第11話 レギオン小国
エンシェントの攻略を終えてから六日経った。
俺達は今、プラド達にバレない様に黒いフードマントを羽織りながら、レギオン小国に向かって歩いている。
エンシェントから出たら、レギオン小国に向かうために荷物をまとめ、身元がバレない様に黒いフードマントをスキルで作って向かっている。
レギオン小国は歩いて六日ほどで着くが、俺達はもう一つ考えている。
それは勇者になるため。
だがプラド達に気づかれれば、俺だけじゃなくアイギスまで始末される恐れがある。
そのため国が見えるほどの距離になったら、昨日完成したアイテムを使うつもりだ。
そう思いながら進んでいくと、ようやく林から脱出して辺りを見渡す。
そよ風が草をなびかせ、さわやかな香りが鼻腔をくすぐらせる。
そして白い石で積み上げられた壁が目立ち、数多の旅人が巨大な扉の前に並んでいた。
俺はそれを見てレギオン小国だという事が分かったが、アイギスはレギオン小国の景色を見てつぶやく。
「すごい、とても賑やかですね……」
「あぁ、そうだな」
俺はそれを見てほほ笑む。
小国として呼ばれているが国とギルドの両方が特徴で、様々な冒険者や商人がやってくるからにぎやかに見えるな。
俺はアイギスの純粋さに微笑みつつ、懐から創作者で創作したアイテムを取り出す。
紫と赤のラインが施された黒と紫の仮面で、その名は幻惑之仮面だ。
信頼する仲間以外素顔を見せれば、自分が考えた偽の顔を見せることができる。
マァ、装着者の意志で偽の顔をオンオフする事ができるから、問題ないけどな。
俺は幻惑之仮面のおでこに宝玉を埋め込む。
すると線が光り出し、宝玉から魔法陣が放たれて俺を包み込む。
そしたら俺の姿は黒髪ロングで鋭い目つきのレッドワインが特徴の青年になる。
この姿は俺が日本で生きていた頃、かなりハマったMMORPG・ファンタスティックオンラインで使っていたのと同じだ。
ちなみに名前はグレア、職業は魔導剣豪で、某長い銀髪剣士をモチーフにしているため、いろいろと似ている。
俺がその姿になると、アイギスは首を傾げながらいう。
「それが変装するときの姿ですか?」
「あぁ、宿屋や拠点以外にいるときにこの姿になるし、仮面をつけているときはグレアって呼んでくれよ?」
「わかりました」
アイギスの俺の言葉にうなずく。
よし、これで名身バレする可能性は低く、仮にプラド達とばったり出会っても身バレすることはない。
俺はそう思いながらアイギスと共に長蛇の列に並ぶ。
俺は数多の列に並び、自分たちの番が来るまで待つが……。
「にしても、かなり長いな……」
俺は列の先を見ながら呟く。
ぞろぞろと進んでいるけど、かなり長いなー。
これに対しては様々な理由があるらしい。
一つ目は国王がとても平和主義なこと、二つ目はギルドと連携していること、三つ目はアストラ王国の隣だからだろう。
一つ目の理由は勇者を持つ国が他国を手に入れようと虎視眈々と狙って居るが、これは噂じゃないかと思っている。
二つ目の理由はギルドが組織の一つとして扱われているが、場所によってはあまり人が来ないため、国と連携しているからだ。
三つ目の理由はアストラ王国につくために一時休憩所としてだろう。
しかし勇者を使って戦争を使うなんて、そんなことしたら国が欲人に襲撃される。
マァ、さすがに噂程度だし、そんなのがあったら世も末だな! ハッハッハ!
そう思っているとついに俺たちの番が来た。
門番は書類を持ちながら質問する。
「それじゃあ、さっそく質問するぞ?」
「ハイ」
「出身地は?」
「両方オベリオン連邦です」
「なるほど、次にこの国に来た理由は?」
「ギルドで登録試験を受けるためです」
「そうか、あと交通料の銀貨五枚は持っている?」
「ハイ、持っています」
俺は門番の質問に答えつつ、交通料の銀貨十枚を取り出す。
門番は銀貨十枚受け取り、数え終えて言う。
「うん、ちゃんとそろっているし、怪しいものじゃないから通って良いぞ」
「ありがとうございます」
門番の言葉に俺はお礼を言い、アイギスと共に門を通る。
すると視界に移ったのは、様々な人がにぎやかに過ごしていた。
商人たちが様々な商品を住民に見せ、様々な武器や防具を着た冒険者たちが歩き、子供たちが笑顔で走っていた。
俺はアイギスと共にギルドに向かって歩いているが、人のにぎやかさに驚いている。
「……すっごいな。ある程度聞いていたけど、まさかこれほどとは……」
俺はあまりのにぎやかさに驚き、アイギスは辺りを見ながら感心する。
マァ、魔獣や欲人しかいなかったから、人のにぎやかさを見て驚いているだろう。
そう思いながら歩いていると、ギルドに到着する。
ギルドの外見は木造でできており、中の方はざっくり言えば酒場のようだ。
中は騒がしく飲んでいたり、作戦を考えたり、ほかの人と力比べをしたりなど、様々なことをしていた。
アストラ王国の方は静かな市役所に似ていたけど、こっちの方はにぎやかな酒場なんだな。
俺はそう思いながら扉を勢い良く開けて入る。




