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帰還を拒否した先で見た世界  作者:
最終章 (仮)
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明日の予定



 夕食に満足した竜王たちはお風呂へと向かい岩風呂を楽しみ、お風呂と出た白亜たちはホカホカのまま大きな欠伸をする白亜を優しく抱きながら二階のキャロットの私室へと向かう白夜。

 ビスチェやロザリアにドランたちはクロが提供した簡単なスモークチーズやサラミを口にしながら酒を飲み、キョルシーはウトウトし始めシャロンが抱っこしてカリフェルたちが宿泊するゲストルームへと向かう。

 殆どの者たちがリビングを去り残ったものたちはエルフェリーンとエルカジールの話を聞きながらグラスを傾ける。


「僕は幸せだな~こんなにも多くの友を持ち美味しい食事をしながらお酒が楽しめるんだから」


「うう、確かにそれは羨ましいね。私が開く会食は不思議と皆には緊張感があってあんなに砕けた感じにはならないよ。メヌエットもそう思うだろ?」


「そうですね。エルカジールさまが主催していると会場には多くの権力者が集まりますから……ここもある意味では権力者のトップが集まりますが皆さま気さくな方で、お酒が入っても言い争うような事はありませんでした」


「好きなお寿司の話とかでも喧嘩にはなりませんでしたね~」


「まだすべてのお寿司を食べてないというのもありますが、どれも美味しいので言い争うというよりも感想を言い合って次はそれを食べようという話になりますね」


「寿司ネタの名前も一致していないというのもあるのじゃ」


「ワシは半分も覚えておらんのう……だが、どれも美味かった。次は妻を連れて来るのでまた作ってくれんかのう?」


 お茶を届けに来たクロへドランがお願いすると快く引き受け微笑みを浮かべる。


「キャロライナさんは料理が好きですからお寿司の作り方を覚えたら嵌るかもしれませんね」


「うむ、前はおにぎりに嵌り具の中身を色々と変えて作っておったのう。細かく炒めた肉や魚に野菜を入れたり、蒸した貝を入れたり、おにぎりを揚げたりしたのう」


「おにぎりを揚げるとは斬新ですね! あっ! 天丼のおにぎりというのもありなのかな?」


「天むすはあってもおにぎりを揚げたのは見たことがないな。でも、海外では寿司を天ぷらにする国とかもあったぞ。生が苦手だとそっちの方がウケが良いとかあるのかもな」


「僕は天ぷらならエビが一番だぜ~青歯切れの良い食感と甘さはエビにしか出せないぜ~」


「お寿司にもあったけどホタテの天ぷらとかあるのかな? きっと美味しいと思うんだ」


「あら、野菜の天ぷらも美味しいのは多いわ。なかでもナスやアスパラに玉ねぎとかはどれも美味しくて病みつきになるわね」


「私はちくわが好きですね~うどん屋さんの無駄に長いちくわの天ぷらとか美味しかったですね~」


「ん……甘芋の天ぷらは……最強……」


「厚く切ってシットリしながらもまわりがパリパリで美味いよな。今日も甘芋の天ぷらはすぐになくなったしさ」


 天ぷらを担当したフランとクランは甘芋と呼ばれるサツマイモ系の天ぷらを多く揚げたがすぐになくなり、特に甘いものが好きな白亜やキャロットにビスチェが率先して食べ、その姿に竜王たちも手出しすぐに消費したのだろう。


