2両目にて
ここ書くのが中々に絶望的になってきたので次回から消えます…申し訳ないです!
第8章
2両目の扉を開けた時、とてつもない量の水が流れ込んできた。
車両の1/3程水に浸かっており足を取られる。
「これはどういうことだ?」
美濃坂は松岡の顔を見る。
「これは…恐らくだが…」
松岡は自分の考えを美濃坂に説明する。
「そのようなことが……しかしそれではおかしいのではないか?私のいた6両目では水など全くはいってこなかったし床も抜けていた、仮にこの列車が水没しているというなら6両目にも水が入ってくるはずだろう?」
美濃坂はそう言う。
「それは妙だな…」
何かが、何かが足りない。
決定的な答えを出すまでの証拠が足りなさすぎる。
二人は無言で前に進む。
この2両目は何かがおかしかった。
異常にこの車両だけ長いのである。
歩いていると程なくしてまたメモを見つけた。
このメモは懐中電灯で照らされており、不気味さを醸し出していた。
そのメモを手に取り、美濃坂に手を出すなと、先に制止しておきそのメモを見た。
[ 嘘つきだ。信じるも信じないもお前達の自由だが、この男は君達に隠し事をしている。気をつけろ、この列車は何処までも暗い。]
メモの字は最初の筆跡に比べると歪みや滲みが目立った文字で書かれていた。
「………」
美濃坂は黙ってこちらを見ている。
「お前…何を隠している?」
松岡は鋭い口調で言う。
「私は……隠しているつもりはない。確かに嘘つきかもしれないが、君達を助けようとしたことは紛れもない真実なのだ。」
少しの沈黙が続く
「……まぁいい…」
松岡は前に進む。
しばらく歩いていると女性が横たわっていた。
「おい!あんた大丈夫か!?」
松岡は女性を抱き寄せ生きているか確認する。
女性の顔は黒髪のロングストレートが邪魔をし、見えない。
濡れているので服がぴっちりと肌につき、酷く衰弱していた。
そのまま放置すれば、じきに彼女は水底に沈むだろう。
「松岡さん?何をしているんだ、速く次の車両に行こう。」
美濃坂は松岡にそう言い前に進む。
「このままでは死んでしまうじゃないか!」
松岡はそう言い女性の手当てをする。
「松岡さん、私が助けるのはその女性ではなくあなただ……聞いていないか……まぁ、無駄だとは思うがね。」
美濃坂は近くの座席にもたれかかり松岡を待っていた。
松岡が女性の手当てをし、立ち上がったと同時に車両の窓が割れる。
まずいと思い、死を覚悟したが不思議なことに水は流れ込んでこなかった。
しかし突如として横の扉の方から大量の水が流れ込み、徐々に浸水していく。
「くそっ!間に合え!!」
松岡は女性を担ぎ、1両目へと駆け込む……