レース3
最初でつまずいた僕達は、大分後れを取った。
まあ、後ろには僕達と同じような理由で大きく出遅れた人たちも結構いるのだけど、順位としては真ん中よりも少し後ろなくらいか。
メリアは全力で飛ばして前の人達を抜いていく。
おお、速い速い。
僕の全力と変わらない速度でメリアは飛ばしている。
凄いな、メリアがこんなに速かったなんて知らなかった。
これは嬉しい誤算だ。
「メリア、ペース配分を考えないと不味いよ。この先はまだ長いんだ」
「そんなこと言っていられないわ。このままじゃ上位に置いていかれちゃう」
「大丈夫だよメリア。先は長い。逆転の目は必ずある。まずは自分自身に負けないことだ。ここでペースを乱したら先はないぞ」
「・・・分かった」
メリアは渋々ながら同意するとペースを落とす。
それでいい。
先はまだ長いし、これでも十分速いんだ。
「先頭、どれだけ先に行ってると思う?」
「距離は結構離れてしまったかな。でも、時間としてはそれ程差はないと思うよ。十分追い抜ける」
僕が励ますとメリアは悩ましい顔をしていたけど、迷いを晴らすように深呼吸をすると前を向く。
「このままのペースで行くわ。アルフ、ついてきて」
「分かってる。必ず優勝しよう」
同意を示すと僕達は前方に見える選手を発見した。
「メリア、前に二人」
「分かってる。抜くわよアルフ!」
僕達は少し加速して、前方の二人に迫り、距離を詰めていく。
もう一息の所まで来ると、前方の二人も僕達が迫ってきたことに気が付いたようで、向かれまいと大きく杖を揺らして妨害を開始する。
くっ、邪魔な。
「どけーーーーーー!!」
メリアは急上昇をすると、横に並んで飛んでいる二人を軽々とぶち抜いた。
僕もそれに続く。
「やるぅ~」
僕は思わず口笛を吹く。
抜かされた二人は唖然としてそれを見送った。
「いいペースだねメリア。この調子でドンドン行こう」
「当たり前よ。しっかりついてきなさいよアルフ!」
強気なメリアは鼻息を荒くして僕に活を入れる。
イケる、メリアと一緒なら何も怖くない。
更に前方に五人ほど固まっている。
僕とメリアは目配りをして、前方に近づき、ここぞのタイミングで加速すると、前の五人をごぼう抜きにするも、遅れて気づいた抜かれた人達は、杖に魔力を集中すると僕達に向かって一斉に射撃を開始した。
「メリア。どうする? こっちも迎え撃つ?」
「そんな暇はないわ。さっさと距離を取りましょう」
「分かった」
とはいえ、結構撃ってくるな。
このままだと当たる可能性もある。
僕は杖を後ろに向けると、適当に光弾を発射しておいた。
何個か僕の魔術に当たって撃墜する。
よし、もう大丈夫だろう。
僕達は、更に加速して距離を開いた。
「くそ、なんだあいつ。後ろに向かって魔術を」
「あいつ、箒に乗って、杖を手に持ってるのか。くそ、古めかしい箒乗りにあんな利点があったなんて」
「基本、杖に乗りながらだと前方にしか魔術を使えないしな。だが、箒に乗って杖を手に持ってるなら、全方位に乗りながらでも魔術を放てる。箒乗りか。これは真面目に検討したほうがいいかもしれないな」
僕達は何人も抜きまくった。
怒涛の快進撃とはこのことだろう。
ふと、視界の端を見ると、給水ポイントがあった。
ただの水じゃなくて、魔力回復ポーションを置いてある地点だ。
まだ、僕の魔力は切れていないけど、メリアは補給したほうがいいかもしれないな。
「メリア。補給ポイントがあるよ」
「うん。寄っていこう」
僕達は、補給ポイントに寄ると、素早くコップを受け取ると一気に煽った。
「「ありがとう」」
「一位とそれ程距離は離れていません。頑張って」
係の人がそう励ましてくれた。
僕はまだ飲まなくても平気だったけど、水分は補給できたかな。
飛びっぱなしは結構疲れるし、そろそろ、都の外周に入る頃、観客も減るだろうな。
よし、気合を入れ直していこう。




