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ようこそ大宇宙へ! 超古代の巨大宇宙船で宇宙を征く  作者: 稲葉小僧
超銀河団を征くトラブルバスター
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ガルガンチュア、クルー募集 其の八 (祝!八〇〇話到達!)

ようやく、目標の一つだった八〇〇話になりました。

感慨深いなぁ……ちなみに、もう少し続きます。


そんなこんなで楠見親子で現場部隊強化訓練を行うようになって数年……

卒業組は一気に現場のトップに躍り出るようなとてつもない実力になっており、それは他の部隊や同僚たちとの実力が違い過ぎてしまう欠点を表面化する。


「おうおう、人質に怪我させたくなきゃ、そこをどいて、車と宇宙船を用意しろ!人質が死んでもいいのかぁ?へっへっへ」


そんな緊急事態でも楠見親子の訓練過程を終えた現場部隊には、あーそんなことするんだ……こりゃ実力行使しかないよなー、くらいの場面でしか無い。


「隊長?俺一人で処理できますんで……君が犯人かな?銃でも刃物でも、人質は引き取るね」


そう言いながら目にも止まらぬ速さで人質を開放し、ついでとばかりに、


「言うこと聞かないバカとアホウは、お仕置きしか無いなぁ……よいしょっと!」


襟首をどう掴まれたのかすら分からぬ状況で次の瞬間には犯人は地面に伸びている。


「はい、終了。隊長、すんませんが、犯人の収容と人質のケア、当局に要請しといてください」


周りが何がなんだか分からずにウロウロしている横で、当の本人だけが案件終了したんで次行きましょ、と隊長と呼ばれた人物に呼びかける。


「あ?あ、ああ、そうだな。本部へ報告、案件終了したので次の案件へ向かう。繰り返す、現在時刻で案件終了したため次の案件へ向かう。以上、詳しい報告は後に提出する!」


それから数分間、伸びてる犯人と元人質も含めて、その場から2人組がいなくなったことに気づかなかったという……

また、とある最前線での宇宙海賊との戦闘シーンでは……


「さーてと!俺が真っ先に乗り込むんで、後は撃ちもらしだけ対応頼むな。心配するな、味方には傷の一つもつけさせんし、相手を殺すこともしない。そこまで俺に本気を出させるような敵さんじゃないってな」


意気揚々と何も気負うこともないふうに敵艦へ乗り込む海兵隊員が一人。

敵の海賊兵が数百人いたりする可能性もあるのに、なんであいつだけ平常心なんだ?

と周りが訝しむ中、当人言うには、


「ああ、こんなもの戦いでもなんでもねーんだわ。俺にとっての命の危機ってのは、もう二年前に嫌ってほど体験しちまってる。あれに比べりゃ今は平穏そのもの。無人の野を行く如しって心境なんだわ」


本当に鼻歌交じりで敵宇宙戦艦や巡洋艦へ乗り込み、本当に敵すら殺さずに無血降伏させる海兵隊員の噂は、あっという間に宇宙軍と情報部まで達する。

そうなると常人離れした噂の主を見たくなる、噂が本当か確認したくなるのが人のさが

噂を集めていくと、その海兵隊員だけじゃなく情報部にも、その他、ごく少数ではあるが現場の主力となっている情報部員や陸海空宙軍に、とてもじゃないが人間がやったとは思えない功績を残す人物がいると判明。


ちなみに公式報告では、その常人離れした活躍の模様は省かれている(書いても嘘か妄想だろうと思われるので意識的に省かれた部分だと思われる)

書類的には残っていないが、その現場を見た当事者たちには強烈な印象を残しているので噂はあっちからもこっちからも出てくる。

いわく、巨大岩を軽く持ち上げて、その後、裏拳一発で粉々に砕いた、とか。

いわく、敵勢力に四方を囲まれてしまい絶体絶命状況でも平気な顔をして、自分たちを囲んでいた敵一個師団を完全に無力化した一兵士、とか。

いわく、対物用狙撃銃で狙われたにも関わらず、目で追えないほどの速度で飛んできた銃弾を、こともあろうに手づかみして、敵の狙撃兵すら驚愕と恐怖に陥れた一人のSP、とか。

そんな、とても信じられない、報告書に書かれない書けないような現場での噂が実は多数あると判明。


これは、もっと上の組織か、あるいはトップのトップが何かやったに違いないと判断した情報部や四軍を纏める参謀本部が集まり、組織のトップであるなら第一統制官しかいない、であるならば、それは第一統制官が計画したか、あるいは深く関わっているに違いないので、詳細を確認しなければ現場が混乱するだけだと結論づけ、それぞれのトップたちが集まって第一統制官へ事情を聞きに行く。


「第一統制官、現在巷に出回っている、とてつもない人間離れした活躍をする少数の軍人や情報部員について何か統制官様が関わっているのならば、お聞かせ願いたいと思うのです」


