どうか、このまま。
掲載日:2026/02/01
私は醜い。
鏡を何枚割ったことだろう。
鋭利な牙や爪で、
誰かを傷つけてしまわないか恐ろしい。
大きい布で身を包み、物陰に隠れている。
誰かの温もりも熱も知らないままでいい。
知ってしまったら、すがってしまう。
布にくるまって眠る時、心が安らぐ。
誰かを傷つける恐怖も心配も、
心と体が凍りつくような不安も孤独も、
感じないで済む。
ひっそり涙を流しても、迷惑にならない。
明日、失ってしまうかもしれない命ならば、
どうか、このまま。
悲しいことを言わないで、思わないで。
君は、尊い存在だから。
鋭利な牙や爪は、生き残るために必要だったのだろう。
傷つけられても、私は構わない。
大きい布で隠れないで、
もっと日向に出て来ておくれ。
布で、心の穴や隙間を埋めようとしないで。
息を殺して涙を流しているのなら、
私の手で拭わせて。
温もりも熱も知らないのなら、教えてあげる。
すがりついて来てくれたら、嬉しいのに。
明日、どうなるのかわからない命でも、
どうか、このまま。




