銀河のプロムナード 短編集(三編)
短編を書いてから、新しい話を考えます。
さて、次は本編だな!(笑)
楠見の旅も長くなった。
もうすぐ最終形となる6隻目の銀河団探査宇宙船も見つかるだろうし、ここで一息入れて、楠見と関わった様々な人(?)たちのその後を見ていくとしよう。
一人目。
一人と言うかエッタの生みの親である精神生命体。
銀河の一角、どこの星系からも離れたポイントに引きこもり、百数十億年も寝ていた、いわば「究極の引きこもり精神生命体」である。
楠見たちとの出会いで一旦は目覚めたものの、エッタを生み出した後は、また特殊空間に引きこもって寝てしまった。
だがしかし。
一度、大宇宙に出てしまったなら宇宙の管理者に見つからないはずもないわけで……
「お主、今まで何をやっておった?仔細を聞いてみれば、この宇宙の前、ビッグバン以前の宇宙の生き残りだと言うではないか。普通、そんな生命体が我ら管理者の目を潜り抜けて特殊空間を作り出して百億年以上も寝ておるなどということにはならないはずなんだがなぁ……まあ良い、貴重な精神生命体の古株で
新人として管理者の地位についてもらおう」
楠見らと別れてから1万数千年は寝ていたらしいのだが、結局はフロンティアやガルガンチュアの行動軌跡を調べた管理者たちにより特殊空間が見つかってしまい、今は管理者たちの上位次元へと連れてこられている。
「何をやっておったのかと問われるなら、特に何も。私の存在そのものが、この宇宙の前に存在した種族の生きた証となるものなので、まあ生きたモニュメントというところでしょうか。ところで、どうでしょうか?いい加減、私に固有名を貰えませんかね。お主とか、お前とか、君とか、あなたとか色々言われてもねぇ……」
「良かろう……新しい管理者の誕生を祝し、お主に名前、固有名を与えよう。ふーむ……何が良いかの?ねぼすけ、スリーピー、なんてどうか?」
「ねぼすけ……嫌ですなぁ、そんなのは。スリーピーのほうが、まだ良いかと思うのですが」
ではと、固有名が「スリーピー」と決定した元ニートの精神生命体の新しい就職先は……
「何ということか!これではガルガンチュアの後を追う、銀河系で言う「トップ屋」のようではないか!」
「ははは、クサルなクサルな。今の所、我々管理者が一番関心あることなんだ。だいたい、ガルガンチュアと楠見は精神生命体を除けば、肉体を持つ生命体として許可されたことがない宇宙にいるのだぞ。銀河団までなら飛び越える許可を出される生命体もいるが、それとて大部分はシリコン生命体だ。不定形生命体や、ましてタンパク質生命体が銀河団どころか超銀河団まで飛び越える許可を出されるなど前代未聞!スリーピー、お前の生体端末だった生命体もいるようだが、あれとて通常は千年も生きられないのが普通。宇宙船は別としても楠見や他のガルガンチュアクルーは立派に監視対象になるんだ。まあ監視対象とは言えど欠点を見つけるような監視じゃなくて、我々の仕事にも通用するレベルの行動記録を取るということなんだがな」
「先輩?その言いようだとガルガンチュアというのは、まるで未開惑星をどんどん開発していく超有能な機構や組織のようではないか?少なくとも我が出会った頃の楠見は、そこまで有能ではなかったと思うのだが?」
自分が知らない事実を突き付けられたかのように驚く先輩の精神生命体。
一旦、自分たちの上司のところまで急いで戻る。
「と、とんでもない情報が!我が部下のスリーピーが銀河へ出た直後のガルガンチュア、その頃は一隻でフロンティアと呼んでいたそうですが、その頃の楠見らを知っているそうです!今では神をも超える能力の持ち主となっている楠見の、まだまだ最初期に近い頃の情報が得られます!」
この一言でスリーピーは数百年もの間、管理者集団に質問攻めにあう……
「やれやれ……あいつは、いつも吾輩にとって新鮮な驚きを与えてくれる奴よの。そのうち、再度の接触をしてみるのも面白かろうて……」
スリーピーは、こう思いながらも、次々と質問には答えていく……
二人目。
ガルガンチュアが現在跳んでいる超銀河団とは、かけ離れた距離にある、とある銀河団の、とある銀河。
過去にガルガンチュアが関わったトラブルシューティング事例でも、ちょっと珍しい解決法になった星系で……
「やれやれ、今回、ついに惑星どころか恒星系まで飛び出して悪の組織殲滅しろだってぇ?!おいクズミ、お前が大暴れしすぎるもんだから、俺たちまでとばっちり食ってるじゃねーかよ!」
ここは、改名したヤマノことクスミの個人宇宙船、カロン号。
クズミというのは、クスミの二ックネームと言うか何と言うか……
「クスミ、クシュミ……あー!言いにくいんだ、その名前!お前、クズミだ、クズミ!これから、そう呼ぶこととする!」
捜査課全員の総意で、そう呼ばれることとなった。
ちなみに、一つの星どころか都市警察の一部門の元にあるはずの捜査課が、何をどうして周辺星系まで出張って反社会組織を壊滅させることになったのかと言えば、大本は……
「課長、君の捜査課の、この頃の大活躍で都市警察も暇なんだよね。ここはさ、一つ、でっかいお祝いを捜査課全員にあげようと思うんだけど」
この言葉が直属の上司、捜査部長から出たのなら課長も素直に喜んだだろう。
しかし、これが都市警察長官から出たとなると大問題。
課長にとっちゃ上の上の、そのまた上の、いわゆる「雲の上の存在」からのお祝い?
