絡まりあう思惑
「風魔法、神突風」
俺がその言葉を吐くと、遥か上空に居た飛竜が落ちてくる。飛竜は、自分の周りに上昇気流を発生させているだけなので、その気流をレジストすれば、簡単に落ちてくるのである。
「これで、ソロでは初の依頼達成かな?」
俺は、落ちてきた飛竜がきちんと絶命しているかを確認した後に、その死体に近づく。
そして、それを風魔法で浮かし、俺の周りに浮かせる。そして、依頼を受けた際に渡された特大の魔法収納道具に入れる。
どうしても、この入る感覚にはなれないが、まあ仕方がないだろう。
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「すいません、依頼達成の報告に来ました」
俺は、ギルドの受付嬢に話しかける。
「では、ギルドカードと依頼発注証明書を提示してください」
「分かりました」
そして、俺は提示を要求されたものを、二つとも取り出す。
「ありがとうございます。では、確認作業に入るので少々お待ちください」
そういい、受付嬢が奥の部屋に入ってしまったので、俺は、これからの事を考える。
なんか、このまま王都に居るのか、世界を旅するのか。いや、街中で偶然俺の顔を知ってる奴とあったりでもしたら大変だから世界を旅するのが良いか。しかも、楽しそうだし。なんなら、他の国に言っても良いし、ああ!!王子っていうのは、こんなにも可能性を封じ込めるのか!!
楽しみだ!!と考えながらいろいろな妄想をしていた俺に、現実が押しかかる。
「おい、がき。おまえ、Bランク冒険者になったらしいな?だけど、お前にはあっていない。だからCランク冒険者に落としてもらうべきだ」
そっか、今の俺って、子供なのか。そういう外見をしていると、どうしてもこういう風に舐められることがある。多分、こいつにはメリットがないから、本当に心配してくれてるんだろうけど。
「大丈夫だ、心配してくれてありがとう」
そういい、軽くあしらうと、その男はそうか、と言いその場を離れていく。まあ、こんな世界なんだから、無理に冒険者を止めろ、っていう事は出来ないんだろう。いや、ちょっと待て。こいつ、今なんて言った?
「ちょっと待って。ランクって落とすことが出来るの?」
「はあ、やはり知らなかったのか」
「うん。で、出来るの?」
「ああ。出来る。でも、そんな様子じゃ、説明されなかったんだろ?」
「そうだ。でも、なんで?」
「多分、Bランクからの義務を果たさせる為だろうな」
「なんだ、それ?」
「おま、そんなことも聞かされなかったのか⁉」
「はい」
なんか、色々と雲行きが怪しくなってきたぞ?
「Bランク冒険者になったら、その時点で他のギルドへの登録、在籍を禁止されて、さらに高難易度の依頼を受ける義務が生じるんだ。だから、お前をその義務から逃さないための策略だろうな」
「え、それって、本当?」
「ああ。本当だ。だから、冒険者ギルドは、Bランク冒険者から、人数が一気に減るんだ。まあ、その大半がお前みたいに、降格システムを知らずに飼い殺されているんだがな」
え、なにそれ。陰謀論か?いや、こんな世界にそんなものがあるとは思えない。って事は、本当?
俺は、この世界で楽しみたいだけなのに、飼い殺されるなんて嫌だぞ?
「まあ、降格するかは、本人の自由だから、強要はしないがな。もし、降格をしたかったら、多分ここの国のギルドじゃ難しいだろうから、今この国と戦争中の国の方のギルドに行け。そしたら、多分降格が出来るはずだ」
「なんでこの国じゃダメなの?」
「ああ、そうだな。同じ国にあるギルドはそれぞれ、連絡を取っている。だから、そこでお前に降格の事を隠せ、なんて言われてたらお前はそのまま飼い殺されることになるだろうし、もしお前がそのことを知ってても、知らん顔をされるのがオチだろうからな」
「わ、分かった。ありがとう………」
その情報を伝えられて安心したのか、その男は去っていく。にしても、あの人なんだったんだろう?ま。いいか。この依頼が完了したらすぐにこの国を出よう。
「あ、受理が終わりました。それと、Bランクを超えた冒険者は、ランクアップ時に贈与した腕輪を提示する義務がございますので、見せるだけでいいので見せてくれますか?」
これは、多分Bランクを超えた冒険者の動向とか、身代わりではないのかを確認するための作業なんだろうな。
「分かりました」
まあ、今は従う訳だが。
「ありがとうございました。では、飛竜の死体の受け取りを行いますので、依頼受理が完了した際に貸し出した魔法収納道具をお返しください」
「分かりました」
「ありがとうございます」
俺から受け取った魔法収納道具を持ちながら、また奥の部屋に入っていく。また待たされるのか、と思ったが、今度はすぐに出てきた。
「依頼完了の確認が出来ました。こちら、報酬となります」
そうわれ、渡されたのは、依頼発注証明書に書いてあった通り、10枚の大金貨であった。
☆ゲーマス欄
この世界の、お金の価値を説明するわ!この世界には、
・銅貨・大銅貨・銀貨・大銀貨・金貨・大金貨・特別紙幣
があって、銅貨から、大金貨まではそれぞれ10倍ずつ価値が増えていくの。ちなみに、銀貨一枚で、1000円くらいの価値があるわ。だから、大金貨は100万円くらいかしら?
で、特別紙幣は、専用の紙にサインを書いた物を指すわ。ちなみに、もちろん平民のサインが書いてある特別紙幣なんて、価値は無いに等しい。だから、これは大貴族たちの間の取引で使用されるらしいわ。まあ、私も小難しいことは分からないんだけど、おおざっぱに言えば、お金で買えない物を買うときに使う物ね。だから、平民とかは見た事もない人の方が多いんじゃないかしら。
あら、こんなに説明してたら400字くらいになっちゃったわ。まあ、私には関係ないんだけどね!じゃあ、この話はここで終わり!!この話が面白いと思ったら評価とブクマよろ~!!
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