「魚とかの天ぷらもあったが冷めるとどうしても味が落ちるからな。揚げたてを食べてもらうスタイルだったら天ぷらは最強だろうな」


「揚げ物はどれもそうですね~カラアゲやフライも味見の時が一番美味しいですね~」


「熱々をハフハフするのは美味いよな」


「ん……最強……」


 普段から料理を手伝うアイリーンとフランにクランはその味を知っており思い出しながら笑みを浮かべる。


「温かいのは食べたことあるけど熱々はないかも……」


「人数がいると用意するだけでも時間が掛かりますから揚げたてを食べてもらうのは難しくなりますね。それこそ屋台でもしながらじゃないと揚げたてを食べてもらうのは……」


 揚げたてを食べてないと口にしたエルフェリーンにクロがそれは難しいと話し、笑みを浮かべるエルカジール。


「なら、明日のお昼は屋台で揚げたてを食べさせてくれないかな」


「屋台でですか?」


「ああ、クロとフランにクランが屋台をすれば熱々の天ぷらを食べることができるだろ? 私たちや竜王も揚げたての熱々を口にして本当の美味しさを知りたいよ!」


「うんうん、それは良いね! 僕も熱々の甘芋の天ぷらが食べてみたい!」


「屋台料理なら任せて下さい! 塩焼きそばとから揚げで鍛えられた実績があります!」


「ん……屋台は戦場……」


「成樹祭では二人共大活躍だったものね。あれ以降はペプチの森を訪れるエルフが増えたもの。面倒な老人共も足を運ぶし……」


「うふふ、それでこちらに逃げてきたのですねぇ」


「逃げたのではなくて同じジジイ共に任せてきたのよ! ネチネチとフランとクランにお見合い相手を紹介したいとお願いされたわ。ビスチェにも多くのお見合い相手が話だけじゃなく本人も来ていたのよ」


「私は嫌よ!」


「ええ、分かっているからこうして逃げてきたのよ。ふっ、ビスチェにはクロがいるものね~」


「なっ!?」


「ん……私もいる……」


 キュロットからの弄りにビスチェが驚き顔を赤く染めながら母であるキュロットを睨み、クランは裾を引きながら宣言してクロを驚かせる。


「気持ちは嬉しいが……明日はやっぱりカラアゲと焼きそばの屋台をやるのか?」


「ん……師匠に勝てるとしたら……カラアゲ……」


「焼きそばなら師匠と同等には作れるな。世界樹の精霊さまも美味しいと言ってくれたから自信があるんだ」


「ん……白ワインと一緒に褒めてくれた……」


「なら俺は天ぷら蕎麦の屋台でもやるかな。おいなりさんも大量に作っておけば対応できるだろうし、師匠が求める揚げたての天ぷらも出せるな」


 クロの言葉にパッと表情を明るくさせるエルフェリーン。提案したエルカジールも満足げに頷き、ビスチェは口を尖らせるが皆が喜んでいる姿に視線とその表情も明るくなる。


「ギギギギギ」


(自分たちも参加希望。屋台なら外のキッチンが使える)


「私も屋台を出しますね~七味たちには負けないですよ~」


「ギギギギギ」


(望むところ……と言いたいが料理は何を出すべきか悩む)


「私はお好み焼きですね~バブリーンさんが喜んでくれましたし、エルファーレさまも気に入ってましたから、きっと海竜さまも気に入ってくれますね~」


「確実に勝ちに行く姿勢なのな」


「ふっふっふ、私は勝てない戦いはしませんからね~メリリさんにも勝った実力者ですから」


 腰に手を当てない胸が目立つように胸を張るアイリーン。その姿に見合で笑いお風呂を出た竜王たちがリビングに現れ話に参加する。


「明日はクロたちが屋台を開いてくれるぜ~」


「今日食べた天ぷらを熱々で食べるともっと美味しいらしいから、屋台で熱々料理を出してくれるんだ。提案した私に感謝して食すが良い!」


「それは楽しみです。野菜や魚の天ぷらはほんのりと温かくても美味しかったのに、まだ美味しくなるのですよね?」


「はい、揚げたてなら五倍は美味しいですね~芋系の天ぷらなら三十倍は美味しいはずです!」


 自信満々に言い放つアイリーンだが自身が作るのはお好み焼きであり、天ぷらを担当するクロは苦笑いを浮かべ、同じくカラアゲを担当するフランも竜王たちからの期待する視線にクロの裾を力いっぱい掴み着ていた服を伸ばす。


「今日はゆっくり寝て下さい。屋台は明日の昼までに用意しますので楽しみにして下さいね」


 クロの言葉に竜王たちが頷き、エルフェリーンたちも期待を膨らませるのであった。







 もしよければブックマークに評価やいいねも、宜しくお願いします。

 

 誤字報告ありがとうございます。本当に助かります。


 お読み頂きありがとうございます。


 

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