課長は喜びの表情を引きつらせて、
「い、いえいえ長官。どういたしまして。我が捜査課のモットーは迅速で徹底的な捜査と、その排除・逮捕ですので。街が平和になれば我々も、やりがいがあるってものですよ」
言外に、お祝いは遠慮しますと言いたかったのだが……
「いやいや、このところの大活躍、メディアでも毎日、引っ張りだこではないか!それと、あの謎のコスチューム拳法男。あんな隠し玉持ってるなんて私も知らなかった……都市警察長官たるトップの、この私も、だよ!」
課長は長官が何を言いたいのか、ようやく理解して、
「いえいえ、あの協力者は善意の第三者で相手が強力な兵器を持ち出してくると分かっていると、どこからともなく現れてくるんですよ。でもって逮捕にご協力願ってるということで……あの?長官?」
「ちなみに私は役職柄、宇宙省長官とも知り合いでね。先代長官が話してる伝説のテストパイロットだったナンバー101、その頃は「ヤマノ」と名乗っていたと聞いたんだが、その彼、君のところに来た新人くんが激似なんだよねー、不思議なことに……」
「そ、そうですか。新人、クスミと言うのですが、彼も、この世には自分と瓜二つ、同じ人間がいると言ってましたなぁ、はっはっは!」
はぁっはっは!
二人は一緒になって笑う。
そして……
「では、お祝いだ。君の部署を独立捜査課と呼称し、どの部門、どの検察官にさえ、そして、我々の天敵と言われる「都市警察監査官」たちにも手出しが出来ないように、君らの部署管轄を都市ではなく宇宙全体とすることとした。これで今まで不可能だった宇宙船を持つ敵組織に対する捜査と逮捕、そして必要とあれば殲滅する権限も持つ!詳しいことは、この命令書と規約書類に明記してある。この都市や星、星系に縛られること無く自由にやりたまえ!では、活躍を祈る!」
あわてて長官への敬礼を取る課長……
いや、もう独立捜査課という一部署の長……
辞令と命令書、規約書類を受け取ると捜査課へ戻り、そっくりそのまま部下たちへ通達。
喜ぶ者たちと悩む者たち。
そりゃそうだ、都市内に家族や家庭を持つ者だっている。
独立捜査課とは言え根無し草ではない。
しかし、ここでクズミことクスミから思わぬ一言。
「あのー……俺の宇宙船、大きいんで、ご家族も乗れますけど……」
どのくらいの大きさなんだ?
というリクエストに、
「全長は50mほど。全周は300mほどの円筒形に近い楕円形ですかね。宇宙へ出ても不便ないように、部屋数は多いんで、ここにいる全員の家族が移ってきても大丈夫かと。性能的には、跳躍航行は数100万光年でしたら普通に行けます。まあ、銀河内部を航行するだけでしたら充分ですが、銀河を超える旅となると装備や食料の面で問題が大きくなるのではないかとも思いますけど。あ、物資輸送中心に考えられてるんで各部屋は広めなんですが」
さっそく、見に行こうぜ!
