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お題シリーズ

救世主なんて存在しない

作者: リィズ・ブランディシュカ



 世界が滅亡に瀕した時に、さっそうと現れる救世主。

 光り輝く伝説の剣を持って、魔物たちを切り裂き、魔王を倒して、この世界に平和をもたらしてくれる。


 この世界には、そんなおとぎ話があった。

 古くから伝わる言い伝えだけれど、多くの予言士が救世主の到来を告げていたので、この世界の人の大半は信じていたのだろう。


 しかし、実際にそんな都合の良い事が起こるわけなかった。


 救世主なんて絵空事だ。最後まで現れるはずがない。


 魔物に蹂躙される町や村、多くの人々。

 魔王によって、討伐軍は壊滅。


 人間はまたたくまにその数を減らしていった。


 今になって思えば、あの話はただの幻想だったのだろうと思う。


 人々を喜ばせたいがために考えた、絵空事。


 国の偉い人達や王様が、作り出したファンタジー。


 だって、これほど耳に心地いい物はなかった。

 物語のように異界から勇者様が降りたって、兄弟な力でさっそうと私達を助けてくれる。

 だなんて。


 先の事が分かるはずの本物の占い師でさえそうだった。


 彼等だって、人間だ。

 自分から不幸な未来を語りたがるわけがない。

 それを聞く人間も、同じく。

 不幸な未来を、言いひろげたくない。


 そうしてこの世界の人達は、優しい優しい救世主の話をうのみにして、絶滅していくのだろう。


 幻想にすがり、現実に目を背け、優しい夢物語の中で生きる。


 きっといつか、いつか救ってくれる人が現れる。


「占い師様、きっと大丈夫ですよね。今が苦しくても、救世主様が現れて救ってくださいますよね」

「ええ、そうです。信じましょう。信じる事が力になるのです」


 そう信じながら、人という種は絶えていくのだ。



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