第9話 VSテトラークエピガウルス
探索を再開して一時間くらい経ち、俺とアイギスは巨人の腰くらいある扉の前に立っている。
扉は歯車のようなものが仕組まれており、鍵穴は歯車のような形をしていた。
どうやら、そこに歯車をはめれば扉は開きそうだな。
そう思いながら近くに落ちてあった歯車を鍵穴にはめ込む。
すると扉に仕組まれている歯車が一斉に動き、扉が内側に開き出す。
ココに着く前にココの支配者を倒す段取りをして、最初に俺が範囲魔法で雑魚敵を殲滅し、エンシェントの支配者を討伐する。
そうして扉が完全に開いたと同時に詠唱する。
『力の根源よ。今一度、辺りに火の雨を降り注げ! ファイヤ・スコール!』
詠唱し終えると、襲い掛かろうとしていたアルバトロスウルフ達が、火の雨によって燃やされていく。
アルバトロスウルフがバタバタと倒れていくが、一番奥にいる魔獣は火の雨にうんともすんとも言っていない。
茶色の毛皮と鼻に二本のツノが特徴的で、背中に砲台らしきものが生えており、四肢や胴体にはアンキロサウルスのような装甲がある。
どうやらあれがエンシェントの支配者で間違いないだろう。
そう思いながら魔法接続剣と魔力砲盾を構え、アイギスはハルバードを構えながらエンシェントの支配者に接近する。
俺もアイギスの後を追うように向かおうとすると、助言者がエンシェントの支配者について言う。
【気を付けてください。テトラークエピガウルスは魔力を弾丸として発射、強靭な防御力、強力な突進力を持っております】
俺はそれを聞いて心の中でお礼を言う。
助言者、色々とサンキュー!
エンシェントの支配者もといテトラークエピガウルスは俺とアイギスに気づき、背中から濃縮させた魔力弾を俺達に向けて放つ。
俺はアイギスの前に立って詠唱する。
『力の根源よ。今一度、己を守る障壁を生みだせ! マジックウォール!』
詠唱し終えると、目の前に魔力の壁が生み出され、その上で魔力砲盾を前に構える。
濃縮された魔力弾は魔力の壁にぶつかると、魔力の壁を打ち砕いて魔力砲盾にぶつかる。
すると魔力砲盾からとても重い衝撃が襲いかかり、俺は押されない様に両手や両足に力と魔力を込め、あさっての方に放り出す。
「オラァァァァ!」
俺はそう叫びながらあさっての方に放り出し、濃縮された魔力弾はエンシェントの天井にぶつかって爆発する。
ぜぇぜぇ……な、何とか放り出す事ができたな。
そう思っているとアイギスは俺の前に出て、テトラークエピガウルスに接近する。
テトラークエピガウルスは接近してくるアイギスに向け、剛腕を勢いよく振り下ろす。
そうはさせるかよッ!
俺はそう思いながら詠唱する。
『力の根源よ。今一度、鋭利な石の矢を放て! ストーン・ドリルアロー!』
詠唱し終えるとドリルのように鋭利な石の矢を生みだし、テトラークエピガウルスの腕に向けて放つ。
テトラークエピガウルスの腕に鋭利な石の矢が当たり、腕の一部が抉られる。
テトラークエピガウルスは腕を抉られて叫び声を上げる。
「グォォォォォォ!」
テトラークエピガウルスはそう叫びながら、後ろに下がっていく。
アイギスはテトラークエピガウルスが後ろに下がった隙に、テトラークエピガウルスの心臓に向けて技を放つ。
「風牙突!」
アイギスはそう叫ぶと、ハルバードを回転させて突かせる。
するとハルバードの刃に風が纏い、ドリルのように鋭くなっていく。
そのまま矛先が心臓目掛けて向かって行く。
だがテトラークエピガウルスの肌に触れようとした瞬間、突如魔力の壁に遮られる。
その魔力の壁はとても堅く、いくらアイギスが力を込めてもヒビの一つもつかない。
それでもアイギスは苦渋な表情をしても力を込めていく。
クッ、このままだと破壊される恐れがある! 急いで追撃しないと……!
すると助言者がテトラークエピガウルスの倒し方を言う。
【マスター、テトラークエピガウルスの能力は魔力弾と魔力装甲ですが、魔力を魔力装甲に流し込む事で破壊する事ができます】
俺はそれを聞いて頷く。
なるほど、確かに魔力装甲は物理攻撃に対しては強いが、魔力を流し込めればガラスのように容易く敗れるな。
俺は助言者の言葉を聞いて、前のめりになって詠唱する。
『力の根源よ。今一度、風の宝玉を生みだせ! エア・ジュエル!』
詠唱し終えると、手のひらから風の力が込められた宝玉が生み出され、それを足元に向けて叩き付ける。
すると風の力が解放され、俺は風の力によってテトラークエピガウルスに向かって飛ばされる。
俺はとても早い速度に身を感じながら叫ぶ。
「ウォォォォォォ!?」
俺はあまりの速さに驚いてしまうが、アイギスも俺がいきなり近づいてきたことに驚愕する。
俺はアイギスに向かって叫ぶ。
「アイギス、ハルバードを手放して横に避けろ!」
「ハイ、分かりました!」
アイギスは俺の言葉にうなずきながら、ハルバードを手放して横に回避する。
ハルバードが地面に落ちる前に掴み、魔力装甲に向けて突きを放つ。
すると火花が散って甲高い音が響き、俺は気絶しない程度の魔力を魔力装甲に流し込む!
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