記憶
そして、魔法の特訓を開始してから、半年ほどが経過した。その間に、炎魔法と、土魔法を手に入れることが出来た。だけど、その混合魔法は使えなかった。
だけど、10歳で弱い魔導士だったら圧勝できるくらいの実力を手に入れることはとてもすごい事らしい。
僕をこれ以上強くするためには実際に魔物を狩った方が効率が良いという事で、早速狩りに行こうとしたんだけど、冒険者ギルドにお忍びで登録したかったらしいのだが、折角なら明後日、11歳の誕生日パーティーが終わってからの方がいいと言われ、その通りにした。
そして、今日は一足早い誕生日パーティーをしてもらっていた。
「悪いねえ。貴族たちが集まるパーティーへの参加が認められなくてさ」
ここは、あくまでも王族なのだろう。先生のような畏怖の対象となるような者は近づけさせないのだ。
「いえいえ、父上や母上が厳しいのですよ。昨日なんて、ちょっとスープをこぼしたくらいで、品性がないとか言っちゃって」
「ははは!!王族の天才でもやはり家族喧嘩は起きるのか!!」
「あ、すいません、つい愚痴を…………」
「大丈夫だ!それに、礼儀について言うなら、国王の御子息様にこんな態度取る方がやばいからな!!」
それは、確かにそう思っていた時期もあったが、そういうもんなのかと勝手に解釈していた。
やっぱり駄目だったのか。
「いえいえ、ご心配なく」
「じゃあ、早速、乾杯!!」
まあ、パーティーと言っても、沢山の料理を食べたりする訳じゃない。
ただ、少し飲みながら話すだけだ。あ、そうだ。言っておくけど、お酒は飲んでないからね?
そして、色々な話をする。途中から、先生が酔いつぶれて一方的に話すような感じになってたけどね。
すると、先生は急にまともな話し方に変わる。
「あ、そうだ。私、おまえにプレゼントあるんだ」
「本当ですか!!」
先生からの、プレゼントなんて全く予想がつかない!けど、だからこそ楽しみ!
「ほれ、これやるよ」
そういい、渡されたのは一本の棒だった。
「まあ、そんな顔すんなって。ってか、それ、結構凄い奴なんだぜ?まあ、市販の奴は高かったから、私が直接取りに行ったんだけどね」
へえ、これが、そんなに凄い奴なのか…………。何が出来るんだ?
「明後日くらいから、魔物借りに行くだろ?その時に、記憶削除魔術っていう、厄介な魔術を使う魔物の群れに行く予定なんだ。だから、その対策として、記憶を一時的に保存できる魔道具が必要なんだが、それが高くて。だから、『記憶保存』のスキルを持ってるちょっと特殊な魔物を狩りに行ったんだ。その時にな、そいつが厄介な結界を張ったんだが…………。」
そういい、自慢話が始まるが、僕は適当に相槌をうつだけ、ではなくきちんと聞いている。
こんな格好のつかない姿で話しているが、その話す内容が規格外で、面白いのだ。
「なるほど。そんな敵から取ってきてくれたんですね…………」
「ああ!もっと褒めてもいいぞ!!」
なぜか、酔っ払いに戻っていた。