こぼれ話 必殺兵器 1
書こうとして当時には書けなかったエピソード、うまく書けなくてデリートしたファイルやら、連載中には書けなかったガルガンチュアや楠見らのエピソードを、少しづつ書いていく予定です。
本編は完結していますので、直接的なガルガンチュアや楠見の登場シーンは、ごくまれになる予定です。
まずは、連載当時には書けなかったネタを再利用……(笑)
ここは、地球のある銀河系とは遥か遠く離れている、とある銀河団の、比較的小さな銀河にある、とある星。
ここでは、あの伝説とも言える趙大型で超性能の宇宙船と、人類を超える「生ける神の使徒」とも言って良いくらいの力を持つ人たちが遥かな過去に訪れた。
そこから、一気に星の世界には行けなかったが、千年以上の時間を書けて、ようやく宇宙、星の世界へ飛び出せるようになった。
それから数十年。
自分たちの銀河に、いかに多くの種族、多くの生命体がいるのか痛感した、その星の民たちは、もしもの場合にと考え、秘密に、ある一つの計画を考え、実行する。
それは、通常であれば、そのまま秘匿されて遥かな未来への、種族と星の守り神となるだけのものを作り出し、未来へ向けて秘匿するという一見無駄な計画のはずだった。
「これは極秘の計画だ。責任者と一部の技術者、最終組立工程を管理・実行する者たちしか、この計画の全体像と実際の結果を知るものはいない。ちなみに予算を出した統一政府の高官すらも、だ。
これを知る立場にあるものは極力、少人数にせよと統一政府の最高政務長官が暗躍して、別の大型建設計画を立ち上げて、この極秘計画の予算としたわけでな。ということで今、君の目の前にある物は、本来は私や君には決して知ることの許されぬ類のものだということを前提として知っておいて欲しい」
案内役と説明役として喋っているのは「博士」と呼ばれる。
明らかに偽名だが極秘計画ともなれば、そういうこともあろう。
そういう俺の名前は、エヌ。
俺の名前の一字からとって、この偽名を使えと言われたので、そうしている。
この施設の全ての職員・研究員・技術者全てが偽名を名乗っているというのは、ここに来てから初めて知った。
ちなみに、この施設から出て行くことは基本的に不可能だそう。
定年退職もない職場なので相当な老齢の技術者や博士待遇の方たちも、この閉鎖環境で勤め続けるんだそうだ。
つまり、出ていく時は死ぬ時……
いや、もう一つ生きたまま施設を出る方法があるんだそうだが……
それは、何と今までの記憶を全て抹消してしまうこと。
無茶苦茶だと言ったら日常に支障のない記憶は後で戻すんだそうで。
それでも、この施設に入った日から今までの記憶は消されるそうだ。
退職金は高額だそうだが、記憶と引き換えの退職は俺としては御免被りたい。
それで、この極秘計画というのは何と巨大ロボット!
古臭いとか古代への憧れだけだろとか施設内部では、そんなことも囁かれているようなんだが……
それでも守護神としての巨大ロボットというのは、その星に住む生命体に安心感を与える存在なんだそうだ。
この巨大ロボット、武装も豊富では……
というより、数種類しか無い。
貧弱かと言われると、いやいやそうでもない。
防御フィールドは万全なんだそうだが、攻撃時には解除しないといけないのが欠点。
武器類は、内蔵されている大型ミサイルや高出力レーザ、元々の出力も膨大なので腕力も数十万馬力のクラス。
これだけでも相手が宇宙戦艦クラスまで相手にできるそうだが、こいつの主となるバトルフィールドは、惑星上、それも岩石惑星上が望ましいという。
それは、こいつの必殺武器が、かなり偏った性能の武器だからで……
「大きな声というものは人間に衝撃を与えることができるのだ……」
ということで、このロボットの必殺武器は「声」だ。
詳しく言うと、この巨大ロボットには、あらゆる箇所にスピーカーが隠されている。
そして、音声起動により最終兵器としての必殺武器、ワンダーボイスが発動。
通常は隠されて(または防御のため)いる箇所のシャッターが開き、無数のスピーカーが現れる。
相手の位置を正確に測り、必殺武器としての「音」を、そのポイントに収縮させるため、スピーカーの位置・方向修正が行われると、起動準備完了。
最終的な発射指示は、パイロットによる音声指示と、発射キーとなる音声命令。
「ワンダー、ボイス!******」(*****の箇所は叫ぶ言葉や悲鳴)
ちなみに、*****の言葉というのは、放つ言葉により効率に差が出るようだ。
ただし、これには致命的とも言える欠点が存在する。
大きなものは「諸刃の剣」という事実。
いくら、必殺武器発射時に外部音は遮断しているというものの、完全な音の遮断は不可能。
必殺武器とも言えるワンダーボイスであるから遮音など無理で、操縦室でありコクピットに鎮座するパイロットにも、その影響は出てしまう。
数百分の一とはいえ、相手の巨大戦艦や巨大ロボを一撃で破壊するエネルギーの欠片とは言えど食らうというのは……
「ボロボロじゃねーかよ、おい。生きてるかー?」
コクピット内に通信音声が届くが、パイロットには聞こえない。
鼓膜は破れ、視覚にも内臓にも異常が出ている。
テストパイロットが瀕死の状態で運び出されてくるのを見て、俺は自分の未来が真っ暗であることに絶望する。
これは厄介だぞと、メインパイロット候補生である俺は実感した……




