4両目にて
第6章
4両目に移動した松岡は車両の損傷具合を見て唖然とする。
座席には大きな爪で引き裂かれたかのような跡。
手すりは落ち、電気は消えている。
懐中電灯を照らしながら辺りを見渡すと一枚のメモを見つけた。
「……これは?」
何気なく手に取って見る。
その瞬間だった。
頭の中を掻き乱されるような頭痛が松岡を襲った、抵抗しようにも体が思うように動かない。
「うっ……一体何だっていうんだよ!」
松岡が叫び、しばらくしてから頭痛は治まった。
手に入れたメモ用紙を見てみるとこんなことが書かれていた。
[ 騙され……で あの…は常…貴方……を……ている。]
紙は相当風化していたが薄暗く、細かい字ということからこれを書いたのは女性ではないかという印象を受けた。
そうして前の車両へと進もうとした時、懐中電灯を扉に向けた瞬間。
おぞましいものが目に入った。
窓に血文字で3両目を示す矢印が書かれている事とその奥には細長く、鱗のついた何かだった。
「うわぁっ!!」
松岡は思わず大声を出してしまう。
蛇のような物はこちらを鋭く睨むが近づいては来なかった。
「くそっ…どうしてこんな目に!」
つい先程まで神崎の家で掃除していた松岡にとっては多大なストレスだった。
日常を唐突に奪われ、親友が亡くなり、化け物を見てしまう。
そのような突然の出来事にただの人間が順応できるわけがない。
松岡は疲れ果てながら3両目へと向かう
まだ他にも生きている者がいると信じて…
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ホラー描写が苦手で拙い文章かもしれませんのでおかしな所があったらご指摘よろしくお願いします。