先へ進む/少し遠く
●先へ進む
少し離れたところから見つめた
心の距離は実際よりも遠く
僕は眩しいものを見るように目を細めて
忘れないように焼き付けた
幼い頃の手のひらの傷が1つ
口を開けたように見えた
僕を笑ったみたいに
失敗を繰り返している
そう思っていたけど違った
次から次へと広がる世界は
より高次元へと昇っていく
振り返って何が見えたの
もう僕はそれはやめるよ
前へ進むのは簡単だ
いろんなものを切り捨てて行こう
僕をさえぎる全ての物を蹴散らして
痛みを伴って旅に出よう
いつか笑える日が来る
目に焼き付けたその残像だけは僕のもので
そしてそれも忘れる日が来る
忘れる日に
もう何の未練も残さずに進む
僕は日々変わっていきながら
あの日のことを忘れよう
●少し遠く
揺れている影に怯えて
何もしないまま
何を恐れていたのだろう
怖いものなど何も無かったはずなのに
あの時踏み出さなかった足が
今もここにあって
未だ踏み出せずにいる
もうタイミングは逃したのか
そもそもチャンスは無かったのか
諦めきれずに投げた小石が
拡げた波紋を目で追いかけた
水の隅々に行き渡る波を
遠く離れた場所から眺めた
もうあの中へは潜れない
でもどうして今も見つめているのだろう
飛距離は大したことない
片足でジャンプ充分
見えなくなったら万万歳
さあ行こう
さあ共に沈んでいこう