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帰還を拒否した先で見た世界  作者:
第九章 年末と新年へ
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最近の出来事を報告



「クロ、クロ、肩の鳥さんのお名前は何ですか?」


 アリル王女からの言葉にヴァルが翼を広げテーブルに舞い降りると丁寧に頭を下げ自己紹介をする。


「我が名はヴァルと申します。主様に召喚されしホーリーナイト。主様の剣であり主様に絶対の忠誠を誓う者なり」


 下げていた頭を上げた姿に目を輝かせるアリル王女。その光景を微笑ましく見つめる国王や王妃たち。ダリル王子はヴァルの発言とギャップのある緩い姿に違和感があるのか、隣でクッキーを口に入れるハミル王女の肩を軽く叩く。


「ハミルよ、ホーリーナイトとは教会のなどに描かれている翼の生えた銀の騎士の事だろうか?」


「もぐもぐ……私もそう記憶しています。ヴァルさまの方が可愛らしくて素敵ですね」


「…………………………ああ、そうだな」


「ヴァルは死者の迷宮の褒美? でもあるんですよ。召喚の宝珠と呼ばれるアイテムから召喚しました。本来はシャドーナイトという種族だったのですが女神ベステルさまが属性を闇から聖属性に換えてくれまして今の姿になりました」


「はい、主様の使う女神シールドは完全な聖属性であり神聖魔法の領域です。本来のシャドーナイトであれば我との相性は最悪でした。しかし、創造神さまが我を作り変えて下さり剣として戦うことができるようになりました」


 凛とした佇まいで口にするヴァルの姿にアリル王女は目を輝かせ、入口に立ち警備する近衛騎士も尊敬の念を向けているのか小さく頭を縦に振りヴァルの声に耳を澄まして目を閉じる。


「素晴らしい宝を、仲間を得たのですね」


 お腹の膨らみが目立ちご懐妊しているカミュール第三王妃からの言葉に、クロは「はい」と肯定しアイリーンが抱き締めていた白雪に視線が向くよう手を添える。


「こちらはフェンリルの白雪です。まだ幼く小さいのですがとてもお利巧で、」


「キャン!」


 クロの言葉を被せるように吠える白雪はアイリーンの腕から飛び降りるとヴァルの元へと走り、へっへしながらお座りの体制になり尻尾を揺らす。その姿はまるで自己紹介をクロにさせているかのようである。


「えっと、白雪です。癒しキャラかな?」


「キャン!」


 クロが簡単にまとめると元気な鳴き声とその愛らしい姿にアリル王女はキラキラした瞳を向け尻尾とリンクするように頭を左右に揺らす。リゼザベール王妃も可愛い小雪の姿に席から立ち上がろうとするが、お腹の大きなカミュール王妃を気遣ってか思い留まりテーブルを隔てたままうっとりと見つめる。


≪小雪ちゃんはトイレも決まった所でできるお利口さんです。まだ小さく色々な事に興味があるのか急に走り出す事がありますが危険な所には近づかないですね。夜寝ていると私のベッドに入って来て一緒に寝ていますよ~とってもフワフワで温かくて最高です!≫


 アイリーンの浮かぶ文字に目をキラキラさせていたアリル王女が手を上げて口を開く。


「撫でたいです!」


≪優しく撫でられますか?≫


「はい、頑張ります!」


≪では、優しく撫でて下さいね~≫


 浮かぶ文字を見てパッと笑顔を咲かせたアリル王女が恐る恐る手を出すと、小雪の方から小さな手に近づき右の頬で小さな手に撫でられに行く。


「ふわぁ~ふわぁ~フワフワサラサラです! 可愛いです! 小雪は可愛いです!」


「キャン!」


 幼いアリル王女と幼いフェンリルの小雪のやり取りに国王や王妃は笑顔を浮かべ、エルフェリーンやシャロンも微笑みながらその姿を見つめる。

 メイドたちも城のマスコットであるアリル王女が喜ぶ姿を見つめ微笑みを浮かべ、ハミル王女のカップが空になっているがその事にも気が付かないほどに可愛らしいやり取りに目を奪われていた。


