運命のくじ引き
出来るだけ最初の組になるようにする、か。
そうだよな。
最後の方になったら、どんどん獲物が減っちゃうからね。
このくじ引き、実は凄く重要だぞ。
引き終わった生徒達は、それぞれ一喜一憂している。
ここが運命の分かれ道だ。
「あの、先生。これって何も狩れなかったら罰ってあるんでしょうか?」
「なんですかー? やる前から泣き言ですか?」
ミネルヴァ先生はくすくすと笑う。
「ち、違いますけどほら、やっぱり後列は不利じゃないですか?」
「安心して下さい。この森は広いですし、獲物は沢山いますよ」
「ですか。そういうのって判るものですか?」
「そうですね。魔力探知で大まかなことは」
「魔力探知?」
先生はコクリと頷く。
「もう少ししたら教えますよ。魔力を波動として飛ばし、その反響によって周囲の状況を知ることが出来る魔術です」
僕はガバっと先生の眼前まで迫った。
「ひゃっ」
「そんな魔術が!」
「アルベルト君、近いです! 唾が飛びます!!」
「あ、ごめんなさい」
やってしまった。
僕はすぐに引っ込んだ。
「もう。メリアさんとリゼさんという美少女を侍らせながら、私にも手を出そうというんですか?」
「いい!? 何を言うんですか先生!!」
「でも駄目でーす。私はこれでも結婚しています」
「え、マジですか?」
そんな風には見えなかった。
意外という顔をしていたら、先生の顔色が変わる。
「・・・なんですか? 『お前みたいなちんちくりんに結婚なんか出来るわけねーだろ。見栄はってんじゃねーぞ』とでも思ったんですか?」
「ええ! そんなこと思ってませんよ」
「ふふ、冗談ですよ」
は~。
心臓に悪いよこの先生。
「とにかくです。女性に不必要に迫るのは駄目です」
「は、はい」
そういえば前にメリアにも。
気を付けねば。
「アルベルト君は本当に魔術が好きですねー」
「魔術師ですから」
僕が胸を張ると、先生はニコニコと笑う。
「多分、魔力探知も貴方ならすぐに習得できるでしょうけど。あまり焦らないでね」
「特別授業とか?」
「補修ならしますけど、特別扱いはしませーん」
「チェ」
「ところで、貴方はその杖を使っていくつもりですか?」
先生は僕の杖を見る。
皆は僕が決闘で使っていた杖と、同じサイズの物を使っている。
しかし、僕の杖は手首から肘の辺りまでしかない短い物だ。
そして細い。
僕の細腕に二本は並べられるくらいだ。
威力は劣るけど、こっちの方が振りやすいし、何より起動が早い。
威力も僕の魔力ならカバーできる。
「仮に近接戦闘になった場合、それですと不利になりますよ?」
長ければ武器として使えるが、この細さではそうもいかない。
鈍器で一発殴られれば簡単に折れてしまうだろう。
「これでいきます」
僕はこう誇示するのだ。
自分は魔術師であると。
遠距離から打ってなんぼが魔術師である。
まあ、クラウスとは決闘で殴り合ったけど、あれはあくまでも例外だ。
「分かりました。貴方を尊重します。ほら、引いた引いた」
先生はくじ箱をガサガサと揺らして催促してくる。
さて、試練の時だ。
手を突っ込んでいくつかのくじに触ってみる。
無論、触ったところで中身が判るわけでは無い。
しかし、それでも漁ってしまうのが人の性。
かさり。
一枚のくじを引いた途端、ビビッと来た。
「こ、れ、だぁーーーーー!!」
引き当てた確かな運命。
そのくじは!
・・・一番最後だった。




