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ようこそ大宇宙へ! 超古代の巨大宇宙船で宇宙を征く  作者: 稲葉小僧
超銀河団を征くトラブルバスター
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ガルガンチュア、完成?! その四

毎度のように、住居と拠点確保の回。


楠見以外が驚いてる中、楠見は静かに、


「そこまで似てるとは、その天界様と比べて普通の人間である俺には光栄の極みだね。もし良かったら、天界様の記念館のようなものがあるのかな?行ってみたいんだが」


クロークの担当者は、


「あ、はいはい!それならですね……」


と、詳細な地図とパンフレットをいくつも持ち出してきて、数ヶ所の案内を受ける。


「そうか、これほど人気なのか、天界様は。じゃあ、暇を見て全ての場所を回ろうかな」


その方がよろしいかと!

というクローク担当者の強めの言葉を聞きながら、楠見たちは部屋へ案内される。


「ふぁーっと!あーっ、久々の惑星上生活!生活環境は一気に落ちるけど、この完全浄化されてない大気すら、おいしく感じるわー!」


マリーの独り言にしては大きい声を聞きながら、みんなして荷物を片付けていく。

一段落すると、


「さて、今から、この星で長期休暇となる。で、どうするか?ってな話なんだけど……実際の話、どうする?数十年から、長くなると100年以上の休暇になるかも知れないんだ。企業を起こして、最後は大変だけど科学技術を進めていくか、それとも何も手を出さずに、本当の意味での休暇を楽しむか。どうしたほうが良いと思う?」


いきなり始まる、ブレーンストーミング。

完全観光で、この星を旅して回る方針とか、いつものように企業を立ち上げて技術体系に干渉しつつ、国民、いや、星の民たちの精神成熟度を上げていく方針とか、その他の意見も上がっていく。

数十分後、


「そこまでにしよう、今日は。明日以降でも決めていけば良いさ。それこそ、考えながら旅しても良いわけだからな」


郷が質問する。


「師匠?予算はどうします?疑似錬金術やるにしても、それ用の事務所か部屋を用意しないとマズイと思うんですが」


「そうか、資金の問題があるな。どうも、ガルガンチュアで金が不要な生活に慣れてるんで、その点を考えなかった。じゃあ、拠点だけ作って、そこに資金を貯めておくこととしよう。行動方針は、その後だ」


ということで、翌日にホテルをチェックアウトした一行は、不動産を扱っている店舗へ。


「いらっしゃいませ、店舗をお探しですか?それとも住居用のアパート・マンションでしょうか?」


担当者が、揉み手をしかねない勢いで出てくる。

まあ、集団で来店してるので商談相手としては美味しいだろう。

郷が担当者へ、


「物件を見たいんだけどね。店舗の倉庫付きとマンションの広い部屋を」


担当者が、いぶかしげに、


「お客様、ご商売を始められる予定ですね。で、住む場所もと。ご一行皆様で住まれて、店舗も倉庫も使われる、と?」


「ああ。小さな店舗で良いけど、倉庫は大きめで頼む。マンションの方は全員が一部屋で住めるように広いほうが良いね。これは外せない条件だ」


ということで数件のお勧め物件を見せてもらうことに。

店舗物件、マンションと、半日あっちこっちと連れまわされることになるが……


「この店舗は、お客様のご要望に一番適していると思われます……が、ちょっとお勧めできない点が……」


郷が答える。


「え?店舗が小さい割に、大きな倉庫がくっついてますよね。まさに理想的ですよ、ここ。おいくらですか?」


担当者が非常に言いにくそうに、


「お値段は格安です。ですが安いものには訳がありまして……お客様、心理的瑕疵物件という言葉、ご存知ですか?」


それを聞いて郷と楠見はピン!とくるものがあった。


「俗に言う、幽霊というやつですね。倉庫に出ます?それとも、店舗の方に?」


郷が聞くと、担当営業(くっついて来てる。二件とも決まればおいしい客であるため)が答える。


「お分かりになっていらっしゃるようですので、説明いたします。店舗の方には、どうも出ないようなんですが、倉庫の方では何件も目撃例がありまして……セットでしか売れない物件ですので、ここまで格安になってるということなんです。曰く付きということで、ご承知の上でしたら、かなり格安な物件なんですけどね……過去に購入された方たちの全てが。一ヶ月もたずに出ていかれるんですよ……ウチも、どうにもこうにも厄介な物件なんで、できれば、更に値引きしても良いという上司のお墨付きは貰ってるんですが……どうされます?」


ここで楠見が、


「幽霊って、どんな悪さをするのかな?悪霊ですか?」


担当営業が、


「いえ、何か言いたそうに、倉庫のあちこちで、ボゥっと出没するんですと。呪われるとか、そういう類のもじゃないようなんで、その点は安心なんですが……厄介なのは、日中でも倉庫の中は薄暗いので幽霊の目撃例があるってことなんですよ」


郷と楠見、目配せで合図し合う(この辺はテレパシーなど使わない、長年の勘というやつ)


「じゃあ、ここ、買わせてもらいますね。更に値引きがあるんでしたっけ?」


楠見の一言に、仕方がありませんね、では……と、さらに物件の価格を下げる担当営業。


「じゃあ、これで買いますよ。我々は一月どころか、数十年くらい使わせてもらいますので、よろしく!」


「営業トークということで受け取っておきます。買取もやってますんで、その時にはご一報を!」


その後、住むところも決定し、店舗へ戻って正式契約。

マンションも店舗兼倉庫も、リニューアルを行うということで少々、受け渡しに時間がかかるとのこと。

幽霊倉庫の方は?と聞いたら、そちらもリニューアルは行う予定なので、こちらについてだけ受け渡し時期が伸びますとのことで(幽霊物件施工が可能な会社が少ないんだと)


「いやー塩漬け物件が売れたのは嬉しいんですが、大丈夫ですか本当に?」


と、心配する担当営業。


楠見は、


「ははは!たかが幽霊で怖がってちゃ、数十億年ものの集団霊は対処できませんよ。霊魂なんてのは、何か現世に心残りがあるものなんで、それを解決してやればカワイイもんですよ」


と高笑い。

担当営業は、此の人がいるなら、幽霊物件でも安心だろうなと、思ったとか思わなかったとか。


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