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デリカシーのない奴は紳士ではない、らしい

「いないな・・・」


 僕達は探索を続けたが、動物の“ど”の字もありはしない。


 辺りもどんどん暗くなってきた。


「そろそろ戻った方がいいかしら?」


「そう、だね。ここいらが潮時かな」


 あー、くっそ。


 僕達だけ何も獲れないなんて、かっこわりー。


 リゼが首を振る。


「私達は一番最後という不利な状況で出発したんだ。それを思えば仕方のない結果だよ」


「そう、ね」


 メリアがソワソワと辺りを見渡した。


「しょうがないよメリア。諦めよう」


「あ、うん。しょうがないわね」


 相変わらずきょろきょろと辺りを見渡す。


 はっはーん。

 さては怖いな?


 確かに薄暗い。


 恐らく日も傾いてきている。


 戻ると決めたら急いで戻ろう。


 もしかしたら、上空に鳥が飛んでいるかもしれない。


 帰りながらでも獲れる可能性はゼロじゃない。


「ちょっと走ろうか。開けた場所に出れば枝葉の隙間から空が見えて、鳥が飛んでいるところを撃ち落とせるかもしれない」


 そう言って二人の同意を求めると、メリアの顔が曇る。


「え、走るの?」


「疲れてる?」


「・・・ううん」


「僕が先頭を走るよ。足元に注意して。空が見えても僕が上を向いて走るから大丈夫」


「・・・そうね。行きましょうか」


 それじゃあ走るかと思ったその時、ドンと後ろからリゼに押された。


「え、何?」


「・・・鈍感」


 どういうことだ?


 僕が首を傾げると、リゼはため息をつく。


「ちょっと女の子同士で話があるんだ。アルフはここで待ってて」


 そう言って僕を置いてリゼはメリアの肩を抱き、更に奥へと行こうとする。


「お、おいちょっと待てよ。これ以上行くなら二人じゃ危険」


 キッ!


 おや、僕リゼに睨まれましたよ?


 危険はむしろ僕にあるのか?


「あっ!」


 なるほど解った。


 トイレか。


 察しのいい僕は解っちゃいましたよ。


 声を上げたらメリアは顔を赤くして俯き、リゼは顔を引きつらせた。


 そして、二人は奥へと行ってしまった。




 程なくしてリゼが戻って来る。


「どーん」


「痛」


 いきなり脛を蹴られた。


「鈍感」


「い、いや。途中で気が付いたよ?」


「そこで声を上げるのが尚悪いよ。黙って見送るのが紳士でしょう?」


「なん、だと?」


 僕が紳士じゃない?


 はっは、あり得ないね。


 僕がどんな顔をしていたのか判らないけど、リゼは眉間を指でぐりぐりとしてため息。


 ねえ、皆僕にため息つくこと多くない?


 最近若干心に闇を抱えそうになるんだけども。


「君、モテないでしょ」


「ぐふぅ!!」


 くっ!


 胸を杭で・・・。


「な、何を根拠に」


「デリカシー、砂粒ほどもないもの」


「がはぁ!!」


「普段紳士とか言っているけれど、道化としか思えない」


「ごばぁ!!」


 や、止めてくれ。


 前世と合わせてどーてー君の心の傷に塩を塗らないでくれ。


「すぐに戻って来るよ。ここで待とう」


「う、うん。そうだね。リゼは大丈夫なの?」


「・・・大丈夫だけど、もっとさり気無く言えないものかな。紳士君」


「・・・ごめんなさい」




 それから少し待ったがメリアは帰ってこない。


「ねえ、ちょっと遅くない?」


 遅くなる方かな?

 言ったらぶっ殺されんな。

 それくらいは解りますよ僕でも。


「ちょっと見てくるよ。君はここにいて」


「分かったよ」




 そうしてまた少し待った。


 だけど、二人は戻って来ない。


 まさか迷子になってるんじゃないだろうな?


 もうずいぶん経った。


 本当に走って戻らないといけない時間だ。


 いや、まさか。


「獲物が見つかった? いや、それを追っているならいいんだけど」


 逆に襲われていたら?


「不味い!」


 ええい、ここでまたやらかしたら目一杯謝ろう。


 二人が危険な目にあっているかもしれない時に、何もしないよりは余程いい!


 僕は森の奥へとダッシュした。




「はぁはぁ、くそ。いないな」


 いくら恥ずかしいからって、そう奥へは行かないだろう。


 森が危険なことくらい、メリアも重々解っている筈だ。


「あ、茂みか」


 奥の茂みの方に行ったのか?


 それだと探しようが・・・。


「メリア! リゼ! いたら返事をしてくれ!!」


 大声で呼びかけるも返事はない。


「いないのか! 何かあったのか! 二人共返事をしてくれ!!」


 耳を澄ます。


 しかし、返事はない。


 くそ、どうする?


 何かあったとしたら、今から戻って先生を呼びに行っている時間はないぞ。


 こんなことなら魔力探知とやらの術式を教えてもらえばよかった。


 魔力の反響を利用して位置を特定する魔術か。


 流石にすぐには作れないけど。


 僕は地面に耳をつけた。


 何か音は聞こえないか?


 どんな微細な振動でもいい。


 僕は集中して耳を地面に押し当てると、茂みの奥から微かに何かの音がする。


 これは、四足歩行の動物か。


 今はこの音しか聞こえない。


「行くしかないか!」


 藁にもすがる思いで、僕は音のした方角へ走った。


「くそ、やっぱり一緒に行けば、いや、流石に駄目か?」


 でももう少しやりようがあったかもしれない。


 前世のライフワークで、森は危険だってことは散々経験したろ。


 いや、今はできることを考えるんだ。

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