ゴーレム闘技場──ゴーレムVSゴーレムの熱い戦いを! いえ、私のコレはロボットです。──
とあるエッセイ読んだら、ロボットモノを書いてみたくなってしまったので、せっかくの機会だからと、練習と息抜きがてら、書いてみました。
説明文多すぎて、微妙に、読みにくい仕上がりですが、設定そのものは面白そうかなぁとか思って書いてました。
━━異世界━━
この言葉に心を踊らせ、沢山のライトノベルやネット小説を読み漁り、いつか自分も神様の手違いで異世界に飛ばされるんじゃないか──
──な~んて事を考えがらも、無事に大学を卒業後、無難に就職して早5年──毎日の事務仕事に追われ、一方で“定時”と言う幻想を追い求め続けている私こと奏坂 瑠李。
今日もおよそ2時間のサビ残を終えて、ようやく家に帰れるわけだが。
さて、今日の晩御飯、何にしようか。
今から買い物して家に帰ったら、21時前になってしまう。
──牛丼でも買って帰るか。
今日こそは、帰ったら昨日借りたDVDを観なければならない!
ずっと貸出中でやっと借りられたのに、昨日は力尽きて寝てしまったから!
なんのDVDかって?
質量を持った残像を発生させるロボが登場するアニメです。
えっ?彼氏?
私にはガン○ムとマ○トガ○ンがいるので結構です。
って言うか、重度なロボヲタのアラサー女子に言い寄ってくる男なんて、コミケくらいでしか見たことありませんが?
どいつもこいつも女と見るや可愛いものとかお洒落なカフェとか恋愛映画とかが好きなんでしょ?なんて幻想を垂れ流して来るのにはもうゲンナリして───はっ!?しまった、闇落ちするところだった。
早く帰って癒しの時間を‥‥‥ん?
なんかあの人、すごい勢いでこっちに向かって走ってくるんだけど。
その手に持ってる、赤い何かが滴ってる銀色のモノは──
「邪魔だぁ!どけぇぇええ!」
死神様のお通りですか?
──ってそんなこと言ってる場合じゃ──あ‥‥
腹部に衝撃──そのままついでとばかりにドンッと突き飛ばされて、横にあったおもちゃ屋さんのショーウインドウを突き破りながら仰向けに倒れこむ。
意識が遠くなっていく私の目に最後に写ったのは、胸の前で両手を組んで突き出した体勢で自分の顔面めがけて落ちてくる、某勇者王の姿だった。
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「───はっ!!?‥‥夢??」
むっちゃ嫌な夢見たんですケド。
誰が好き好んで自分の死ぬ瞬間をもう一度体験したいと思うのかと、私をこの世界にぶち飛ばしてくれた神様を、小一時間ほど問い詰めたい。
──そう‥‥この世界に飛ばしてくれた、である。
私、みんなの憧れ、異世界転せ──転移?を経験することになったのだ。
さっきの夢と同じように、ウィータされた直後、よくあるラノベの例に漏れず真っ白の部屋にいた私は、神様との面談を終えた後、この世界に降り立った。
面談の内容は、いわゆるチートあげるよ?ってやつ。
──その時の話によると、どうやら私、ギリ死ぬ予定じゃ無かったらしい。
じゃあ、なんで死んだかと言うと、“ウィータ”である。
超合金のおも~い勇者王が顔面に落ちてきて、頭蓋骨陥没。
神様からそれを聞いた時に喜びかけた、ロボヲタの自分がほんのちょっと嫌になった。
ともあれ、それがあったからこそ、今こうして充実した毎日が送れているから、特に文句はない。
『ルイちゃーん!起きてるー?』
回想に耽っていると、部屋の扉の向こうから、野太い声が聞こえてくる。
「あ、ギルさん。はい!起きてますよ。」
『オーケー。今日の試合はどうする?』
扉を挟んだままそう聞いてくるのは、ギルさんことギルバートさん。
私が間借りしているこの家の主だ。
今日の試合、たしか賞金も大きかったな──
前回の試合の後のチューンも終わってるし、新しい武装、試してみようか。
「──参加します。」
『了~解!じゃあ朝食準備してあるから、着替えたら降りてきな。』
そう声が聞こえたあと、足音が遠ざかっていく。
「さて、準備しますか。」
三十路に片足かかったヲタ女の着替えや食事シーンなんて、いらないだろうから、軽く今の私の状況を紹介しておこう。
この世界、名をピオーネと言うらしい。
ブドウみたいだが、それはこの際どうでもいい。
そして、今私がいるのが、“決戦都市 ゴートルード”。
この街の最大の特徴は、東西南北と中央にある計5つのコロシアム。
ここで毎日“試合”と呼ばれる、命の奪い合いではない決闘が行われる。
出場するのは、剣と魔法のファンタジー世界のお馴染み、騎士や、グラディエーター───ではない。
出場者は、“魔導師”の作り上げた使い魔──“ゴーレム”である。
そう、魔導師。
みんなの憧れ魔法ですよ!
あの白い部屋で、神様(いわゆる創造神サマだったらしい)からのお詫びとして、少しでも快適にこれからを暮らしていけるようにと、神サマばりの魔力量を手に入れた私。
これだけでもまぁまぁチートなのに、私の持っていた“適性”とやらを活性化してもらったら、“想像具現化”と言うスキル?まで発現した。
これにより私は、創造神並みの膨大な魔力を材料に、自分のイメージを物質や現象として再現、具現化できるようになったのだ。
ちなみに、一見万能に見えるこの能力、私は最初、使えないと思った。
なぜなら───
この世界に降り立って最初にやったことが、テレビとDVDプレーヤーとロボアニメのDVDを作ることだったわけなんだけど。
───オチ、わかりました?
