05話.不良撲滅
さて、一人潰し終わったわけだが。
残るは奥の二人。背が低く目つきの悪い坊主頭の男と、金色に染めた髪を丁寧にセットしたホストのような男。
そしてその二人に挟まれるように襲われていた子がいた。
「おい、クズども」
「「……あ?」」
どれ、一つ盛大に挑発してみようか。
「なあ、そんなところで女子襲ってるってのはどうなんだ? 恥ずかしくないのか? ああ、そんな格好してるんだもんな、恥も外聞もねぇか。そんな格好で『俺かっけぇ‼︎』なんて思ってるんだろ。だれかれ構わず睨みつけて『俺すげぇ‼︎』なんて優越感に浸ってるんだろ。『マナーもルールも関係ねぇ』とか、『俺がルールだっ!』とか?『世界は俺を中心に回ってるっ‼︎』と? 『思い通りにならない世界なんて糞食らえ』って? …で? だからこんなとこで女子を襲ってるって? 女なら言う通りになるから? …ハッ、お子ちゃまかよ、もう一度母親の腹ん中からやり直してこいよ、カスが」
「………………なぁ、ヤタ?」
「…………わかってるさ、秀彦?」
金髪がヤタ、ハゲが秀彦、ね。
ヤダなーお二人さん、そんなに青筋を立ててどうしたのかなー?
「……えっ、と、その、そ、そこまで酷くはないんじゃない、かな、と私は…思ったり…」
襲われてた人がフォローする。襲われていたのに。
あんたそれ、結構酷いからな、私が言えたことじゃないけども。
…………言い過ぎたかな。
しかし、その言葉が二人に止めを刺したらしい。
「「ぶっ殺すッッ‼︎‼︎‼︎」」
うん、まあいいや。
さあ、一方的に完膚無きまでに叩き潰そう。
まず、坊主頭。
こいつは構えからしてボクシングかな。
ただ、性格からなのか重心が前よりになっている。
そして、その状態で向かってくる。
見た感じそれなりにできそうだが、ここはリングではない。
金髪? 知らん。
「フッ!」
ハゲがジャブを打つ。
結構速い。一般人ならここで終わっていただろう。
が、私は魔王だった。
五千年もあった。それで鍛えていないはずがない。
この程度、止まっているに等しい。
全て、当たらないギリギリの所で避ける。
「なっ…」
「…その程度か?」
「オラッ‼︎」
金髪が向かってくるが邪魔なので急所を蹴る。
どことは言わない。強いて言うなら男の。
「おぽあるぁ⁉︎」
「ヤタッ⁉︎…くそっ!」
「い、痛そう…」
あれ?なんか私が悪役みたいになってる?
……あ、悪役どころか魔王だったわ。
あとそこ、手で顔覆ってるけど指開いてるから。意味ないから。
「どうした、そんなものか?」
「……チッ!」
ハゲが舌打ちして少し距離を取る。
様子見かな。
私もノってきたから行ってもいいよな?
呼吸を整え、動きやすいように姿勢を取る。
準備オーケー。
「…行くぞ」
言い終わると同時に懐に入る。
普通なら消えたように見えるだろう。
だが、これはれっきとした体術だ。魔法の補助なし、素の身体能力のみ。ただ、それでも度を越しているが。
「………ぁ?」
惚けているところへ顎に掌打を叩き込む。
もちろん手加減して、だ。
「ッ⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎」
ハゲが白目剥いて倒れる。
よぉし終わった。
あー終わった終わった。さて、がんばって書いてきたいと思います。
と言っても今回は少し雑だと思いますが。
あとあとなんとかして行きます。