「クロさんのまわりには面白い仲間が増えたのですね」


 クッキーを食べ終えたハミル王女からの言葉に確かにと思うクロ。


「小雪にヴァルにシャロンとメルフェルンも、ああメリリさんもですね」


「僕は別に面白い人ではないと……」


≪シャロン君はキャラとしては最高ですよ! メルフェルンさんの男装姿もグッときました!≫


「私を巻き込まないで下さい……」


 メルフェルンからジト目を向けられ、シャロンはクッキーを口にする解りやすく笑顔を取り戻す。


「キュウキュウ!」


「白亜さまも脱皮したのだ! 大きくなったのだ!」


 キャロットに抱えられている白亜も鳴き声を上げ最近会った事を嬉しそうに報告し、国王もうんうんと頷きながら七大竜王の子である白亜の成長を喜ぶ。


「ほうほう、白亜殿も順調に大きくなっているのだな。ん? そうするとその鱗と革でクロ殿の胸当てを作られたのかの?」


「はい、ルビーが頑張ってくれました」


 クロの白い鱗を使った胸当てに視線を向けていた一同がルビーへと視線を移すとあからさまにガタガタと震え始め、隣に座っていたアイリーンが優しく背中を撫でると揺れが小さくなり≪深呼吸ですよ~≫と文字を浮かべると深く息を吸い吐くルビー。


「ルビーは優秀だぜ~エンチャントも少し覚えたし、刃物の研ぎの技術はドワーフの中でもトップクラスだぜ~素材の良さもあるけど腕が確かな事は間違いないよ~」


「そそそそ、そんな事ないです……私はまだまだです……」


 両手を前にして広げた手を振りながら謙遜するルビー。


「いやいや、その胸当てを見ればわかる。とても丁寧に作られておるよ」


 国王の言葉に頬を染めコクリと頭を縦に振るルビー。するとエルフェリーンが何かを思い出したのか口を開く。


「脱皮で思い出したけど召喚のお宝珠以外にもお宝を貰ったんだろ?」


「貰いましたね。宝箱ごと貰ったので中身は金貨や宝石に指輪や短剣などが入っていましたが、今出しますね」


 アイテムボックスに入れ確認していなかったダンジョン神からの死者の迷宮の褒美を取り出すクロ。宝石が散りばめられた金の宝箱を開けると多くの金貨の間から顔を出す指輪や宝石にペーパーナイフほどの短剣が視界に入り金貨以外を取り出すクロ。一同の視線を集めるそれらを手に取り鑑定するエルフェリーンは笑い声を上げる。


「あはははは、これは宝石に見えるけど魔石だぜ~それとこれは結界の指輪に、こっちは運の上がる指輪だ。この短剣は………………凄いね……再生の短剣だ……再生の短剣は魔力を込めて相手を切りつけると古傷だって治す力があるよ……使い方によってはエクスヒールに匹敵するかもしれないぜ~」


 エルフェリーンの言葉に絶句する国王と王妃。ダリル王子も口を開けたまま固まりその凄さが理解できたのだろう。


「う~ん、私的にはマヨが湧き出る魔道具の方が……」


 ハミル王女が明後日の方向へ向かう言葉を漏らし、クロはある事を思い出す。


「マヨが湧き出る魔道具ではないですが、調味料や料理がダンジョンの宝箱から出現するようになったとダンジョン神さまが言っていましたよ」


「本当ですか!? それは国を挙げてダンジョン攻略に挑むべきですね!」


「チョコは出ますか? チョコは出ますか?」


 ハミル王女は拳を振り上げ宣言し、アリル王女はチョコが出るのかクロへと真剣な瞳を向け、これから兵士の皆さんが大変になるだろうと察するクロなのであった。






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 誤字報告ありがとうございます。本当に助かります。


 お読み頂きありがとうございます。


 

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