NHK作戦
俺の名前は丸本リョウ。唐突だが俺には夢がある。
そう、全ての男子の憧れであるハーレムを築くことだ。だが全員が同じ様な女子では俺も退屈してしまう。だから俺は違うタイプの女子を集めて俺得ハーレムを築く。
まず俺得ハーレム候補その1。女神ヘラのように俺を愛する女子。その候補が今隣にいる幼馴染の女子だ。
「リョー?目が遠くなってるよ」
「お。わりい。説明してた」
「説明…何を?」
「お前には関係ないさ」
錦戸アイメ。年齢は俺と同じの聖零学園2年生の16歳で頭は良く運動も人並みには出来るしそのルックスの良さから中学時代からの永遠のマドンナだ。米高の低偏差値とは違いお嬢様教育に評判のある聖零に入ってからは益々可愛くなった気がしてならない。ちなみに先日言った聖零に通っている幼馴染とはこいつのことだ。
「っと、じゃあ俺こっちだから」
「うん。また帰り」
さてと、先程候補がなんたらと言ったがぶっちゃけあんまり決まってないんだ。とりあえず決まっているのがさっき言ったアイメと聖零の生徒会長の鏡原シイナぐらい。後はじっくりと探させてもらうか。
教室の戸を開けカバンから筆記用具を取り出し教科書類を机の中にぶち込み工業実習関係のものを机に引っ掛ける。
アツキとタツがまだ登校していないようなので一枚の紙をすっと椅子の上へと置く。
やつらが来るまでは今回の作戦の最終確認でもして置くか。
昼休みの屋上はいいものだ。あまり人が来ずに青空の下で作戦を練ることができる最高の場所なのだから。
弁当箱を開けてリョウが米を口に運んだ瞬間には作戦会議はもうすでに始まっている。
「リョウよ。今回の作戦はなんなんだ」
タツが問う。
「そこに書いたある通りだ。今回の作戦は」
『NaturalHarem Kit作戦、略してNHK作戦だ!!』
「「え、NHK作戦だとぉ!!」」
「そうだ。以下にナチュラルにハーレムを作れるかがこの勝負の見せ所よ!」
((いや、名前的に大丈夫かよ))
「じゃあこのキットってのはなんだ」
今度はアツキが問う。
「キットっていうのは教材とかそんな感じのやつだ。今回参考にしたのはこれだ!」
リョウは懐から一冊の本を取り出して見せつける。
「こ、これは今話題の異世界転生ものの小説じゃあないかっ!」
「最近の本では別の世界に転生して無双してるだけで女がホイホイ集まって来るらしいんだ」
「つまり俺達は転生するために死ねばいいのか」
「さっすがタツ!物分かりがいいねぇ!」
「いや物分かりがいいねぇじゃねえよッ!死ぬとかやなんだけど!せめて現実世界のラブコメ系にしてよ!」
「アツキはうるさいなー」
「だって死にたくねえんだよ未練めっちゃあるんだよ!この本の主人公達見たいに『あ、死んじゃったなー。まーいーやー』じゃねえんだよ!」
「落ち着けよアツキ。リョウもだ」
「えー、転生ダメ?」
「転生はダメだが異世界“転移”ならいいんじゃないかな」
「さっすがタツ冴えてるぅ!」
「お前ら異世界から離れろやァァァァァァァァァァァァァァ!!ここは地球!アース!日本!中部地方!米高!異世界に通じるものなんてあるわけねえだろぉぉぉ!」
ツッコミの声量の調整が出来なかったアツキは息を切らして声とは呼べない音で会話をする。
「俺、先行ってるわ」
「そっか。じゃあ俺達も後で行くわ」
アツキが喉を抑えながら屋上のドアを開けるとそこには
中世の景色を感じさせ、猫の耳が生えた女性やチーターのような男性の獣人にもちろん普通の人間もいる。唯一違うと言えば剣持ってたり杖持ってたりするぐらいだ。
3人は口を揃えてこう言った。
異世界、繋がっちった。