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帰還を拒否した先で見た世界  作者:
最終章 (仮)
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夕食の準備と争奪戦?



 空がオレンジに変わり始めるとクロはフランとクランと共に片づけをはじめ、アイリーンは白亜とキャロットとメリリに浄化魔法を掛け、へっへしているオモチや途中から参加した小雪やほろ酔いのドランに自称酔ってないという白夜にも浄化魔法を掛け屋敷へと戻る。


「うふふ、今日はあの滑り台の昇り降りで多くのカロリーを消費できました。夕食はヘルシーなお寿司とのことなので食べ放題ですね。うふふ」


 「確かに他の食品などと比べればそうかもしれませんが、お寿司には必ずシャリというお米を使うので食べ過ぎれば確実に太ります。クロ先輩にお願いしてメリリさんにはお刺身にしてもらいますか?」


 アイリーンからの提案に絶望した表情へと変わるメリリ。片付けを終え遅れて歩いてきたクロにもその話は聞こえたようで「それならお寿司は少しにしてお刺身を食べるのも」と提案する。


「ん……天ぷらは高カロリー……」


「どんな料理も食べ過ぎは体に悪いから。適量を食べるようにして運動すれば大丈夫だから」


 クランの言葉に更に絶望し膝から崩れ落ちるメリリをクランが励まし立ち上がらせる。


「低カロリーのおつまみや高タンパクな料理も出しますので大丈夫ですよ。さっきのラム肉とかは脂肪燃焼を促進させるLカルニチンという成分が多くダイエット向きの食品です。今日のようにいっぱい運動していればすぐに痩せることもできますから安心して下さい」


 クロからのフォローもあり、スッと立ち上がり笑みを浮かべるメリリ。


「はい、食べ過ぎないように心がけます。私もキャロットさんのようにたくさん食べても太らない体型を目指したいと思います」


 目指す場所がたくさん食べても太らない体型というのはどうなのだろうと思うクロ。アイリーンやフランにクランも複雑そうな表情を浮かべながら足を進める。


「もっと楽なダイエットがあるわよ~」


 白亜を抱きながらそう口にする白夜。メリリは目を輝かせ「本当ですか!?」と叫ぶ。


「ええ、私はあまりしないけど、水流ちゃんが食べ過ぎた時は水中で魔力を多く使うらしいのよ。水魔法で渦を作り全身を覆うように水流を回転させマッサージするのよ。マッサージの効果で血流が上がり、魔力を多く消費させることで体を絞る事ができると言っていたわ。あの子の名前が水流と呼ばれる由縁みたいなものね」


 古龍種のなかでも海で生活する海竜種の水流。その本来の姿は巨大な龍であり、蛇に似た体の長さを持ち、海を泳ぐ姿を見た者には幸運が訪れると言われている。そんな海流のダイエット方法をばらした白夜は白亜を抱きながら子供の成長を喜んでいた。


「白夜さま、ありがとうございます。これから正確な流行り方を聞いて参ります!」


 そう言葉を残し全力で屋敷へと戻るメリリ。厚着して雪だるまのような姿であってもその素早さは健在であっという間に屋敷へと入る姿に皆で笑い声を上げるのであった。







 クロたちが屋敷に戻るとまだマージャンを続ける組みと、炬燵で寛ぎお茶を飲む者たちに、メリリに言い寄られる水流に別れている。その水流から助けてという視線を向けられたが、クロは軽く会釈をしてキッチンへ入り夕食の準備に取り掛かる。


「夕食はお寿司と天ぷらに簡単な湯豆腐にしましょう。湯豆腐ならヘルシーで高タンパクですからメリリさんも喜ぶと思います」


「ん……天ぷらは得意」


 ムフゥと鼻息を鳴らすクラン。


「里でも天ぷらが流行って油が取れる木の実を増やす話になったもんな」


 フランも里で天ぷらを作り、今まであまり油を使わなかったエルフたちの食生活に影響を与えたのだろう。


「なら、天ぷらは二人に任せるな。野菜中心で頼む。湯豆腐用の出汁作りからだな」


 土鍋を複数用意してその中に昆布を入れて水を張り、七味たちが降りて来ると根がネギと茸のカットのお願いするクロ。七味たちは片手を上げてお尻を振り了承し作業に取り掛かる。


