31.叡智の水晶
この小説って、需要ありますかね?
自分の好みでどんどん書いてますが。よかったらリアクションお願いします!
夜都と大和が冒険者ギルドにクエスト達成の報告とチュートリアル終了の手続きをするとまもなくプレイ時間がmaxの3時間に到達する旨のアラームが鳴った。
せっかく会いにきてくれた夕依に申し訳なく思い、再会の約束をして二人はログアウトした。
…………………
「ふう。確かに疲れを感じるね」
「今回は特に色々あったしな。で?」
夜都は待ちきれない様子で早速切り出した。
「お前、一体何をしてたんだ?」
「見ててわかったでしょ?ゲームの攻略だよ」
「攻略、女の攻略か!?」
「人聞きの悪い……いや、女というかAIの攻略だよ。俺からすれば、何で日比谷がそれをやってないんだ、って思うけれど」
「だってあれはNPCだろ。ゲームの進行をスムーズに行うための機械じゃないか。あんな風に"本当の人間"みたいに扱うなんて……」
「日比谷はわかってない。AI達は、人間と同じ行動、思考をするようプログラムされている。しかも自立型と言われる非常に高度な造りだった。もしかしたら自我に近いものも持ち始めているかもしれない。それなら人として尊重することで、プレイヤーへの対応が変わるのも当然じゃないか」
「ま、まあ……。なるほど。う~ん」
大和が言っていることは理解できるが意識をすぐには切り替えられない。一度受けた印象はなかなか変えることができないのだ。
「まあ、次からは気をつけて接してみてよ。それよりさ、あのユイって子なんだけど」
「あの子に何かあるのか?」
「いや、日比谷、お前、あの子のこと相当気に入ってるでしょ?」
「うわ、わかるか…なんか純粋そうでいい子なんだよ。周りも男女関係なくあの子と仲良くて、みんなの妹?みたいな感じかな。結構年下な気がするから、手を出そうとかそういう気持ちにはならないけど」
「確かに純粋、裏表がなさそうだね。そうなんだけどさ」
「なんだよ、言いにくいことがあるんだな」
「なぜかわからないけど必要以上に罪悪感を感じてそうだった。お前に会いにきた時、なぜ俺たちを見つけられたのかを説明してたけど、こう、言い訳というか後付け理由にみえたんだよね。一気に説明口調で話してたでしょ。まあ、考えすぎかもしれないけど」
「それは!まさか、俺の事が好きとか……?」
いや違う、とバッサリ切られて夜都は少し凹んだ。そして、こいつはこういうところがムカつく、恋愛に関して何でいつもこう自信満々なんだろう、と思いながら睨み返した。
「はっ、もういいよ夕依のことは。それより出掛けないか?今晩泊まっていくんだろ。買い出しにいかないと」
「ああ、今晩も薬草料理できるか試してみる?」
「じゃあ今日は近所のスーパーに行こう」
二人はその晩、鍋料理で実験したが結局普通の鍋のままだった。
…………………………
翌朝、目が覚めてから大和は精力的に動き始めていた。よく寝てすっかり疲れがとれたようだった。
「おはよ、早速だけど情報交換させてほしい」
「朝から元気だな、大和。あ、俺も今朝は力が漲ってる……?」
「こないだのスタミナポーションほどじゃないけど、夜都が作るとポーションの効果が多少出るのかもね」
「後で材料を検証するか。ちょっと色々入れちゃったけど。で、何を始めるんだ」
「ステータスと冒険者カードを作る際の水晶だけど」そう言いながら、大和は書き出していった。
「こちらが俺のステータス、で、あの水晶はこの項目とこの項目を抜き出してカードに転載する。でも実はあの水晶、あ、名前は"叡智の水晶"で、他の項目も見えているらしい」
「えっそうなの?」
「ステータスを全部書き出したから見てくれ」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
name :(J) ヤマ (E) YAMA
job : 魔術師(改)
LV : 5
HP : 300/300
MP : 500/500
ST : 120/120
EN : 80/80
STR : 20
DEF : 25
DEX : 50
INT : 85
MND : 55
特殊能力:
火魔法 … 『火炎』 水魔法 … 『水弾』 風魔法 … 『風陣』『風刃』 土魔法 … 『土槍』 雷魔法 … 『雷撃』 氷魔法 … 『凍結』『解凍』 光魔法 … 『光弾』
闇魔法 … 『暗視』
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「へええ、魔術師のステータスってこんな風になってるんだ。初めてみた。特殊能力多いんだな」
「魔術師のときは四大属性魔法だけだったよ。それも訓練後に会得したけど。で、教官の反応だと、その4つ全部を訓練で会得しなくても修了証は出してもらえる」
「ふんふん。じゃあ優秀なんだな、大和は」
「ありがと。それで初クエストを受けたけど、最初、受付は冒険者カードを見ずにクエストを提案しようとしていたよね。だから提案は基本的に選ぶものではなく、職業で予め決まっている」
「でも彼女は、カードを更新してかなり難易度の高そうなクエストを入れてきた。あの時は言えなかったけど、2.と3.は初出の情報で、恐らく難易度は相当高い。日帰りはできないぞ」
大和はうしろに少し倒れて腕を組んで細く息を吐いた。
「やはりね。カードでステータスをチェックしている。それは職業だけじゃない。恐らく能力のほうだ。少なくとも特殊能力は見ている。魔術師(改)の職業になってても、四大属性以外を会得しているとは限らないんだ。教官に上手く教われたからできたけど、これらの魔法を知らなかったら俺は初心者とは変わらないはず」
「彼女に、ギルドが水晶で他のステータスもチェックできるのか、と聞いたのか?」
「ああ、でも教えられない、とね。まあそれで見えてるってわかるんだけど。俺の予想では全部見えてる。ナビゲーターにステータスを視る方法を聞いたら、運営会社側の一部の権限保持者、とある特殊能力、とあるSSRアイテム、と答えたからね」




