受付
「なるほど、ランクCか…………。そう簡単にはなれないな」
そう、先生が呟く。どうやら、母上からは詳しいことを聞かされなかったようだ。
「はい。どうすれば良いのですか?」
「まあ、普通は薬草を取ったりしてランクを上げてくんだろうけど、一つ、裏技がある」
「本当ですか⁉」
え?裏技?みんな使わないの?あ、そうか。みんなが知ってるような事じゃないから裏技なのか。
「ああ、本当だとも。で、その内容なんだが、冒険者ギルドが用意した試験官との戦闘訓練だ」
「え?なんですか?それ?」
「まあ、まずは聞け。試験官、というのはBランク以上の冒険者との戦闘訓練の最中の動き等のデータから、本来のランクに上げられるっていうシステムだ」
「へえ、そんなシステムあるんですね」
「まあ、私がとあるギルマスに教えてもらった抜け道だけどね」
それって、その人のマイルールじゃないのか?
「じゃあ、早速掛け合ってみますか?」
「お、やる気になった?じゃあ、行こう!!」
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「ですから、いくらAランク冒険者様でも、そんな聞いたこともないような事できませんって!!」
「だから、ギルマスをよべって!!」
「そんなくだらない事で呼べませんよ!!」
「いいから、お前の主観なんか誰も知らねえんだよ。お前よりもギルドの事に詳しいAランク冒険者の話を嘘だと言い、挙句の果てにはAランク冒険者の特権、ギルマスとの会談もできないってのか⁉」
「はあ…………。わかりました。では、ギルマスを呼んで来るので少々お待ちください!」
そういい、腹立たしい様子で去っていく。どうやら、激おこぷんぷん丸らしい。
「なんだ、あのがきは!!最近の受付の野郎は何を学んでるんだ⁉非常識にもほどがあるだろう!!」
先生がブちぎれていた。それもそうだろう。だって、ギルドの頂点、まあSランクの方が上だが、それそうとして、世界でも40人ほどしかいないAランク冒険者であるにも関わらず、無下に扱ったのだ。
そんな無知とも言える行動にキレないはずもない。
だって、先生は今まで一度たりともこういった態度を取られることが無かったのだろうから。
「大変申し訳ございません!!!お前は何をやってるんだ!速く頭を下げなさい!!」
「はあ、もういいよ。で、この子をCランクにして欲しいのだが?」
「いや〜、それは他の冒険者からの反感を買いかねないので………」
「いや、流石に暴論を押し通そうとしているわけではない」
「で、では、何を……??」
「この近くでスタンピードが起きたそうではないか。今はまだ小さいが、ほっとけばあっという間にこの国が滅ぶ程の、な」