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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ミミズバレの五線譜

作者: 夜波 蛍

惰性で見ていたテレビに最近流行りのバンドが映っている。

どうやら新曲を初公開するらしい。

「それでは聴いてくだ…」

司会の女性が振り、演奏が今にも始まりそうだったから慌ててテレビを消した。



「もういいや。寝よう。」

ベッドと毛布の隙間に身体をやや強引にねじ込んだが、その衝撃でベッドの棚にあるカッターナイフが床に落ちた。

今にも壊れそうなアパートの6帖にカッターナイフの落ちる音が無駄に響く。


ふと周りを見渡す。

部屋中に落ちているゴミがこちらを見ている。

埃を纏ったエレキギター。物置に成り下がったピアノ。雑に積み上げられた作曲の教則本。

なけなしの貯金を溶かしてまで買った、作曲用の高性能ノートパソコンは、もう一度開かれるのを諦めたように体に埃を乗せている。

人間であることを何とか維持するために、せめてゴミだけは捨てようとベッドから身を乗り出したが、床に散らばった楽譜に足を取られ盛大に転んでしまった。

「いってえな…。」

忌々しく思いながら楽譜を拾い上げていると、五線譜の書かれていない紙が一枚紛れていることに気付く。

左右反転した文字と白い長方形が透けている。

「なんだよこれ。」

これが何かまるで検討もつかずに裏返す。


「目標!2015年以内にメジャーデビュー!」

そんな若々しさ溢れる文字の下にテープで貼り付けられているのは、昔組んでいたバンド仲間の集合写真だ。今、部屋で埃を纏っているエレキギターが、別物かと見紛うほど手入れされているのが写真越しでも伝わる。


こんなものを今まで踏んづけながら生活していたのか。


新鮮な足型のシワが付いた写真の中にいる、綺麗な腕をした自分と目が合い、思わず目を逸らす。

あのテレビに映っていたバンド、ついこの前メジャーデビューを果たしたらしい。

左腕に彫られた一小節分の五線譜に、人肌並に暖かい水が一粒落ちた。

 「ト音記号だったらレの位置だな。」

ダメだ。考えるな。

考えたくもない事に限ってすぐ頭によぎる。

何かが頬を滑るような、そんな確かに存在する感覚を無視しながら窓から身を乗り出し顔を出す。

冷たい夜風が顔に絡み付き、吐いた白い息が感情を月光に溶かしていくような心地がした。



あぁ、どこで間違えたんだろうな。


夜空が頬を伝っていく。

初めて書いた小説です。

拙くてすみません。

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