アルフ対グジー1
「アルベルト君は本当に困ったものですね」
やはりミネルヴァ先生に怒られた。
いや、怒られたという表現よりもお小言を言われた感じだろうか。
これで陰でコソコソとやっていたら本当に怒られたんだろうけど、なんとかベストとはいかないまでもベターな解決策を用意できたと思う。
「先生。僕、思うんですけど、僕が悪いんじゃないんです。なんか周りが勝手に僕を巻き込むんです」
さっきもメリアとリゼに言ったセリフを先生にも言っておくことにした。
うん。僕は悪くないと思う。
まあ、目立ったのは事実だろうけど、だからって別に粋がっているわけではないし、図に乗っているわけでもない。
あのグジーって先輩が勝手に勘違いして勝手に怒って喧嘩を売ってきただけなのだから。
最初に悪目立ちしたのだってクラウスが騒いだからだし、僕としては平穏に学校生活を送りたいのだけどなあ。
まあ、魔術に関しては色々とやりたいし、それが結果として騒ぎになってしまうのであれば、それは受け入れるしかないとは思うけど、今回の件はそれとは違うだろう。
ミネルヴァ先生はため息一つ。
「解ってますよ。話を聞く限りだとグジー君が一方的に絡んできたみたいですし、彼は色々と問題児でしてね。学校内外で問題を起こしているんです」
「先生。あんな奴退学にしてくださいよ。私、あいつにひどいことされたんです」
メリアは未だにスカートめくりのことを根に持っており、先生に訴えた。
「そうですね。アルベルトさんの被害報告は立派な婦女暴行罪ですから、厳正な処分が必要になるでしょう」
こういう時だとやはり女の先生は強い。
一緒になって怒ってくれるからね。
「ただ、スカートめくりだけだと退学までは厳しいかと。職員会議にかけて、三日間の謹慎くらいに収まるでしょうか」
「はぁ!? 乙女のスカートをめくったんですよ? 大人がやったら絶対捕まる案件じゃないですか!」
「まあ、子供の内はっていうことなんでしょうね」
「納得できません!」
メリアはぷんぷんに怒っている。
僕も紳士としてあのスカートめくりは許せないかな。
「安心してメリア。僕が一発かましてやるからさ!」
僕は握り拳を作ってメリアを諫める。
「あまりやりすぎないようにねアルフ。素行の悪い人間とは言え、相手は一般生徒だ」
リゼにそれとなくやりすぎ注意を言い渡されてしまった。
うん、上級生とはいえ相手は一生徒だからね。
以前倒した黒炎よりも強いってことはないだろう。
「アルベルト君。この杖を使ってくださいね」
ミネルヴァ先生は長めの杖を僕に渡した。
以前も使った魔法の出力を抑える杖だ。
こっちの方が使いづらくて僕としては使い慣れている短い杖の方が戦いやすいのだけど、決闘の正式なルールと言われてしまっては致し方ない。
「前のクラウスとの決闘みたいに、あっちだけ実戦向けの杖じゃないですよね?」
前はそれで危うい目に合ったから確認しておかなければ。
「安心してください。あっちにはゴイル先生が学校側で用意した杖を渡しているはずです」
「なら良かった」
僕は杖を受け取ると闘技場へと進む。
「アルフ頑張ってね」
「ほどほどにね」
「任せといて」
僕はメリアとリゼに手を振ると、闘技場舞台に出た。
もう、話はある程度広まっているようで、何人か観戦に来ている生徒達がチラホラいた。
やはりと言うべきか、僕の名はそこそこ知れ渡っているらしく、関心を集めてしまっているようだった。
僕が姿を現すと視線が集中した。
ワイワイ、ざわざわと話声が聞こえてくる。
おい、今賭けごとがどうのって話が聞こえてきたぞ。
僕を賭けごとに使わないで欲しい。
反対の入場ゲートからはグジーが姿を現した。
不敵にニヤついて顔で僕の前に立つ。
「まあまあ、人が集まってるじゃねーか。有名人は違うなあ、おい」
「僕は全然望んでないんですけどね」
僕はひょいと肩をすくめる。
「そういうところがムカつくっていってんだよぉ!」
「・・・えぇ」
困った、どうしたらいいんだこの人。
ゴイル先生がやって来て、僕とグジーの間に入る。
「ルールはシンプルだ。降参した場合、こちらが戦闘続行は不可能と判断した場合、制限時間内に決闘が終わらなかった場合はこちらの判断で勝敗を決する。あまりないがこれ以上は被害が大きくなりすぎるとこちらが判断した場合はその時点で決闘を中止とする」
「分かりました」
「いいぜぇ」
ゴイル先生はコクリと頷く。
「では、始め!!」