すべて、作ることには成功したのよ?
ただし、テレビは全て、私の記憶に残ってる番組だけ‥‥DVDも、覚えてるシーンだけしか映らなかった。
つまりどういうことか──
死んだことで見れなくなった、アニメの続きは永久に見れないと言うことだ!
マジ役立たず!
特に悪いことはしていないはずの神様に向かって、恨み言を小一時間。
その後、とりあえず寝ようと家を“作り”眠りについたわけだが──
翌朝、えらい騒がしいと思って目を覚ましたら、騎士の集団に包囲されていた。
後から気付いたが、何も無かった草原のど真ん中に、ソーラーパネル屋根の現代的な一軒家が建ってたら、そりゃ警戒するわな。
何せこの世界、中世ヨーロッパ的な世界観だもの。
まぁその後色々あって、一応危険はないと領主様に認めてもらい、その時に、このゴーレムバトルへの参加を勧められたってわけ。
さて、長々喋ってたら、試合の時間がやってきましたよ?
今日の舞台は西のコロシアム。
ここの特徴はとにかく障害物が多い。
いわゆる岩場を再現した闘技場だ。
選手控え室からフィールドへと歩き出す。
観客席は超満員。
これは、掛け金の方でも結構な儲けが出るかな?
フィールドの端に設置された、通称司令席に座り、準備完了。
「さぁ、今日の相手は‥‥」
対角線上にある、相手側の司令席に視線を向けると、それはもう、誰が見てもゴーレムと答えそうな見た目の奴がいた。
とにかくゴツい、鈍い赤茶色のブロンズゴーレム。
金属製なだけあって守備力が高め。
そしてあの異常な程上半身に偏った重心。
間違いなくパワー系のチューンがされてるだろう。
まぁ、この障害物の多いフィールドなら、カウンター狙いでその選択は間違いじゃない。
──でも。
「そんなテンプレチューンで、私のアッシュに勝てるかな?」
そう呟きながら、私は数日かけてチューンしまくった自分の“ゴーレム”を異空間収納から取り出す。
そして、ポケットからとり出した拳大の魔石を両手に握り、目を閉じると、自分のゴーレムと意識をリンクさせた。
膨大な魔力があるからこその裏技。
次に目を開いた私の視点がゴーレムのものになる。
擬似的にゴーレムに乗って操縦するような感じ。
これだけでも、けっこうズルいくらいに強い。
なぜなら普通の魔導師は、司令席から自分のゴーレムに指示を出して相手と戦わせる。
その点私は、直接ゴーレムを操縦するので、指示を出してゴーレムが動くと言うラグがない。
さらに、魔力の節約のために、ゴーレムに魔力充填式の魔道具などを持たせて、擬似的に魔法を使わせることが多いが。
これも私は、この意識リンクの方法により、私の空想具現化の魔法を、直接ゴーレムの体を使って使うことができるのだ。
『さぁ、間もなく試合開始です!カウントダウン!10..9..8..』
───3..2..1..
「いくよ!アッシュ!」
カウントゼロと同時、私が操作するアッシュは、背部に着けたブースターから火魔法で噴出させ、空高く舞い上がる。
どれだけ障害物があろうと、空からならば問題はない。
そのまま、右手で腰の剣を抜きつつ、左手を相手のゴーレムへ向け───
「ロケットロックフィスト!」
───肘から先を射出した。
それを見た相手側の魔導師が何かを叫び、直後、飛んでいったアッシュの左手をはたき落とす。
でも、それが大きなチャンス!
再びブースターを吹かして、相手ゴーレムに急接近。
そして、右手に構えた剣に流体金属を纏わせ、一気に刀身を数倍に巨大化させる。
これぞみんなの憧れ、參○斬艦○!
「一刀両断!」
そのまま、落下の勢いをのせて、相手に叩きつける。
数瞬の後、相手ゴーレムは真っ二つになって、地響きを立てながら左右にわかれて倒れた。
静寂に包まれるコロシアム。
アッシュはゆっくりと残心を解き、元の大きさに戻った剣を腰の鞘に戻す。
──直後。
割れんばかりの拍手と喝采がコロシアム内に響き渡った。
それを聞きながら、私はアッシュとのリンクを切り、自律モードに戻ったアッシュと共に相手魔導師のところへ行く。
「相変わらず、とんでもない戦い方をしてくれる。次から次へと、対策を考える相手の気持ちも、考えたらどうだ?」
「そんなこと言って、楽しんでるくせにー。」
苦笑いしながら文句を言ってきた相手に向かい、ニヤニヤ笑いながら言ってやると、彼は「まぁな」と短く言って踵を返す。
そして──
「次は、あのお化けブレードにも対策してやるから、覚悟していろ。近い内にお前のゴーレムをトップから引きずり下ろしてやるからな。」
「ふふふ──いつでも受けて立つわ。あ、そうそう───」
これだけははっきりさせておかないと。
「──私のアッシュは、ゴーレムじゃない。“ロボット”だから!くれぐれも間違えないように!」
相手の背中に向けて、言いながらも、次の試合のための装備を考えていく。
こうやって、自分の考えたロボットで戦って、賞金を稼ぐ。
こんなに素晴らしい世界に飛ばしてくれてありがとう、神様!
さぁて、次の試合ではどんなロボ武器を再現してみようかな。
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勢いに任せて、深夜テンションの中3時間くらいで書いたので、ところどころおかしな部分がありそうですが、ご容赦ください。
そして、散りばめられたネタがわかった人はきっとお仲間です、仲良くしてください(笑)