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5.ドランクなパーティー

「久しぶりだな、アレク!」


「お、ヨルー、来てくれて嬉しい!アサに声を掛けておいてよかった。今本当に困っててさ」


「アサから聞いたよ。困ってるって、採取か?竜がたくさん飛んでたけど。あれってDrunk D Rallyのメンバー?」


アレクの所属している『Drunk D Rally』、長いのでドランクと呼ばれているこのパーティーはちょっと特殊な集まりだ。なぜなら職業が竜騎士でないと入れないからだ。朝野から聞いた話だが、パーティーとしての活動はほとんどなく、みんな掛け持ちしたり臨時メンバーとして組んでいるらしい。それくらい竜騎士は引く手数多である。


竜騎士の職業を選ぶと、すぐに竜と出逢うイベントが発生する。どんなものかは明らかになっていないが、イベントが成功すると竜と契約が結べ、召還により呼び出すことができる。なので、呼び出せない状況ならば騎士(ナイト)として戦うことになるのだが、ただの騎士ではない。基本的に竜騎士はMPが高く、使える魔法が多く、スペックは魔法剣士系より高いとされる。好きで生産職を選んだ夜都でも、羨ましいと思っている。

そんな竜騎士が一堂に集まることがあるとは聞いたことがない。そもそも見かけるのが珍しい。飛んでる竜の数だけ竜騎士がいたのであれば10人くらいいるはずだが、夜都がゲーム内で会えるのは朝野だけで、アレクは一度だけ朝野が引き合わせて会ったことがあるだけだ。


朝野がちらっとアレクを見る。アレクも返事をどうしようか迷っているのか無言で助けを求めるような視線を朝野に向ける。



「……。」


「……。」


「…?」



(何この無言。秘密の会合でもやってるのか。ってこの二人よく似てるな、主にシルエットが)


たまたまなのか二人とも身長190センチあるんじゃないかという高身長、重い剣を自在に操れそうな筋肉質でしっかりした体格。騎士が本職ですかって感じだ。髪の色は朝野が深い藍色で、アレクがオレンジが強い金髪。また目の色はどちらも緑がかった透き通った青だ。そして二人とも日本人にして彫りが深い。はっきり言ってうらやましい位イケメンだ。

ちなみに、夜都は明るめの茶髪に鮮やかな緑の目、身長180センチ弱のあまり筋肉がないスラッとした体格。社会人ではできない派手目な茶髪を気分転換にやってみたくて、合わせて目も弄ったのだ。成功したかどうかは、客観的に自分が見れないからわからない。


(でも、このゲームのアバターって、色と髪型以外はあまり弄れなかったよな。体格は不可、顔は少しだけ、年齢は+-五歳だったか。だけど二人とも日本人ベースで作ったとは思えない…)


レアな竜騎士という職業に加え、謎なアバターの二人、気になり出すが、言いたくなさそうな雰囲気で思わず夜都は、「じゃあ、この辺りで採取を始めていいか?」と自分の質問をスルーしてリュックを下ろし、折り畳みの籠を組み立て始めた。


「「あ、ああ…」」


(……二人とも同じ返しか。何か疎外感を感じるな…。)


「――あ、オレも何かないか探してみるわ。ヨル、どんなのがいい?」


「じゃあ、状態異常系で割りと共通して必要となるはずの、アガタ草という草、恐らく稲穂っぽくいがそれよりやや丸い実がついてるらしいやつ探してみてもらえる?アサも知ってると思うけど、見た目が前作と同じなら、っていう推測なんだけどね」


「あ~~稲穂っぽい、か。ここで見たことあるかな」


「じゃ、オレは森の中の方に行ってくるわ。またこっちに戻ってくる。じゃな~」


そそくさと来た道を戻っていくアレク。夜都は、怪しいと思ったがちょうどよかったかもしれない、少し様子見てから後でアサに聞いてみよう、と心に決めた。


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