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宝くじで10億当たった結果www  作者:
3章 クリスマスに向けて編
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決着

①ホテルに住み始めて2週間ほど経つ。1ヶ月で50万円の宿泊費だ。さすがに、そろそろ家も借りなければならない。


②それに、前の会社の社長の訴訟にも対応しなければならない。


③あとは、そろそろ起業にあたって本格的に店を決めなければならない。


④…カジュアルな服やカバンも欲しいな。ついでに時計も集めたいがそれは我慢だ。


⑤それにクリスマスまであと1週間ほどしかない。今年こそ"シングルヘル"は避けたい。


まぁ、とにかく、問題は山積みだ。




…俺は考えた末、②の訴訟問題、⑤のぼっち回避から片付けることにした。


ということで、沙里に電話をかける。

彼女のインスタは、ここのところ更新頻度が減っている。会社を辞めて、受付でナンパされることが減ったためであろうか。

とどのつまり、今の彼女は史上最高に暇だということだ。



…rrrrr,rrrr……


「もしもし、"俺"さん?」

2コール目で電話に出る。やはり彼女は暇なようだ。


「あぁ、沙里。社長に会いに行くんだったよな。一緒に行かないか?」

先日会った時に聞いたのだ。退職時の書類やらがあるらしい。俺には関係ないが。


「ちょうど今日行こうと思ってたんです!」

「それじゃ、夕方にoo駅で」


沙里と待ち合わせるのも慣れたものだ。とは言え、まだ数回しか"会って"いないのだが。


沙里との待ち合わせまではあっという間だった。

というのも、鼻毛チェックや決まらない髪型を何度もやり直すのには、いくら時間があっても足りないからだ。

唯一幸いしたのは、服がGiorgio Armaniの上下セット一種類しかないことだった。




「どうして一緒に行こうと思ったんですか?」

と沙里は不思議そうに聞く。


「あぁ、飛んだ分ちょっと気まずくてな」


「なるほど…でも、飛んだんだったら書類とかありませんよね?」


「そのことなんだけど、社長に理不尽に訴えられててさ……ほら、会社立てる前に片付けておきたくて、直談判って感じなんだ」


沙里は"パパ"のコネで入社している。社長達の沙里への対応を見る限りでは"パパ"は社長より格上のはずだ。


「そうなんですね!それなら私に任せてください!"俺"さんだけの問題じゃありませんし、服のお礼もありますから」

と言って沙里は笑顔を見せる。


沙里の笑顔を見ると、僅かに感じていた緊張が解れた。まるで、天使の魔法のようだ。

あるいは、得体の知れぬ"パパ"の力を味方につけた安心感なのかもしれない。


会社に着き、オフィスの廊下を歩いていると、見知った顔の同僚がジロジロとこちらを見る。


それもそうだろう。先週までだらしないスーツ姿の俺が、元受付嬢の佐藤沙里と並び、見るからに高級そうな服を身にまとっているからだ。

俺と面識のない人間は、社長の友人でも来たのかと思っていることだろう。


俺は、社長室をノックする。

「……どうぞ!」

と明らかに不機嫌そうな野太い声が響き、俺は心臓が飛び上がった。

ミユに対する"恋慕"感情とは当然ながら正反対だが、こちらも本能的な"恐怖"である点で類似している。

どれだけ理性的に抑えようとしても、簡単には収まらない本能的な感情だ。


立ちすくむ俺を見た沙里は無言で俺の左手を握り、目で合図した。

ーー(のパパ)がついています。

と言わんばかりの表情だ。


自然と動悸がおさまり、背筋を伸ばしてからドアを開けた。

「失礼します」


社長は意外な来客と、その意外な組み合わせにギョッとしたようだ。だがすぐに鋭い眼光を取り戻すと、ドスの効いた声で言い放った。

「お前は何をしにきたんだ!」


俺は毅然とした態度で言う。

「訴訟を取り下げていただきたいのです。」


「………何を…!」

と言いかけて社長は、俺の足元に目をやる。それから腕、全身を見渡す。

会社員生活で学んだことは、社長達は靴や腕時計で無意識に人を判断するということだ。


「貴様、何のつもりだ、その格好は!」


俺が口を開くのを制して沙里が口を挟む。

「"俺"さんも社長になるんですよ?だから、私からもお願いします!」

と言って頭を下げた。


「くっ……君にそう言われると、私はお手上げだな。」

と諦めたように語気を弱めた。やはり沙里と共に来て正解だった。少なくとも弁護士を雇う手間は省けたようだ。


しかし、社長は俺に鋭い目を向ける。


「私はお前を許したわけではない。お前がどうやって資金を集めたのかは知らんが、経営者の世界を甘く見るなよ。私の領域に1歩でも足を踏み入れてみろ。私は1人の経営者として、お前を叩きのめしてやるからな!」

と凄む。


ーーアンタのサービス事業部と被ってるんだがな…

と俺は思ったが、その場では何も言わなかった。いずれ、社長とは経営者として、また対峙することになるだろう。


社長はブラック企業のボス猿に、長年君臨しているのだ。いわゆる"黒い"関係も噂されている。闇討ちに会わないように気を付けないとな…と心に留めておく。


その後、沙里が退職に関する書類を提出し、俺達は社長室を出た。


すると、説教好きの元先輩、新井が待ち構えていた。

「皆に迷惑をかけておいて、ノコノコと戻ってくるとはね。ふん、その格好も見てくれだけだろ?」


俺はその言葉を無視して新井の脇を通り過ぎる。


「なっ……!君ぃ!君のようなヤツは必ず失敗するからな!」

と後ろから聞こえてくるが、俺は気にせず会社を後にした。


「"俺"さん、良かったですね!」

と沙里が俺に笑いかける。

これで②訴訟問題は片付いたと言っていいだろう。これも沙里のおかげだな。


しかし、あの社長を一瞬で黙らせるとは、"パパ"とは一体どういう人間なのだろう?

大企業の社長とかか?まさかな……


俺は、「佐藤」というありふれた姓を持つ"パパ"の正体が、「社長」などという生ぬるいものではないことを、まだ知らなかった。





もっと話、言い回しを推敲したらより良くなるんだろうなぁと思いながらも、


やはり金にならないことは趣味程度でやるのがベストだなぁと思います。


書くのに飽きたら隕石でも落として地球滅亡バッドエンドにするので、


ポジティブなレビューなど書いていただけると嬉しいです。

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