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懐かしのあいつ

 駆ける!


 駆ける駆ける!!


 くそ、どこだ。


 二人は何処へ行った。


 獣の足音がしたのはこっち。


 だけど、その先に二人がいる保証はない。


 これが単に獲物を追っているのならそれでいい。


 だけど、違ったら?


 何かのトラブルに巻き込まれたとしたら?


「二人は僕が護るって言ったのに、このエセ騎士が!!」


 自分に怒りをぶつけ、腸が煮えくり返る。


 頼む。


 杞憂であってくれ。


 ガサ。


 突然四足歩行の動物が飛び出してきた。


 狼か、狐か?


「・・・はは、狼、じゃないなこれは」


 見間違えるはずがない。


 そして、二度と見たくないその姿。


「狼型、モンスターか」


 ざわりと、毛が逆立つ。


 まさか、再びこいつに会うことになろうとは。


「てことは、メリアとリゼも!」


 ヤバい!


 こんなのに関わっている場合じゃない!


「ガルル!」


 なんて考えている場合でもないか。


「ガゥ!!」


「チッ!」


 狼が飛びかかってきた。


 慌てるな。


 こいつは一度退治している。


 僕は杖を取り出し、魔力を灯す。


「はぁっ!!」


 噴き出した火炎が狼を飲み込んだ。


「ギャウンッ!」


 込み込まれた狼はそのまま炭となる。


 だけど勝利の喜びなんてない。


 むしろ焦燥は臨界点に達していた。


 なんてこった。


 動物の狼や狐なら、二人揃えば狩れるだろう。


 だが、こいつは駄目だ。


 見た目は大きな狼だけど、中身は全くの別物。


 動きも、牙や爪の鋭さも、体毛の固さも別次元だ。


 これまでの実習で見た二人の実力は、完全に記憶が戻る前の僕よりもちょい上程度。


 まあ、メリアの方が魔術師としての実力はリゼよりも少し上だけど、実戦経験という面ではどうかな?


 一匹、二匹なら二人揃えばなんとかなるかもしれないが、それ以上だったらヤバい。


 これも学校の実習の一環?


 いや、ないだろ。


 いくら魔術師に危険は付き物とはいえ、入学して間もない一年に、モンスターを当てるなんて考えられない。


 ハリス達もそんなことは一言も言っていなかった。


 つまりこれは学校側も関知していない完全なイレギュラー。


 どうか、この一匹だけであってくれよ。


「二人共、返事をしてくれぇ!!」


 再び大声を出し、その後で耳を澄ます。


 ・・・。


 駄目か?


「・・・っ」


 バッと顔を上げた。


「今、何か聞こえた」


 微かに、何かを。


「あっちだ!!」


 僕は声がした方向へと走る。


 くそ、茂みは走りにくいな。


 焦りが苛立ちを呼ぶ。


 落ち着け、落ち着け僕。


 この震えは、息が上がっているからか、二人の安否を案じる恐怖か。


 木々を押しのけ、音はハッキリと声として聞こえてきた。


 この先にいる。


 少し開けたその場所に、二人はいた。


 二人と、沢山の狼型モンスター!


「アルフ!」


「二人共無事だな!」


 二人は互いに背中を預け、狼に魔術を放っているが、如何せんあっちは素早い。


 その上数が多い。


 これでは的を絞れない。


 そして見た。


「リゼ、怪我をしたのか!」


 リゼの足からは血が流れ、殆ど片足立ちしている。


「ああ、ちょっとミスったよ」


 お道化て言っているが相当痛い筈だ。


 すぐに駆け寄ろうとしたら、足元の何かに当たってつんのめる。


 二人しか見ていなかった。


 何かと思えば、あの狼型モンスター。


 既に死んでいる。


 二人が倒したのか。


「ガルルゥ!」


 僕の登場で、狼もこちらを見る。


 その数、十三匹。


 マジかよ。


「大丈夫だ二人共すぐに助ける!」


 そう言って二人に駆け寄ろうとしたら、三匹が僕の行く手を阻んだ。


「うざってぇぞ!」


 杖を取り出し、狼に向けて放つが、狼はそれを横に跳んで回避した。


「何!?」


 魔術を警戒している?


 そうか、さっき二人に一匹やられたから学習したのか。


「流石は狼型ってところか」


 狼は頭が回る。


 だからこそ、群れでの連携が可能なんだ。


 今度は二匹が同時に僕に襲い掛かる。


「チィッ」


 横に跳んで回避。


 同時に横に炎を発生させ、二匹を同時に焼く。


 これで僕の前にいるのは一匹。


「ガルル」


 襲い掛かって来る。


 そう思ったら、ピョンピョンと僕の周りを跳ねる。


 フェイントだと!?


 円を描くように飛び回り、飛び掛かると思いきや、すぐに後退する。


 もしかしてこいつ。


 僕をここに引き付けて、他の狼が二人を先に始末するつもりじゃないよな?

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