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帰還を拒否した先で見た世界  作者:
最終章 (仮)
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異種族の子作り事情



「ワァーキャーキャー」


「わふっ!」


「楽しいのだー」


「キュウキュウー」


 ココアを飲みながら愚痴をこぼしたメリリはキャロットや白亜にオモチたちに混じり滑り台を楽しんでいる。


「やはりメリリ嬢は嵌ったようじゃのう」


「私も慣れたら楽しめるだろうけど、人化だとやっぱり恐怖の方が勝るわね……」


「私も二度と乗りたいとは……」


 ドランと白夜にグワラは七輪に手を当てながら子供たちが楽しむ氷の滑り台を見つめ、クロは七輪の灯を絶やさないよう気を付けながら思考の海に潜っていた。


 亜神……神さまになるという事……それに加えて寿命が延び、他種族と……はぁ……今までのような関係ではいられなくなるのかな……

 日本じゃ神さまを見るような機会はなかったし、実感が湧かないけど、事実女神さまであるベステルさまから直々に云われると……

 それに、種族を越えて子を成すことができるとか……


 この世界にはハーフというものが存在しない。ハーフエルフなども存在せず、例外はあるが生まれてくるのは必ず母体になった種族である。

 例外の中のひとつが古龍であり、特殊な魔法を使い相手の魔力を受け自身の身に宿すという方法である。古龍種は雌しか存在せず、更に最強種ということもあってか神が生み出す時に制限をかけたためである。が、その制限を白夜たち古龍種は自ら解き放ち子を成すことに成功し、神々との取引により古龍種の代表である七大竜王を含め生まれて来る5頭の存在を許したのである。最大でも三十五頭という頭数が世界に影響を与えない最大数であると神々が決め、今日まで破られることはなく続いている。

 白亜が成人するまでには寿命を迎える古龍もいるだろうと現れた連炎であったが、クロたちに敗れた事や竜王たちの登場によってその意志は弱まり、代わりに今は麻雀に嵌り屋敷で竜王たちと卓を囲んでいる。


 他にも例外として上がるのはサキュバスたちであり、こちらも古龍種に近く男性であるインキュバスの数が極端に少なく、人族などから魔力を受け妊娠するという特殊な方法で数を増やしている。サキュバスと人族で子を成したとしても生まれてくるのはサキュバスであり、サキュバス自体の人口が減ることはなく人族とは共生関係にあると言っても間違いではなく、人族以外にもオークやエルフにコボルトとも夫婦になった例は少なくはない。


「うふふ、麻雀で負けましたが、滑り台で多くのカロリーを消費できました」


「メリリは凄いのだ! ソリを使わなくても早く滑るのだ!」


「キュウキュウ~」


「そうなのだ! 重さは早さなのだ!」


「………………もう一度行ってきます………………」


 キャロットの言葉にまた肩を落とし設置されたシールドの階段を上るメリリ。余計な言葉を素直に口にするキャロットに悪意はなく、白亜も鳴き声を上げて手を振りメリリを見送る。


「メリリさんは自身の体重を気に掛けているからな。キャロットと白亜も気を使うようにな」


 メリリが離れたのを確認してからそう口にするクロ。キャロットは白亜は元気に返事をするとクロが用意した折り畳みのできるキャンプ用の椅子に腰を下ろし、七輪の上で湯気を上げるヤカンを手に取りココアを入れ牛乳を多めに入れて配る。


「熱いから気をつけてな」


「わかったのだ!」


「キュウキュウ~」


 ココアの甘い香りにオモチたちがクロのまわりに集まり鼻をスンスンとさせ、オモチたちにも何か温かい物が食べたいのかと腕組みをして考えていると屋敷からこちらへとやって来るのが見え視線を向ける。


「ココアの香りがしますね~」


「ん……私も欲しい……」


「すご、でっかい氷の山ができてる!」


 アイリーンにクランとフランが現れオモチたちがアイリーンの下へと走りへっへとテンションを上げ、クランはココアの香りに誘われクロの下へと向かい、フランは巨大雪だるまの横にできた氷の滑り台を見つめソリに乗り滑り落ちて来るメリリの姿に目を輝かせる。


