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メリア参戦

「メリアも杖乗り大会に参加するの?」


「そうよ。悪い?」


 僕は驚いて聞き返すとメリアはそれがどうしたとばかりにしれっと返した。

 悪くはない。

 悪くはないんだけど。


「何よアルフ。授業で見てたでしょ。私、杖乗り得意なの」


「見てたよ。うん、見てた」


 そう、見ていたのだ。

 メリアのあの杖乗りの様子を。

 あれは酷い物だった。


 誤解のないように言っておくとメリアの杖乗りは見事だった。

 僕と同じように旋回したり宙返りをしたりと、実に見事な飛行を見せてくれた。

 それはいいのだが、メリアはなんというか、杖に乗ったとたんに性格が豹変したのだ。

 今でも思い出す。

 甲高い声で笑いながら、全てをぶっちぎってやると言いながら飛び回っているメリアの姿は、鬼か夜叉のようであった。

 ハッキリ言って、二重人格なんじゃないかと思われるほどの豹変ぶりだった。

 僕やリゼ、クラスの皆、先生までもドン引きさせたのだ。

 杖に乗ると性格が変わるタイプなのだろう。

 いわゆるスピード狂というやつだろうか?

 そんなメリアを参加させて本当に大丈夫なのだろうか?

 周りに怪我人を出しやしないかとソワソワするし、何といっても冷静じゃない状態なので、もしかしたら無茶をしてメリア自身が怪我をするなんて可能性もないわけじゃない。

 あんまりメリアには杖乗り大会には参加してほしくないんだけど。


「何よアルフ。言いたいことがあるならハッキリ言ったらいいじゃない」


 眉間に皺を寄せて凄むメリアはちょっと怖い。


「メリア。杖に乗っても冷静でいられる?」


「なによそれ。私はいつだって冷静でしょう? 授業を見ていなかったの?」


「見ていたよ。見ていたから言ってるんだよ」


 この子、自分の豹変具合を自覚していないんだな。


「心配ご無用よ。全てをぶっちぎって私が杖乗り大会を制覇するわ!」


 あ、これもうスイッチ入っちゃってる?

 困ったな。誰もメリアを止められないのか?


「まあまあ、いいじゃないアルフ。アルフが近くで面倒を見てあげれば」


 母さんはそう言うけど、結構危険な大会みたいだし、これは大変な役目を仰せつかっちゃったみたいだな。


「ふふん。アルフが私のスピードについてこれればね」


 言ってくれちゃって。

 そう言われたら僕も後には引けない。

 なんとかメリアに食らいついて、いやいや、追い抜いてやる。

 いや? それじゃあ面倒を見れないのか?

 なんとか横に並んで飛ぶくらいのつもりで行くとするか。


「ところで、本当に箒で参加するの?」


「あ、そうだ。母さん、家で使ってる箒借りるね」


 僕が箒を借りたいと言うと母さんはキョトンとした。


「え、待って待って。アルフは箒で参加するの?」


「そのつもりだけど?」


「アルフ。今は杖乗り専用の杖っていうのがあってね。違うのよ。プロが使う杖乗りの杖と普通の杖じゃ」


「そうなの?」


 僕は首を傾げる。

 まあ、そうか。

 授業でもそんなことを先生が言っていたし、そういう杖もあるのだろう。


「魔力を通しやすくなってて、出るスピードとかが段違いなの。アルフは箒で空を飛べるのかもしれないけど、それでも箒と杖じゃ勝負にならないわよ?」


「む~ん」


 僕は腕を組む。

 それほどまでに違うのか。

 なるほど。


「ふっ、面白い」


「アルフ・・・」


「あちゃ~悪い癖が出た」


「いいだろう。これは現代魔術の挑戦だ。全てを乗り越えて優勝して見せようではないか」


 まずは箒に十分な魔力を通すところから始めるか。

 大会までまだ時間はある。

 ただの箒を飛行用に鍛え上げる。

 そうすれば、多少は使えるようになるだろう。

 なあに、昔の魔術師は皆そうして箒に乗っていたものさ。


「それじゃあ決まりだね。メリアと僕でワンツーフィニッシュを飾るんだ」


「当然私が一番だけどね」


 ふっふっふと、不敵な笑みを浮かべるメリア。

 お手柔らかに。


 その時、食堂のドアが開いた。


「アルフ!」



 やって来たのは伯父さんだ。

 以前、食堂に飛び込んできたときの様に息が荒い。

 また何かあったのだろうか?


「どうしたのお父様」


 メリアが声を掛けるも、伯父さんの注意は僕に向いているようだ。


「例のポーション。丸薬に出来る話は本当か?」


 ああ、あれか。

 うん、結構研究も進んできている。


「今すぐには無理だけど、コツコツ研究しているから、もう少ししたら出来上がるんじゃないかな」


 そう答えると伯父さんはニヤリと笑う。


「もしそれが実現できるんなら、月、二百万ではなく五百万支払うと各所から言われた」


「ご」


「「「五百万!」」」


 五百万貰える。

 月々で。

 なんということでしょう。

 もうこれは大金持ちじゃないか。

 いや、侯爵のおじいちゃんならそれくらいもってるだろうけど、僕の感覚はあくまでも庶民なのだ。


「メイ!」


「肉でございますねアルフ様」


「それを!」


「厚く、でございますね。承知しました」


 流石にメイは分かっている。

 ささっと部屋を後にする。

 杖乗り大会もあるし、これは忙しくなってきたぞおーーー!

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