総勢10名以上、それぞれの部門でトップにあるものたちが第一統制官の執務室にいる。

部門トップにある者が知らされていない情報など本来はあってはならないが、現実に現場には化け物じみた力を持つ人員がいるのだ。

部門を越えたトップ会議で、これは部門を遥かに超えた地位にある人間が関与することだと、ここに押しかけたのである。


「ようやく現場からの話が届いてきたか。まあ隠そうとしても隠せるものではないな、全て話そうか……」


第一統制官から噂ではなく本当にいる超人部隊なのだと教えられた部門長たち。

信じられない話であるが、トップのトップが真実だと告白しているため信じるしか無い。


「でな、彼らは、とある臨時教官二人により鍛えられたのだ。その二人の名前だけは伏せさせてくれたまえ、彼らは軍属ではないし情報部に属してもいないのだから。ただし彼ら二人が現在も、ごく少数の軍人や情報部員を育て上げているのも確かだ。ただし、あと数年で彼らの特別訓練、特別教育は終了する予定だ……超人部隊を常用する気もないし、そんなものが量産されても管理できんだろ」


部門長たちは実際に超人部隊の夢は見たが、第一統制官の言葉で我に返る。

超人部隊は確かに軍や情報部の夢であるが、果たしてそれが実現した場合、現場を完璧に制御できる者がいるか?

軍人とはいえ、将軍や参謀長など普通の人間より少し頭が切れたり、力が強かったり、判断力や直感力が勝っていたりするに過ぎない。

たった一人で敵の一個師団を相手取り、味方にも敵軍にも死者のない、それでいて敵軍を完璧に無力化できるような超人、いや魔王(?)のような存在を上役として制御できるか?

自分に当てはめてみて、いやいやいや、無理無理無理!

となるのも当然。

第一統制官、更に語る。


「私も現場からの要請で、この教導官としての依頼を二人に請け負ってもらったことに今更ながら悔いが残る。要請など、しないほうが良かったのではないかと今では思っているというのが正直なところだ」


実験的に教導官として役職についてもらったが、数年ではなく今年で終了してもらうように懇願してくると第一統制官は言う。


「実は最初、この二人に情報部が積み残していた様々な星系のトラブル、主として反抗勢力や地元星系での汚職管理官たちのトラブルシューティングを頼んだら、あっという間に山積みになってた書類が消えてしまってね。思わず、この二人に、同じような有能な部下がほしいということで特別訓練の臨時教官役を頼んだのだ……人間の限界を超えるような教育トレーニングだったようだが、それを終えてきたごく少数の者たちは、それはそれは優秀……では済まなかったんだよ、実は。それは君たちにも噂として届いているよね」


「第一統制官……それは、その二人が関われば超人部隊すら現実になるということですか?いえ、現実として超人兵士が存在してるわけですから……」


部門長の一人が質問にもならぬ質問をする。


「そう、そういうことだ。君らも気づいただろうが我々通常の能力しか持たぬ者では、超人のコントロールなど無理だ。そして超人を作り上げることのできる能力を持つ存在は……私も後で気づいたが、それは人間を超えているな。言い換えれば「神」だけが、普通より少し能力の高い人間を超人にすることができるノウハウを持つ。君らの中に、ここには数年間のトレーニング記録があるはずだから、それを使えば超人化のノウハウを自分たちも持てると思っているものがいるのは分かっている。しかしな、やっても無駄だ。トレーニングのどれをとっても普通の人間にこなせるものではない。特に後半は彼ら二人の教導の元にある以外、実際にやったら死人ばかりが増えるだけというトレーニングになるものばかり……記録はあるぞ、ちなみに……自分で試したいなら、どうぞ閲覧は許可しよう」


ごくり……

部門長たちの息を呑む音が響く。

しばらく沈黙が続いて、ようやく一人の部門長が、これは宇宙軍の司令長官だ、発言する。


「第一統制官、我々は、その記録を門外不出とし、本当に特別で他に手がない場合を除き第一統制官以外には閲覧すら禁止とされるべきだと考えます!確かに超人部隊の夢は常人には甘いものですが、我々のような管理部門で管理できない、もしもの場合に制御不可能な超人部隊など手にするべきではありません!今現在、各部門にいる超人たちには特別部隊を用意して、通常部隊や情報部員とは隔離するべきだと考えます!」


第一統制官は苦い笑顔で頷き、噂になった超人兵士、超人SP、超人情報部員などは、その部隊や所属組織から特別部隊へ移される。

楠見親子へ謝罪する第一統制官の姿が見られたのは、その後、数日経ってから。


「誠に申し訳ない!あなた達の教えは素晴らしいが、あまりに人間の質を変えてしまうのだ。この銀河ではエスパー部隊すら未だに実現できていないので、もっぱら救助専門で楠見インダストリーズでのみエスパーたちが定職に就いているくらいだからな。通常の兵士が超人兵士になったら、あまりに実力差がありすぎて部隊の中でどう動かして良いのか判断不能となる。この私にしてもRENZは持っているが能力的には普通のエスパーと変わらんのだよ。その普通人が超人をコントロールするなど無理だった……依頼を取り消すと共に深く謝罪する。人を超える存在に、人が依頼や願いを口にするなど不敬の極みだったと反省している。あなたたち親子には、この銀河は狭すぎる」


楠見親子、何度も頭を下げる第一統制官に照れるのか、教官職を辞する時はスッキリとした顔をしていた。


「太二、これでもう思い残すことはないだろう。行くか、ガルガンチュアへ」


「そうだね……この銀河で、俺のやることは無くなったみたいだし……」


二人が並んで人混みを歩いていると不意に二人の姿が消える。

すぐ後ろを歩いていた若い男は、見ていた背中が急に消えてしまい、


「え?人が消えた?な、なんだぁ?!」


上ずった声が上がったが、すぐに都会のざわめきに消える。


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