「あれ、あれやってもいいのか!」


 氷滑り台を指差しテンションを上げるフランにキャロットは自身が使っていたソリを手渡す。


「あれは楽しのだ! ビューンて滑るのだ!」


「キュウキュウ~」


「結構なスピードが出るみたいだから気を付けてな」


「はい、行ってきます!」


 フランがソリを持ち走りクロが設置したシールドの階段を上り、メリリが滑り落ちそのスピードを楽しみまた頂上を目指す。


「ん……師匠のココア……」


「熱いから注意な」


 ふぅふぅと冷ましながら口にするクラン。アイリーンもオモチたちに囲まれながらココアを受け取り口にする。


「わふっ!」


 そんなアイリーンを見てオモチたちが吠え、やはり何か欲しいのだなとクロは腕を組み考え、アイリーンが口を開く。


「塩分が薄くて玉ねぎを使用していないスープとかだったらあげても大丈夫だと思いますよ~ああ、でも、お湯でもいいのかな? あまり熱くなければ大丈夫だと思いますね~」


「一応は玉ねぎが危険かもと思って小雪やオモチたちの食事には入れてないが、いっそ肉を焼くか?」


 オモチたちへ視線を向けてそう尋ねるクロ。


「それがいいのだ!」


「キュウキュウ~」


「わふっ!」


 キャロットが一番に肯定し、白亜やオモチたちが一斉に鳴き声を上げ、ドランがにっこりと微笑み立ち上がり「酒を取って来る」と走り、白夜も笑顔で「温かいお酒がいいわね」とクロへ視線を向ける。


「えっと、流石に今から飲むのは飲み過ぎに……」


「あらあら、大丈夫よ~お昼も控えて食べたし、古龍がいくら飲んでも酔ったりしないわ」


 そう口にする白夜だが酒で失敗する竜の伝説を多く知るアイリーンは口を開きそうになるが、白夜にジト目を向けられココアを入れたカップを口に付ける。


「でも少量にして下さいね。師匠やビスチェたちまで飲み会に混ざったら、雪の降るなかで酒を飲んで寝落ちして凍死とか困りますからね」


「ええ、大丈夫よ。アイリーンちゃんが浄化魔法を掛けてくれればお酒の臭いも残らないわよね~」


「は、はい、任せて下さい」


 ビシッと敬礼するアイリーン。その姿に白亜が目を輝かせ同じポーズを取り、その後ろを高速で通過するフラン。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁ」


 悲鳴を上げて通り過ぎるフランにテンションを上げたオモチたちが追い掛けゆっくりと停止したフランに群がり毛だまりに変わり、クロは軽く食べられヘルシーなラム肉を取り出して串に刺し塩コショウをして焼き始める。


「……ん? 何のお肉?」


 近くで作業を見ているクランが首を傾げ香ばしい匂いが漂い始める。


「ああ、これはラムといって子羊の肉だな。羊は癖があって苦手な人もいるがヘルシーで焼きたては美味いからな」


「ん……クロ師匠は……みんな美味しい……」


「ラムの串焼きとかあっちで食べたことないですね~ジンギスカンは先日しましたが美味しいですよね~」


「うふふ、ヘルシーならどれだけ食べても問題ないですね~」


 ギラリと目を輝かせる重ね着メリリがぬっと現れ、七輪から登る煙を鼻で吸い込む。


「先ずはオモチたちにですからね。こっちのは味付けしていませんから」


「クロよ、この小さな窯がまだあるなら出してくれんかのう。酒を温めたい」


 メリリに釘を刺しているとドランから七輪の希望がありアイテムボックスから二つほど取り出し炭を入れ、ドランが優しく息を吹き込み炎を吐き火を起こし、クロは鍋に雪を入れ七輪に乗せ雪を溶かしトックリに日本酒を注ぎ入れ溶かし湧いてきたお湯に浸け熱燗の準備をし、いつの間にか列を成して待機するオモチたちにラム肉の串焼きをアイリーンと共に与えるのであった。







 もしよければブックマークに評価やいいねも、宜しくお願いします。

 

 誤字報告ありがとうございます。本当に助かります。


 お読み頂きありがとうございます。


 

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