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ようこそ大宇宙へ! 超古代の巨大宇宙船で宇宙を征く  作者: 稲葉小僧
超銀河団を征くトラブルバスター
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ガルガンチュア、クルー募集 其の四

ようやく、楠見親子コンビが復活します。

でも、義理の息子は一言あるようで(笑)


楠見は、まずテレパシーで義理の息子、太二くんに連絡をとる。


《太二、久しぶりだな、元気にしてたようで安心してる。今現在、どこで何やってるんだ?》


楠見にとりテレパシーは普通の会話手段だったが、迂闊にも楠見太二を育てる時にテレパシーを使ってなかったことを忘れていた。

太二くん、突然のテレパシー通信に驚いたが、さすがにクスミインダストリーズで長年(入社してから数年後には、もう特殊能力を持つ子どもたちの教育と訓練を行う部署の長、いわゆる校長先生役を務めていて、これを部長になってからも続けていたというから、会長職に就いてからの次に長い職歴だろう)テレパシーを使っての会話には慣れていたため、衝撃とまでは行かなかった。


「え?もしかして父さん?ガルガンチュアは、もう遥か遠くへ行ってるはずなのに……いくら父さんでも、超銀河団の距離を離れて俺にテレパシーなんか送れるはずもないから、もしかして……父さんが、この銀河に戻ってきてるのか?!」


太二くんはテレパシーの受信能力には優れていたが、さすがに楠見並の送信能力・特定個人へと絞って送れるほどの能力はなかったので、思わず声に出して返答してしまう。


《ああ、昔に説明した宇宙の管理者に、ここまで送ってもらったようでな。さて、太二、俺の用は簡単だ。ガルガンチュアのクルーになるように説得しにきた。断るようなことはないと思うが?》


「うーん……今すぐには行けないなぁ……俺、今は、こっちの銀河のトラブルシューター的なことをやってるんだよ。父さんのような規模ではないけれど、それなりに忙しくてさ。民間企業の元会長権限での視察と、それに関して視察相手の星間規模や星規模のトラブル解決やってる」


《ふふ、それなら話は早いな。俺も手伝おう。なに、久々に親子で山修行やってるようなもんだろ。星系規模までのトラブルならガルガンチュアが無くても二人の能力だけで簡単に解決可能だろうし》


「えっ、二人で?……いや、ちょっと待ってよ。第一統制官にも知らせなきゃ、俺は今、銀河統一政府の仕事を裏でやってるんだから」


ということで、楠見は太二くんの引越し先に近い星系(当たり前だけど未開拓星系であり、ハビタブルゾーンにある星はジャングルと砂漠の他は海しか無い)で、しばらく待機することとなる。

で、楠見は何やってたかって?


「太二も言ってたが、俺も鈍ってるなぁ、現場から離れすぎてるからな、この頃。待機するのも年単位になるそうなんで、この星で鍛えなおすかな!」


この独り言が全てを物語る。

ちなみに楠見、この銀河に跳ばされてきた時に所持していたのは軽宇宙服(通常の服のようなデザインだが、そのまま宇宙に出ても簡易ヘルメットさえあれば数十分は生き延びられるもの)と、サバイバルツールセット(一見すると十徳ナイフに見えるが、ナイフで大木すら切り倒せる性能を持つもの)が一つだけ。

言わずもがなだが、実は楠見に修行など不要(ESPとPK、つまりテレパシーとサイコキネシスだけで宇宙艦隊と対峙しても余裕で勝てる力がある)

しかし、精神の発達には肉体の発達も必要というのが楠見の持論なので、今回は精神よりも肉体の修行を重視している。

楠見は木を切り倒すのには素手で対応したが、さすがに木の加工にはナイフを使う。

数日でパーツ化まで終わらせ、ちょっとした深いジャングルの傍に小さな家を、ログハウス形式で一週間も経たずに建ててしまう(もちろん独り)

それから修行も兼ねて獲物を狩りに行くのだが、とにもかくにも異星の猛獣や動物。

毒を持つ猛獣などもいたりして、そのへんは過去に経験済みの楠見は、毒腺や皮、内臓は極力食せずに(慣れてきて、こいつには毒はないと分かっている獣に対しては皮も内臓も利用しているが)肉と野草(これも毒草などあるので大変。サバイバルセットに毒検知器のセットがあって助かったと楠見は思う)中心でしばらくは過ごす。


数ヶ月も過ごすと昔の勘や直感、無意識の体のキレも戻ってきて、野性味溢れる体つきの武道修行者の出来上がり。


「さーて……太二からの連絡は今日も無いようなんで、久々にジャングルの奥深くまで行ってみるかな。以前に行ったときには、突然変異種の超大型ボアが居て、キリンとか大型ワニとかまで食ってたからなぁ……あいつも美味かったな、鶏肉そのもので。今日は、どんなやつに出会えるのやら?巨大猪とかだと良いなぁ……」


