第15話 VSストリゲス
アイギスが欲人を抑えているうちに、俺は怪我人の治療を始める。
懐から治療薬と包帯を取り出し、包帯に治療薬を少し濡らしてから傷口に巻く。
すると傷口が緑の光が淡く光り出し、傷を徐々に癒していく。
ある程度治療を終えると、ユウキと呼ばれた青年は起き上がって呟く。
「ウゥ、確かあんたは……」
「俺はグレア、さっきあんたらを助けたんだが、一体何が起きたんだ?」
俺の質問にユウキは仲間に支えられて答える。
「実はさっき襲い掛かってきた欲人はストリゲスと呼ばれて、ゾンビの内一体があいつの縄張りに逃げて、俺たちのところまで来たさせたんだ」
ユウキの言葉に俺はうなずきながらストリゲスを見る。
ストリゲスは中位の欲人だが、奴は縄張りを侵入される事や、夜間だけ暴れる特性を持っている。
その特性で光などの神聖属性の魔法や、エンチャントされた武器などに有効だ。
俺が攻撃できる光や神聖魔法はホーリーショット、ホーリーバースト、ライトアロー、ライトパニッシュメントなどだ。
制御魔眼はレーザーを放つが、魔力を凝縮して放つ攻撃だからな。
俺はそう思いながらアイギスにぶつからない様に気を付けつつ、ストリゲスを狙って詠唱する。
『力の根源よ。今一度、聖なる力を込めた弾丸を放て! ホーリーショット!』
詠唱し終えると指先から聖なる力を込められ、手で真似した拳銃を心の中でバンッ! と思いながら撃ちだす。
すると聖なる力を込められた弾丸が放たれ、白く輝きながらストリゲスの右目を撃ち抜く。
右目を撃ち抜かれたストリゲスは、撃たれた箇所を抑えながら苦しむ。
「きゅぇぇぇ!」
俺はそれを見て拳を強く握り、治療し終えた三人を避難させる。
三人のうち魔法使いと弓使いは立ち上がって、ユウキを背負って避難していく。
これで自分のスキルを使えるな。
俺はそう思いながら詠唱する。
『力の根源よ。今一度、我が身に武装せよ! アーマードオン!』
詠唱し終えると魔導戦術武装鎧と魔法接続剣を武装し、剣を持つ方の手に力を込めて詠唱する。
『力の根源よ。今一度、聖なる力を轟く風と共に切り裂け! ホーリーエアスラッシュ!』
詠唱し終えると魔法接続剣に聖なる光と轟く風が纏い、某運命の夜に出てくる約束されたヴィクトリー剣のよう見えた。
俺はそれを握りながらストリゲスに向かって走る。
ストリゲスはアイギスの戦闘者に苦戦しており、口から呪詛を込めた光弾、両翼から鋭利な爪を駆使して戦っている。
それもアイギスも同じくで、爪から出てくる鉄をも溶かす猛毒に気を付けながら戦っていた。
俺はホーリーエアスラッシュを纏わせた魔法接続剣を構え、戦い合っているアイギスに向けて叫ぶ。
「アイギス、頭を下げろ!」
「ハイ!」
俺の叫びにアイギスは頷きながら頭を下げ。
俺はストリゲスに向けつつアイギスに当たらぬように袈裟切りにする。
もろに受けたストリゲスは腐乱した体液を噴き出して叫ぶ。
「クェェェェ!?」
「よし、追撃だ!」
俺はそう言いながら魔法接続剣の刃を上にするように構えなおし、燕返しと同じ要領で上に切り上げる。
ストリゲスはそれを見て少し後ろに下がるが、接続されている聖なる光と風の刃が放たれる。
聖なる光と風の刃を両翼に受け、切断されたストリゲスは空中に保てず、バタリと地面に落ちる。
これで空中に逃げることは出来なくなった。
そう思いながらとどめの一撃をたたき込もうとするが、突如両翼の断面から数多の骨が剛腕として生え出す。
さらに細い両足に骨を纏って巨人の足のようになる。
クッ……あいつ、体から骨を生え出した上に、両足に骨を纏わせるなんて!
俺は厄介な能力だと思いながら、アイギスが持つ獣牙のバルディッシュの刃に向けて詠唱する。
『力の根源よ。今一度、聖なる光を仲間が持つ武器に付与せよ! ホーリーエンチャント!』
詠唱し終えると聖なる光の球体が、アイギスが持つ獣牙のバルディッシュの刃に付与される。
ホーリーエンチャントをされている間だが、聖獣の牙を武器にしているように見える。
アイギスの容姿とマッチして声を失いそうだ。
しかしストリゲスは強く握って俺とアイギスに向けて振り下ろす。
俺はハッと我に返り、目を輝かせているアイギスに声をかける。
「アイギス、上から敵の攻撃が来るから防いでくれ!」
「分かりました」
俺の命令にアイギスは冷静に答え、獣牙のバルディッシュを構えて叫ぶ。
「獣撃・象牙割り!」
アイギスはそう叫んで獣牙のバルディッシュを、竹を割るように振り下ろす。
ストリゲスの拳とアイギスの獣牙のバルディッシュがぶつかり、そこから魔力の衝撃が放たれる。
魔力の衝撃はとても強く、土埃と突風が発生している。
クッ……戦闘者で強化された腕力と強靭な力がぶつかり合って、とても近づくことができない!
俺はそう思いながら飛ばされない様に、地面に魔法接続剣を突き刺し、魔導戦術武装鎧の剛力を使って耐える。
アイギスの方は獣牙のバルディッシュから火花が出ても、力強く握ったままだ。
ストリゲスもはじかれない様に力を込めているが、骨で出来た拳は徐々にひび割れていく。
このままいけば拳を破壊することは可能だが、とてつもない衝撃で近づくのは難しそうだ。
もし俺の体格が前世ころだったら何とか近づくことは出来そうだ。
そう思いながら悔しんでいると、一筋の矢がストリゲスの剛腕に突き刺さる。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
感想、誤字脱字、ご意見なんでも大歓迎です!




