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収納魔術の活用法

 母さんが馬車を待たせてくれていたので、僕達はそれに乗って、帰ることが出来た。


 どうも変だ。


 メリアはさっきから何かを俯いて考えているし、リゼは何か自分の中で気持ちの整理をしたいと言って黙っているし、母さんは妙にそわそわしている。


「ねえ、三人共何を考えてるの?」


「「「えっ!?」」」


「うぉ!?」


 いきなり三人が声を張り上げてびっくりした。


「ごめん。不躾だった?」


「ああ、いや。そんなことはないんだけど、ね」


 リゼは何やら気まずそうに、頬をポリポリとかいている。


 なんか顔が赤いような?


 ふむ。

 なるほど解らん。


 他の二人を見ても、何を考えているのやら。


 僕が寝ている間に何があった?


 後で母さんに聞こう。


 それから変な沈黙の中、馬の蹄と、車輪の音だけが響き、僕の家へと到着した。


「さ、着いたわ。今日はメリアも泊っていきなさい」


「はい、お姉様」


「よかったら、あなたもどう、リゼさん?」


「あ、いえ。私は家に帰ります」


「そう。じゃあ夕飯くらいは食べていきなさいな」


「いえでも、ご迷惑では」


「あ、ないからそういうの」


 パタパタと手を振る母さんに、リゼは「はあ」と気の抜けた声で応えた。


(君のお母様は本当に貴族なのかい?)


(ああ、奔放に生きてるのさ。僕も真似して生きるよ)


(君は、少し自重すべきだね)


 リゼはこそっと僕にそんなことを言う。


 自重か。


 まあ、出来るところはしよう。


「アルフ」


 母さんがちょいちょいと僕を呼ぶ。


「何?」


 母さんはなんとも言えないように唸り、口を曲げる。


 あ、これはお説教だね。


 そうだね。


 必死だったけど、かなり不味い魔術を使った自覚はあるよ。


 これは、しばらく口を利いてくれないかもな。


 あれだけ誓ったのにね。


「もう隠すの無理」


「・・・え?」


 唐突にそんなことを言われて、僕は呆けた。


 そして次第に納得する。


 ああ、それで様子がおかしいのか。


「メリアは完全に不審に思ってるわよ」


「そっか、そうだよなぁ~」


 僕は頭をかく。


 少し、見せすぎたか。


 でも、あの場面じゃ選択肢なんてなかったし。


「きちんと説明した方がいいわね」


「・・・うん。分かった」


 来るべき時が来たか。


 思ったよりも早かったな。


「じゃ、夕飯の準備をメイにさせるから、その間に散歩がてら話して来たら?」


「分かったよ。あれ? 怒らないの?」


 てっきり説教されて、また部屋に閉じ籠るのかと思ったよ。


「怒れないでしょう。もし、あなたが何もせずに二人が大変なことになったら、その時は怒ったわ」


「そうだよね」


「あなたはやるべきことをやった。誇りなさい」


 僕はコクリと頷く。


「ありがとう。説明してくるよ」


「頑張って~」


 ひらひらと母さんに手を振ってもらい、僕は二人の元へと駆け寄る。


「ねえ、夕飯の支度をしている間さ。ちょっと散歩しない?」


「いいけど、何処に行くの?」


 メリアが首を傾げた。


「ちょっと行った所に公園があるんだ。そこに行こう」


 二人は顔を見合わせて頷く。


 これから僕が話すことを察してくれているみたいだ。


 母さんの時もそうだったけど、関係が壊れそうでやっぱりドキドキするな。


 あの時は上手くいった。


 でも、この二人も同じように上手くいくとは限らない。


 緊張するな。


 僕は二人を促し、近くの公園へと向かった。


*********


 道中。


 僕らは無言だった。


 母さんはメリアが僕を不審に思ってるって言ったけど、それはアルフレートだと見抜いている?


 それとも魔術に驚いているだけか?


 リゼも同じだろうか?


 この時点で友情は既に歪んでしまってるのか?


 公園の前まで来ると、リゼが話しかけてきた。


「アルフ。一つ聞いておきたいんだ?」


「うん?」


「モンスターのボスが君に襲い掛かった時、私には君の目の前で消えたように見えた。あれは、どうやったの?」


「ああ、それか」


 僕は頷く。


 そういえば説明していなかったね。


「簡単だよ。収納魔法を使った」


「「収納魔法?」」


「そうだよ。学校から支給されたやつがあっただろう?」


 皆が獲物を入れる時に使っていた袋だ。


「じゃ、じゃあ君はあの狼を収納魔法の中に閉じ込めたのか? つまり攻撃手段として」


「攻撃っていうより防衛じゃない? まあそうだよ。でもこれは良くないね。突進してくるモンスターとかにしか使い道ないし、出入り口の広さもそれ程ないから大物はすっぽりとは入れられない。あの袋もさ、少し切れちゃったんだ」


「えっ!? 大丈夫なのかい!?」


「僕の魔力で補強したから多分ね」


「ちょ、ちょっと待ってよアルフ」


 メリアが焦って口を挟む。


「じゃ、じゃあ、私達が持ってるあの袋の中には、まだあのモンスターがいるってこと?」


「そうだよ」


「そ、そうだよって、どうするつもりよ!?」


「そうだな。二、三週間放置すれば餓死するんじゃない?」


「「・・・」」


 おや、お気に召さない。


 確かにこれは支給品だしちょっと悠長かな。


「じゃあ、断崖絶壁で解放しようか。そうすれば真っ逆さま」


「クズ」

「外道」


「なんで!!」


 酷いよぉ。


 極めて効率的だろ?


 あ、袋の中目掛けて炎をぶち込むか?


 いや、もっと駄目な気がする。


「ア、アルフ。私も聞きたいことが」


 メリアがそう言ってどこか縋る様に僕を見た。


「うん。解ってる。公園の中で話そうか」

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