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暗殺者

 僕らは園内に入り、見渡しのいい場所へとやって来た。


 もう暗いからか人気はない。


 話すのにはもってこいの場所だ。


「さて、と」


 僕は二人に向き直る。


 二人は僕が何を言うのだろうかと、身構えた。


 どう切り出そうかな。


 母さんと同じような手順で話せばいいか。


 ・・・ああ、それにしても、こっちが大事な話をしようとしているのにまったく。


「月が綺麗だよなー」


「「え?」」


 僕は空を見上げて、美しい月を眺めた。


「こんな綺麗な月の下で、美少女二人といるっていうのにさ」


 バッと僕は杖を取り出す。


「ムードがぶち壊しだよ。邪魔しないでくれるか?」


 僕は太めの木に向かって杖を向けた。


 二人はぎょっとしてそちらを見つめる。


「僕が適当に言ってるんだと思っているなら、今から一発ぶち込む。どうする?」


 そう言うと、木の後ろから一人の男が出て来た。


 全身を黒い服装で固めた奴で、昼間見ればそれ程違和感はないだろう。


 だが、日が暮れた今見ると異質な雰囲気を感じさせる。


 そもそも、歩き方からして普通とは違い、どう見ても達人のそれだ。


 間違いなくカタギじゃない。


「驚いたぜ。まさかガキに俺の気配を悟られるとはな」


「今日の僕は神経がビンビンに尖ってるんだ。別の日にするんだったね」


「そうだったのか。そいつはツイてなかったぜ」


 男はひょいと肩をすくめる。


「で、何? 僕はこれから二人に大切な告白をするところなんだ」


 ひゅー、と、男は口笛を吹いた。


「やるなお前。まさか、二人同時に落としにかかろうってのか?」


 普段なら二人は盛大にツッコミを入れただろう。


 だけど、この男の異様な雰囲気を感じ、酷く警戒している。


「あんたには関係ない事さ。見物を許して覚えはない。さっさと行ってくれ」


「そうもいかねーんだ。俺はお前をぶちのめさないといけないんでね」


「「え!?」」


 メリアとリゼは仰天する。


 まあ、こいつが只の野次馬な訳はないし、そんなところだろう。


「・・・誰の依頼だい?」


「頼まれたと思うのか? 俺が『リア充爆発しろー』ってタイプかもしれんぜ?」


「あんたプロだろ?」


 男は興味深そうに僕を見た。


「一つ聞いていいか? お前どういうガキなんだ? 俺と対峙して、プロだと見抜いた上でそんな風に軽口を叩くこと自体が異常なんだけどよ?」


 横を見れば、確かにメリアとリゼは酷く緊張している。


「雰囲気出してるつもりならお生憎様だね。学校の学年主任の方がよっぽど怖い」


「なるほど。面白れぇガキだ。俺はよ、痛めつければそれでいいって言われてんだ。だが、」


 ぺろりと舌なめずりをする。


「事故で殺っちまっても仕方がねーとも言われてる」


 僕らに更なる緊張が走る。


 まあ、そうだろうな。


 だって、こいつ、そっちのプロっぽいし。


「依頼主は?」


「言うわけがねー」


「じゃあ、あんたの名前を聞こうか?」


「黒炎て呼ばれてる。無論、本名じゃあないがな」


「こ、黒炎!」


 メリアが驚愕して声を上げた。


「何? 有名人?」


「よ、よくは知らない。でも、凄腕の暗殺者にそんな人がいるって、お父様が話してた」


「ふうん。で、あんたがその黒炎さん?」


「一段階警戒の度合いを上げるぜ。それと知ってなんでそんなに落ち着いているんだ?」


「慌てた方が生存率が下がる。達人なら尚更ね」


「慌てねえでいられるその心理状態を知りたいんだが、まあいい」


 黒炎は杖を取り出す。


 僕も杖を構え、臨海体勢に入った。


「この二人は無関係だろ。帰して上げてくれ」


「無理だな。助けを呼ばれると面倒だし、殺すと決めた以上、目撃者も殺しておかないとな」


「さっきは僕も半殺しで済ますつもりだったんだろ?」


「そうだな、つまりはどうなろうと」


「逃がすつもりはない、か」


「そういうことだあ!!」

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