異世界チートでたーのしー!
息抜きに書いてみました。
目の前には、一台のトラックがあった。
運転席を見れば、運転手が居眠りしていたことはすぐにわかった。
だが、俺はどうすることもできなかった。
トラック、それも全速力のトラックだ。当たればひとたまりもないだろう。
案の定、俺はトラックにぶつかって、体が宙を舞った。
地面に強打する。
遠のいていく意識では、今の状況もわかるはずがなく、暗闇へ落ちていった。
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「貴方は異世界に転生できることになりました」
突然、そんな声が聞こえた。
目を開けると、摩訶不思議な空間にいて、目の前には、非常に美しい女性が居た。
だが、転生するとはどういうことだ?
死後の世界に行くのではないのか。
「貴方は当選したんです。なので、異世界に行けることになったのです」
「ただ、拒否権はありません」
なんでだ。生きる希望も持たない人だっているだろう。
なのに、そんなにも酷いことをするなんて許せない。
「いえ、心に障害を負っている人に関しては、例外とさせていただいていますので、そこは心配ありません」
なんだ、それだったらいいのだ。
だが、転生するとはいっても、どんな異世界なんだ?
剣と魔法の世界か。それか、今まで生きていたような普通の世界か。
「ご名答、剣と魔法の世界です。ただ、勿論剣と魔法というからには、魔物という敵が跋扈しておりまして、それを倒していただきたいのです」
成程、だったら、その世界で魔物を倒していけばいいのか。
だが、今までの貧弱な体のままでは多分倒そうにも倒せない。
しかも、転生して貧弱な子に生まれれば、魔物を倒す前に倒されてしまうと思う。
「だから、皆さんに、俗に言うチート能力を与えることにしたのです」
「ここに書いてあるチート能力から5つ選んでください」
と、言われ、紙を受け取った。
そこには「剣技lv10」や「炎属性魔法lv10」といった事が書かれていた。
その中には「計算スピードUPlv10」や「英語lv10」などあまり役に立たなさそうなものもあったが、それはまぁ放っておくことにした。
俺はまず「回復魔法lv10」をピックアップした。
これがあれば、怪我をしてもすぐに直せるのではないだろうか。
さすがに不死という能力はなかったが、この「回復魔法lv10」があればだいぶ楽に進められると思う。
最終的に以下のスキルを取った。
「回復魔法lv10」「毒魔法lv10」「弓術lv10」「炎属性魔法lv10」「感知魔法lv10」
「わかりました。それではそこにある魔方陣の上に立ってください」
淡く光る魔方陣の上に立って、その時が来ることを待った。
数秒後、体がだんだんと光っていって、意識も白へと消えていった。
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女神は嘆いていた。
彼はもう死んでしまっただろうと思った。
でも、仕方が無いのだ、そのことを言ってしまったら、転生させる意味がなくなるから。
まだあちらで生きている者は数人しかいない。
そう思っていても、人はここに来てしまう。
また、一人来た。
同じような対応をする。
「貴方は異世界に転生できることになりました」
もう言い慣れてしまった文だ。
この人も、チート能力を前の人と同じように選んでいく。
そしてチート能力が決まったら、魔方陣へと入れる……。
彼は光を纏っていきだんだんと白くなってきた。
……そんな彼もまた、あちらの世界で死ぬ。