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第52話-強者の仕事

酒瓶片手に管制室に現れたヒルダに周りの兵達は慌てて起立と敬礼を行う。

それを手で制したヒルダは1人の兵を捕まえて現在の状況を説明させた。


「以上であります。滞りなく順調かと」


「よし、ありがとよ」


淀みなく現状の説明を終えた兵。それを受けたヒルダは彼の肩に手を置き労った。

そしてそのまま来た方向へと踵を返して行く。


「どちらへ?」


てっきりしばらくは管制室に居る物と考えていた兵士はヒルダの背中へ質問を送った。


「女神様方ん所だ。慣れねぇ兵達には荷が重いだろ」


顔を向けて口角を上げるヒルダの行き先を聞いて兵達は揃って納得してしまった。抑えているとは言えミカゼやエクーラが放つ神力は尋常では無い。経験の浅い兵士では長時間近くに居ると体調に異常を来たす者まで居る程だ。彼女達の地位の高さから来る緊張も相まって確かに一般兵には向いている仕事とは思えない。


「…申し訳ありません。本来は大将殿にして頂く事ではなく我々の仕事ですが…。お気遣い感謝申し上げます」


腰を折って深々と頭を下げる兵士相手にヒルダは振り返らずに手を振って管制室を後にする。


「別に暇だし構わねぇよ」


その言葉を最後に管制室を出て行ってしまったヒルダ。ぶっきらぼうな言動だが部下を想う気持ちは強いらしい。

その証拠に管制室に居る兵達はしばらくヒルダの良い噂話に花を咲かせていた。



◇◇◇



甲板に設置されたテーブルを挟んで椅子に腰掛けてお茶を楽しむ美女2名。そこにヒルダが近づき側で頭を下げた。


「ヒルダです。よろしいでしょうか」


「ふふっ、らしくないですね」


普段あまり見せないヒルダの様子に思わず笑みを溢したミカゼに対して何ともバツの悪そうな表情のヒルダ。誰が見てもこういった態度が苦手そうだ。


「あー…その…」


「あぁ、私も気にしなくていいわよ。ミカゼと同様にして頂戴」


面識の薄いエクーラに気を使っていたらしい。エクーラもにこやかに応じて態度を崩す事を許可するとヒルダは大きく溜息を吐いた。


「はぁ…助かるよ。まぁ一応の報告です。現状何の問題も無く順調に進んでる。先行したバスディも街での細工を終えて合流地点に向かってるみたいだ」


報告を聞いたミカゼとエクーラは満足気に頷く。彼らの実力を把握しているミカゼは特に何の心配もしていなかった。寧ろ彼らの場合は粗暴な性格が故の別の問題の方が発生する可能性が高いだろう。


「そう言えばさっき魔物が居たけれどいつの間にか気配が消えてたわね」


エクーラがふと光を反射する水面に目を向けてそう呟く。普段は船一つ通る事の無い海域の為獰猛な魔物も水中には無数に生息しているだろう。だが特に船に衝撃が走ったような様子も感じなかった。


「あぁそれなら、食糧庫に居る。アイツは揚げると美味いんだ。一瞬で絞めたし鮮度もいい」


事も無げに水中と言うアドバンテージを持つ魔物を片付けたのはヒルダらしい。彼からすれば獰猛な魔物もただの食材としか捉えていない様子だ。


「そうですか。バスディも貴方も流石ね」


「光栄です王妃様」


エクーラの賛辞にわざとらしく頭を下げるヒルダはそのまま2人から離れて船室へと引き返して行った。

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