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剣魔術部

 青春。

 青春の汗か。

 なんとも青臭いが素敵な響きだ。

 そうか、青春か。

 よく考えたら僕は今十五歳。

 青春真っただ中なわけだな。

 なるほど、部活動と言うのがよく分からないが、同じ志を待つ人の集まりなのだろう。

 そんな人達と切磋琢磨しながら汗を流すのも一つの生き方なのかもしれない。


 だがしかし。


「どうだアルフ?」


「うーん。それに入ると何時間も拘束されますよね?」


「まあ、そうだな。朝練に午後錬、休日にも練習はあるな」


 うわぁ、結構ハード。

 そうなると気軽に入るとは言えない。

 僕は申し訳なく頭を下げる。


「すいませんシルベスタ先輩」


「ああ、俺のこともザックでいいよ」


「ザック先輩。僕、この学校で色んなことをやりたいんです。だから、何か一つに一点集中してやるのは時間が足りないと思うんですよね」


「そうなのか? 中途半端になるんじゃないのかそれって」


「そうかもしれません。でも、僕は今、興味があることをなんでも貪欲に吸収していきたいと思っているんですよ」


「ううむ、そうか・・・」


 ザック先輩は顎に手を当てながらしばらく考える素振りを見せる。


「でも、剣魔術に興味はあるだろ? 剣魔術と言った時に前のめりになったのは見過ごさなかったぞ」


「それは、そうですね。興味あります」


「それじゃあ、見学に来てくれないか? どんなものなのかを知ってほしいんだ」


 ふうむ。

 確かにどんなものなのか興味があるのは事実だ。

 見学に行ったから即入部とはならないだろうし、一度覗いてみるのもいいかもしれないな。


「分かりました。じゃあ、見学だけ」


「そうこなくちゃ。それじゃあ早速行こうか!」


 破顔したザック先輩は、ついて来いと言うように空き教室を出ると廊下をずんずん歩いていってしまった。

 慌てて追いかける僕達。


「ねえ、アルフよかったの? 見学なんて言っちゃって」


 メリアが小声で聞いてきたので僕はコクリと頷く。


「うん。興味があるのは事実だから、一度覗いてみようかと思って」


「入る気があるの?」


「ううーん。今のところないかな。さっきも言ったけど僕ってやりたいこといっぱいあるんだ」


 この前からやってるポーションの研究も続けたいし、授業で習っている科目でも興味のあることはたくさんあったから僕なりに研究したいと思っていることは多々ある。


「気軽に見学なんて言っていいのかなぁ。あの先輩、絶対にアルフを入部させるつもりよ」


「そうかもね。でも、見学してみて本当に入りたくなる可能性もゼロではないし、興味があるのは事実だからね。前世にそんな魔術はなかったし」


「確かに、剣魔術が現れたのはこの百年ほどね。それほどポピュラーでもないんだけど」


「そうなの?」


「そりゃそうでしょう。やっぱり戦闘魔術は撃ってなんぼよ」


 確かにそうかもしれないけど、でも、接近されたら剣も必要になることもあるんじゃないかな。

 僕も前世では、腰に短刀を仕込んでいたし。


「私は剣魔術、結構興味あるんだ。あ、入らないけどね」


 リゼはそう言った。

 なるほど、リゼは運動神経もいいからね。


 三人で雑談をしながら歩いていると校舎を出て、ある建物が見えてきた。

 どうやらあそこが魔剣部の練習場らしい。


「ようこそ魔剣部へ、アルフ」


 ザック先輩に招かれて僕達は室内に入った。

 そして、圧倒された。


「とりゃーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」


「ちぇえええええええええええええええええええ!!」


「おらおらおらおらおらおらおらおらーーーーー!!」


 物凄い気合の入った掛け声と共に、あちこちで生徒達が杖をもって打ち合いをしていた。

 わぉ、滅茶苦茶体育系の部活だった。

 僕達三人が唖然としている中で、ザック先輩は頷きながらそれを見ている。

 うわ、結構激しいぞ。

 でも、建物内に魔術の防壁を張っているな。

 これなら直撃してもそうそう大怪我はしないだろう。


「皆一旦止め!!」


 ザック先輩が声を張り上げると、視線が集まり、生徒達は杖を下ろした。


「「「部長! お疲れ様です」」」


 そして全員が綺麗に頭を下げる。

 ザック先輩、部長だったのか。

 それにしても礼儀正しいな。

 そういうところも鍛えられているらしい。


「皆、紹介しよう。アルフ=アルベルトとその友人だ」


 僕は慌てて頭を下げ、メリアとリゼもそれに続く。


「おお、アルフだ」


「見たぞこの間のグジーとの戦い」


「あ、あたしはゴーダ君との戦いで胸が熱くなってぇ」


「もしかして入部してくれるのか?」


 生徒達が代わる代わる声をかけてくる。

 よく見たら一年生もいて、僕の知り合いもいた。

 ほうほう、結構人数もいるらしい。


 パンと、ザック先輩が手を叩く。


「静粛に。一応アルフは今、見学ということでやって来ている。まあ、あまり我が部に入るのに乗り気じゃないらしいが、それでも見学に来てくれたんだ。お前ら良い所見せろよ」


「なんだよ、アルベルト。入るんじゃないのかよ」


「なあ、入ろうぜアルフ。俺達とやろうぜ」


 お、おおう。

 結構来るな。

 圧が、圧が凄い。

 こう、熱量が凄い。


「まあまあ、今日のところは見学に来ただけだからそれくらいにしておいてやってくれ。とは言えアルフ」


「はい、なんですかザック先輩」


「ただ見てるだけだと退屈だろう? やってみないか、剣魔術」

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