楠見はお気楽に言っているが、超巨大ボアは無毒種とは言え胴回りが2m以上もある化け物だった。

そいつが食ってたワニも全長3m以上ある大型種である。

楠見が仕留めて、全てを食い切るのに一月かかったのも、むべなるかな(独りで食い切る楠見の食欲も凄いが)

ちなみに、腹を裂くと未消化の巨大ワニが二匹ほど出てきたので、同じくワニ肉食材として楠見の胃袋に収まっている。


一年後には、楠見は往年の強さを、ほとんど取り戻していた。

過去に、この銀河(の、とある星)でも最強と言われていた頃の体力と技なので、今やジャングルの王者の位置に就いている。

クマ種や猪種、蛇種もワニ種も敵ではない(むしろ、食料として積極的に狩り放題)

余った肉・皮などは鞣したり干したりして活用。

今現在、楠見が纏っているのは、巨大ヘビと熊皮とワニ皮からできたコートを兼ねた皮鎧のようなもの。

毒虫の攻撃からも手足を保護してくれるため、日常的に着ている(軽宇宙服は家の棚の上。今の楠見の体の動きと宇宙服では相性が悪すぎる)


「さて、熊肉と猪肉の燻製も完成したな。そろそろ、太二からの連絡があると思うんだが……」


そう、楠見が呟いてから数日後。


「父さん、第一統制官からの許可が降りた。久々に、親子であっちこっちに視察という名の悪人退治だ」


《そうか……待つ間に、俺の方も準備が整ったぞ。会長職兼任で武道家やって頃の勘と素早さが戻った。もう、お前に頼らずとも良いとは思うが……久々の親子旅だな」


そんな会話の数日後、小さな宇宙艇が楠見のいる星に到着。

中から出てきたのは、懐かしや、楠見太二。

1万年ぶりの親子再会だ。


「久々だね、父さん」


「おう、太二も無事に過ごしてたようで。贈り物を使ったのが、これは、中年すぎからか?見た目、俺より年取ってないか?」


「仕方ないよ。結婚して子供が2人生まれるまで使えなかった。結局、50近くで使うことになっちゃったよ」


「まあ、ガルガンチュアに来れば、あっちのナノマシンで少しは若返りも可能だけどな。お前に渡した小箱には古いタイプのナノマシンが入ってたんで、使う前のコンディションには戻れない仕様だった」


地道にスペックアップしてるナノマシンたちなのだった。


「ちなみにだが、今の太二は子供が出来ない体質になっているが、これも回避方法はある。簡単に言えば、お前のクローンを造ってしまえば、そのクローンは短い寿命だけど繁殖能力はあるってことだ」


「で?父さんたち長年のガルガンチュアクルーは、その限りじゃないんでしょ?ほとんど不老不死で、おまけに繁殖能力まであるなんて、それだけでもチート能力だよね。あと、父さんたちみたいなガルガンチュアクルーのナノマシンの使い方って、俺達みたいなクルーじゃない者には考えられない使い方もあるんじゃないかな?そんな気がする」


「んふふふ、太二、正解。攻撃と言うか、半分遊びではあるが、とある銀河帝国艦隊を相手にした時に、面白い使い方をしたことがあった。こちらは絶対シールド張って向こうの攻撃は全て跳ね返した上、ナノマシンのプログラムを変えて、相手に向けてばら撒いた……どうなったと思う?」


「どうせ、父さんの暗黒面が出たんだろ?黒い楠見糺が出てしまうと、相手が銀河帝国艦隊と言えども、酷い目に会うのは確定だよね」


「当たり。ナノマシンに、30分に数十秒だけ不導体と導体を数秒ごとに変えろと指示しただけ……どうなったと思うかな?」


「酷いことやったね。想像するだけで相手の司令官の心が折れるシーンが見えるよ。数万から数十万隻もの艦隊が、バラバラに動き始めて統率どころの話じゃない……半日もあれば、もう自滅してたとか?」


「ふふふ、大当たりだ。こっちが手を出す前に、あっちこっちで衝突やフレンドリーファイヤが発生。艦隊制御どころじゃない司令官は、こっちが動く前に降伏宣言してた」


「恐ろしいなぁ、まったく。無手勝流も、科学レベルが違いすぎると魔法みたいだね。向こうの司令官は一生分の恐怖を味わったんだろうなぁ……可哀想に」


そう言いながら、即席コンビとなった義理の親子は、第一統制官からのトラブル発生星系情報を受けとりながら、順調にトラブルを解決していくのだった……


「ちょっと待ってよ。順調って言葉、間違えてないか?銀河統一政府の情報部が手に負えないからって押し付けられたトラブルばっかしなのに、なんでこう、順調に解決してるんだ?ああ、原因は分かってるさ、楠見親子のコンビだからだよ……でもなぁ……溜まってた重要トラブルが、こうもあっさりと解決していくのもなぁ……」


久々に会う父親である人物が、本当の意味で化け物であったことを思い知る、楠見太二なのであった……


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次は太二の子供達が跡を継いだりして(笑)
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