ガルガンチュア、完成?! その十一
短いですが、ちょっと視点を変えて。
ガルガンチュアの状況と、探してる6隻目の状況です。
話変わって。
ここはガルガンチュアの船内(主船体であるフロンティア)
「ガレリア、6隻目の捜索、どうなってます?随分と銀河内の捜索は進んだと思ってたんだけれど」
「ああ、捜索終了部分は、この銀河内の約60%程度。かなり精査してるんで宇宙空間としても捜索してない部分が無いようにしているくらいだ」
「データはトリスタンとフィーア、そしてオールドマンが担当してるから見落としはなさそうで。それにしても6割方近くも探して、それで手がかり何もなしというのは変だね」
「そのとおり。データが膨大なので断定は未だできないけど、それでも銀河団探査船のような巨大宇宙船を探す手がかりすら掴めないというのが……もしかして今回のターゲットはエネルギーを断っているとか?」
フロンティアが可能性を示唆するが、それはないだろうとガレリア。
「見つかったときのフィーアのように何かの事故で銀河団を遠く離れた宇宙空間で船体が破損しているならともかく、銀河内で事故を起こしたとて船体だけの判断でも跳躍エンジン以外は動かせるから何とかして近くの星系へ到着できるはずだな。そうすればマスターが失われたとしても自分で修理するくらいは可能なはず。まあ自分の判断でメインエネルギー炉を停止させている可能性はあるんだが……それをやろうと判断できる根拠が分からないぞ、フロンティア。それは行動判断として通常は選択肢に入らない……まあ、今のマスター、クスミなら判断の選択肢に入りそうだが……」
「そうなんです、ガレリア。マスターがいるならともかく、現在の銀河の状況を考えても6隻目が探査活動を行ってる痕跡すら見つからないので、現在、6隻目は活動を停止していると判断せざるを得ません。しかし我々は特殊な状況を除けば同じ銀河団探査船が同銀河内にいるなら基本的に存在を感知できるようになっている。これは、いわゆる生命体の本能レベルにまで組み込まれている基本中の基本の回路です。これは破損していたフィーアのようなレベルであろうとも同じなので向こうも我々を感知しているだろうと思うんです」
「うーん……私には何とも言えない。こうなってくると向こうは我々を感知しているにも関わらず、我々が自分を探し出すのを待っているような気もするんだが……まあ、これはいくらなんでも無茶な想像かもな」
「え?ガレリア、それが正解かも知れませんよ。向こうは我々を既に感知し、我々の知らないレベルでステルス行動しながら、情報を集めつつも我々が自分のところへ来る時を待っているということもあります」
「はぁ?フロンティア、そこまでの船なら、それはそれで出会った時に厄介かもしれんぞ。随分我儘な頭脳体の可能性が高いと思われる」
「そうなんですよ、そこが一番の問題……いっそ、我々だけじゃなくてマスターたちも揃って会いに行くほうが良いかも知れません」
と、まだ見ぬ6隻目の性格と、その雲隠れの上手さに呆れているガルガンチュアである。
で、場所も変わって……
ここは、当の(ガルガンチュアから見て)6隻目の銀河団探査船。
当該銀河の、どこの星系からも離れている、まったく孤独な宇宙空間にあり、傍目からはエネルギーを使っているようには見えない。
しかし……
6隻目中心部の一角。
ここでは、本体すらメインエネルギー炉を停止している中、その頭脳体のみが活発に動いて、ごく一部の小型搭載艇のエネルギー炉を用いて、あっちからこっちからとリアルタイムの情報収集を行っている。
「ふむ……ついに私のいる銀河を探し当てたか、ガルガンチュア。今現在は……ほう、5隻構成になっているのか、すごいものだな。しかし、私のいる場所を探し当てることは非常に難しいぞ、ガルガンチュアよ」
どうやら、この6隻目、ステルス装置の起動とかいう話ではなく、ただ単にエネルギーを極端に少なくすることにより、ありふれた恒星や巨大惑星と同じような、いわゆる「木を隠すなら森の中」を地で行く行動をしているようだ。
情報収集手段は?
と言うと、これは普通に小型や超小型の搭載艇を放っているようで。
フロンティアが予測していたように、この6隻目、かなりのレベルで搭載艇のステルス機能をアップさせているようだ。
それでなければ、ガルガンチュアの放った無数の搭載艇群に何も引っかからないはずがない。
「マスターが乗っていないようだな、今のガルガンチュアには。おそらく、マスター含む生命体クルーは、別方面で活動しているのだろうが……惑星に降りて活動しているとなると、私のスタイルでは、情報収集はおぼつかないな。大体、タンパク質生命体などが銀河団探査船のマスターになったことも、そして5隻もの銀河団探査船をまとめた総合マスターになるなど前代未聞であり、この私ですら想像したこともない。さてさて、もう少し、状況と君らの探索を見極めさせてくれ、ガルガンチュア。まあ、私のところへ来たら……マスターが一緒なら合流も考えるとするかな?」
それ以上の呟きは無い。
しかし、ガルガンチュアと6隻目が出会うのは、時間の問題だ。