話でもないです(笑)軽い気持ちで読んでください♪
すでに夜は深く、それでもなお人は一向に減る予知を見せない。普通ならば暗闇に包まれているであろうこの時間も人工的に作り出された眩しいほどの光がその常識を狂わせ、ざわめく人々を照らしだしている。
この街は狭い。
派手な衣装で着飾り、見るからに裕福そうな中年と歩いていく女性もいれば、その足元でダンボールの家を並べる者もいる。
青年は駅のホームの端で一人、長椅子にもたれて寝息をたてていた。見た目は十代後半。綺麗な身なりをしているため、ホームレスではないだろう。はたからみれば、家出でもして来て行く場が見当たらずただふらふらと迷いこんできた、そんなふうを想像させる。
普段ならこのような所で寝言を呟くことはまずないが、今日は特別だった。
ふと、今までうつ向いていた頭をあげて、青年は眠そうな目を細く開いた。
「………。」
まだ寝ぼけているのか目の前を通り過ぎる人々の波をぼーっと見つめて、大きなあくびをしながら思いっきり背筋を伸ばした。
「…ぁ。」
その声と共に突然動作が止まる。
彼の脳裏にある人物が浮かんだ。冷や汗がこわばった顔をつたい、それがいっきに彼の頭を覚醒させていくのが分かる。
「やっべぇっ!!!!!」
周囲が注目するほどの大声を出して、青年は走り出した。
電車に乗ろうとする人々とは反対方向に、しかも全速力で走るその姿は異様だったが、その時の彼にそんなことを気遣う余裕などあるはずはなかった。
今思い返せば心からそう思う。
今日のような出来事はもうあって欲しくないと願う。
暗い路地裏に人影が見える。
先ほどの風景とは一転してまるで別世界であるかのようにそこは闇に包まれていた。
男はその闇に溶けこむような黒の服を身に纏い、その姿は遠くから見れば気付かないほどだった。
人が血に染まっている。
その光景は彼にとってさほど違和感のあるものではなかった。
彼の右手には拳銃が握られており、それは彼がこの血だまりを作った張本人であることを示していた。
慣れた手つきで銃をしまい、男はゆっくり口を開いた。
「遅いぞ。」
いつの間にいたのだろう。彼の背後に一人の青年が立っていた。
よく見れば、それは先ほどホームでうたた寝をしていきなり飛び出して行ったあの青年だった。
「悪いっ!…ちょっと、な?」
「ちょっと?」
「い、いろいろあって!」
「ふぅん。」
頭を下げ手を合わせて、焦ったようにそう言う青年とは対象的に男は単調な返事を繰り返す。
「早く来てたんだけどさ…駅で待ってたんだぜ、俺!」
「あっそ。で?」
「だってコウがぜーんぜん来ないから!つい…。」
「ついそのまま寝て、コイツの音で思い出して、やべぇっ!とか言いながらお前にしては精一杯な速度でここまで来たってことか?なぁ、クード?」
先ほど銃をしまった場所を指さして、コウは嫌味たっぷりな口調をクードに向ける。
クードはうつ向いたまま言い返すことが出来ず、声にならない声を押し込めた。
「……。」
「…まぁ、今日は許してやる。」
突然予想外な言葉を聞いて、クードはバッと顔を上げた。
「今日の報酬全部、俺が貰うけどな。」
何を恨むべきか、そんなことは今更もうどうでも良くなった。
ただ、もう一度言おう。
今日のような出来事はもうあって欲しくないと願う。
分かりにくくてすいません((汗…日々精進します↓↓