「寿司は魔力創造するとして、お酒はやっぱり熱燗のだよな……」


 そう言いながらトックリに日本酒を注ぎ入れ鍋に水を張り竈にセットすると魔剣で火を起こし温め、立ち上がりリビングの一角で手を合わせ光の筋に包まれている聖女タトーラの姿に「熱燗も追加だな」と口にする。


 トックリを浸けた鍋が沸騰しないよう気を付けながら魔力創造で丸い桶に入れた寿司を創造していると、カットを終えた七味たちはキノコを鍋に入れ薬味の万能ねぎのカットへと移る。


「なるほど、魔力を消費するだけでもダイエット効果があって、体をマッサージすれば血流が良くなり脂肪燃焼の効果もあるのですね! この寒さで海に入ることはできませんがお風呂でなら可能かもしれません! 試してきます!」


 リビングでは水流にダイエットのコツを教わりお風呂へと走るメリリ。やっと解放されたと深い溜息を吐く水流は炬燵へ顎を付け寛ぎ、生暖かい目で他の竜王たちからの視線を受けている。


「白夜が余計な事を言うから面倒事に巻き込まれたではないか……」


 顎を炬燵テーブルに乗せながら白夜へとジト目を向け、向けられた白夜は微笑みを浮かべうつらうつらする白亜を撫でている。


「まあ良いではないか。あのメリリというラミアの悩みなのだろう?」


「あれぐらい脂肪があった方が、男受けが良いと聞いたことがあります」


「ですが、理想とする体型は人それぞれです。それよりもまた神々から神託を受けています……」


 竜王たちの視界の隅で神託を受ける聖女タトーラの姿に呆れ顔を浮かべる夜光。


「神託という名の注文だとクロが言っていたが、毎食奉納しているのか?」


「亜神というよりも神たちのコックね……」


「神として迎え入れられたら、それこそ天界の料理人になりそうです……」


 呆れ顔を浮かべる竜王たち。ただ、その中で連炎だけは微笑みを浮かべリビングからキッチンを見つめており、それに気が付いたアイリーンはニヤニヤとして視線を向けその動向を楽しみ、シャロンは頬を膨らませる。


「シャロンくんもうかうかしてられませんね~」


「あら、それはアイリーンもじゃないかしら?」


「え? 私は……」


 キュアーゼに指摘されキッチンで魔力創造を繰り返すクロへと視線を向け、首を左右に振るアイリーン。


「私には恋愛はまだ早いですね~私的にはシャロンくんと連炎さんがクロ先輩を奪い合う光景が見たいですね~」


「なっ!? ぼ、僕は……」


 こちらは分かり易く頬を染め、キッチンへと視線を向け優しい笑みを浮かべるシャロン。


「ほら見なさい。ビスチェも争奪戦に参加しないと本当にクロを奪われるわよ」


「そ、そうはいうけど……クロと私は姉弟みたいなもので……」


 キュロットに指摘され眉間に深い皺を作るビスチェ。頬を染めるような事はないがアイリーンたちのやり取りに不快感を覚えたのだろう。


「これはフランに任せた方が上手く行くかもしれないわねぇ」


 キュロットは呆れ顔を浮かべ牌を切りメヌエットから「ロン!」と発声が入り振込み、今度はキュロットの眉間に深い皺が入る。


「タンヤオ、三色、ドラドラ、満貫です!」


「くっ!? 娘の恋心なんて心配して損したわ!」


 中々酷い事を言いながら点数を支払うキュロット。同じ卓を囲むエルフェリーンとエルカジールにケタケタと笑われながら南入へと入り、後半生が始まるのであった。








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 誤字報告ありがとうございます。本当に助かります。


 お読み頂きありがとうございます。


 

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