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芯星  作者: らっきー
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アイギス

長い長い廊下を歩き、巨大な屋敷の一番奥にある 

生体ロック 重量ロック 暗証番号と何重にも厳重にロックのかかる金庫室にラックは通される。


渡ってきた廊下も長かったが、この金庫室やってくるまでの時間も長かった。


経緯こうだ。


デッドマンハンズで見事にポーカーゲームで勝利し歓喜したラックだったが思わね事態に陥る。


数億ゴールドになるはずの掛金を取れなかったのだ。


その理由は

口ひげの男が破産していたからだった。口ひげの男はドコドコの貴族だったのだが見掛け倒しで実は一文なしだった。


このような場合はゲーム主催側が口ひげの男に制裁を加えるのだか、ラックにとっては一文にもならない結果になる。


ここで口ひげの男からラックに提案が持ちかけられる。


金はないが値打ちのあるお宝があると、口ひげの男は言う。


文無しかお宝か。 ラックに選択肢はなかった。そして、今、金庫室に。






金庫室の明かりが灯ると部屋の全貌がみえた。


奇妙な部屋だった。


部屋の中央区にはお宝が収められていると思われる電話ボックスほどのショーケースが一つ。


奇妙なのはショーケースより一回り大きな鏡がショーケースを挟むように正面と背後に置かれていることだった。


邪魔な大きな鏡だった。ショーケースの中のお宝というのが鏡のせいで見えない。


当然ラックは側面に回りこんでお宝を確認しようとした。


「ダメだ。直接見てはダメなんだ。」


口ひげの男はラックを静止した。


なんだかよく理解出来ないがラックは口ひげの男の言うがままに、正面の鏡に反射して映る背後の鏡でお宝を確認する。


ラックは腸が煮えくり返る。騙された。


貴族に代々伝わるお宝というからには デカイ宝石や黄金の王冠などを想像していたが、反射して背面の鏡に写ったものは


盾だった。奇妙なデザインのある盾。



こんなものが数億ゴールドの価値があるとは到底思えなかった。


しかし、このラックの考えは間違っている。



「メーデューサの首がはめ込められたアイギスだ」


口ひげの男はラックに語り始める。


神話に出てくるアイギスとは

見るものを石化する能力のあるメーデューサという化物がいて、ペルセウスという戦士が石化を防ぐために盾を鏡のように磨き、それに映ったメーデューサの首をはねて退治した。

メーデューサは首をはねられたが死なず、その首はペルセウスが使った盾に埋め込まれ、盾は最強の防具になる


その最強の盾がアイギスなのだという。


「メーデューサ、、、、」


ラックは神話の話を真面目にし、その盾がショーケースの中にあるというおとぎ話にもならない 口ひげの男の話に呆れ返る。


怒りを覚えたラックは石化などあるはずもないと鏡を押しのけ、ショーケースを開けさせ盾を取り出し顔面の前にアイギスという盾をかざす。


確かによく磨かれた鏡のような盾の上にメーデューサ、、、無数の蛇が頭から髪のように生えた怪女の顔が埋め込まれている。


「目閉じてるじゃねぇーか」


メーデューサの瞳は閉じられていた。ラックは光源補助装置の付いた丸型サングラスを外し、X線でも盾を確認する。


その時眠っていたメーデューサが目を覚まし、瞼を開けギラつく目が蘇る。


凍りついた。


一瞬、ラックはメーデューサの眼光にたじろいたが体は動く。何も問題がない。健康である。


「石化なんてしないだろうが。アンタいい加減なしろよ」


ラックは口ひげの男にアイギスを向ける。


メーデューサと目が合った口ひげの男は生命活動を停止する


肌は灰色に 呼吸は止まり 一ミリも動かない。


口ひげの男は石化してしまった。




ラックは事態を上手く飲み込めずにいた。この盾やメーデューサやらが実在していることに理解が追いつかない。


それに、この盾が本物ならば なぜ自分は無事なのか?


一つだけ言えるとすれば、このアイギスという盾は金になる可能性がある事だった。



ラックは幸運なのか不運なのか。



彼はアイギスという盾を持ちその場から逃げ出したのだった。








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