ということとなり、
「こりゃ、一番狭いのでも俺の借りてる1DKより広いんじゃないか?それどころか、最大で5DK相当の広さ?おいおい、どこの豪華マンションだよ。宇宙船だから空調や家電に関する物も作り付けと……乗員募集したら倍率10倍くらいになりそうなほど豪勢だな、おい」
課長の感想である。
クズミことクスミは、
「いや、これでもオリジナルのガルガンチュアには及ばないんだけどなー……あっちは一つの惑星並だけど」
と呟く。
数週間後(職場の引き継ぎや書類引き継ぎ、警察署とは言えお役人だ。引き継ぎは完璧にしなければならないし、その時間も必須)には、ようやく独立捜査課と、その家族がカロン号へ引っ越しを済ませて、そっけない宇宙船内部が一気に人間臭くなる。
そのまた数日後、食料や水、宇宙航行に不可欠の資材やらカロン号の所属変更届(今までは個人所有であったが、これからは政府への貸与となり、かなりの節税となるようで)もろもろの手続きが終了して宇宙港を飛び立つ許可待ちのカロン号。
「カロン号、発着許可が出た。無事な航行を祈る、オーバ」
管制よりの通信が入る。
「こちらカロン号。ありがとう、そちらにも平和と安心があるように、以上」
ロケット噴射どころかイオン推進特有の大気のゆらぎすら見せずに、カロン号はゆっくりと上昇していく。
航空機の限界高度を超えるとカロン号は徐々に増速していく。
L1ポイントにある管制ステーションを過ぎて惑星間速度へ。
だんだんと速くなるカロン号は、そのまま惑星系の外れへ。
その後は命令書にある某星系へと跳躍航行を行う予定。
その某星系でも奇妙なコスチュームを着た格闘技男と他所の星系から来た独立捜査官の部隊による、地方での圧政と賄賂や麻薬などというご禁制品を扱う反社会組織が次々と壊滅状態になっていくのは、もはや当然のこととも言える。
三人目。
これもまた別の銀河。
ここには楠見と呼ばれる人物がいる。
ガルガンチュアが、この星を訪れてから、もう千年近くが経つ。
そして、この星にいる楠見は……
「銀河統括第一執政官、もうすぐ目的の星に到着します。しかし、私は未だに半信半疑です。第一執政官が表敬訪問するなどという人物が本当に、こんな辺境も辺境……未だに周辺星域は未開発ではないですか……大昔の仙人とかいう存在じゃあるまいし、隠遁生活してるなんて私には信じられません」
報告を受ける、この銀河最大の権力を持つ第一執政官。
政治体制は帝国制に近いものとなっているが、面白いことに権力者は有能性が認められないと判明した時点で、あるいは自分が権力の座から降りたいと願った瞬間から、権力者の座から降りることになる(自発的に降りるのも可能)
第一執政官と言う、軍の最大権力者であり政治的にも膨大な力を持つ人物が、わざわざ数週間もかけてドのつく辺境星域の、それも未開拓星の未開拓地域(開拓の予定すら無い)に来る理由が分からない副官である。
「ご苦労、副官。ああ、ようやく会えるな、私が子供の頃から憧れていた存在に。ちなみに直接お会いするのは私だけだ。悪いが他の乗員や護衛、副官の君も、この艦に留まることを命ずる。ここは我が銀河でも最大の秘密であり、聖地であり、それほどの人物がいるということなのだ」
護衛組織のリーダーも、それは聞かされているらしく、うなずいている。
副官も、それは了解しているとはいえ……
「しかし、第一執政官!しきたりは理解できますが、貴方は替えの効かない最大重要人物なのですよ!向こうからやってくるという事には……」
「それはダメだ!私ごときが、あのお方に足を運ばせるなどと……考えただけでも恐れ多い!私はな、君の考えているような重要人物ではない。今からお会いする方こそ、この銀河の体制の基礎を築き、それを固め、見事に銀河統一という成果にまで成された、まさに、生きている伝説のお方なのだ」
副官は、それでも本当の話だとは思えない。
大体、第一執政官の言葉を真面目に受け取るならば、今から会うという人物は1000歳に近いはず。
執政官制度というものが生まれてからでさえ、もう300年近い時間が経過している。
統一銀河政府が生まれる前、星系どうしが争う群雄割拠時代すら500年くらい前に終わっているので、その前の、なんと星系どうしが交流していない宇宙暗黒時代。
つまり、現在使われている跳躍航法すら未発見の時代になるわけで……
「第一執政官、個人的ですが質問が。これから会われる人物は1000歳を超えるはずですよね……人類だとは到底思えないのですが、もしかして、伝説のシリコン生命体とか?」
問われた方は苦笑気味に、
「はは、まさか。シリコン生命体は私も会ったことはないが、昔に聞いた話だと生命活動の速度が違うので我々人類をふくむタンパク質生命体とはコミュニケーションが普通にはとれないとのことだ、例外はあるがな。まあ、これも私が幼児の頃に、あのお方に聞いた話だがな」
副官は驚き、
「え?第一執政官が幼児の頃?失礼ですが、第一執政官の御年は確か150歳を超えているはずでしょう……それが幼児期に会っていると……」
「そうだ、私が子供の頃には、あのお方に指導を受けたものなんだよ。まあ、子供の頃には、いつか、この人のレベルに追いつきたいと憧れたものだ……」
互いに会話をしていると当該惑星から着陸準備が整ったと返事が来る。
「お、ついに100年ぶりにお会いできるか……この頃は、この瞬間を楽しみにしていたんでな。副官、悪いが着陸したら、君たちは宇宙船内で待機だ」
数十分後、球形艦は、どこに隠れていたのかと思うような立派な宇宙港へ着陸していた。
数時間前には未開惑星だと本気で信じていた惑星だったが、
「これは……地下施設をリフトで上げているのか?宇宙港を、ここまでして隠すなど正気の沙汰とは思えん。ここの執政官は鎖国でもするつもりか?」
通常、宇宙港を秘匿するなどありえない行為なので副官の言葉も間違ってはいないだろう。
「先生!ようやくお会いできましたね!100年ぶりでしょうか……私がクスミインダストリーズから離れて数年後に同窓会でお会いしたのが最後でした」
声をかけられた本人は何を言っているのかと言いたげに、
「違うぞ、君。その後、執政官候補に推薦してやったときメディアで対談しておる。あの時には若くて青かったが君は夢に燃えていたな。あれから90年ばかり……すっかり老成しおってからに。政治家としては優秀だが銀河が劇的災害や戦いの海に飲まれた場合、心配になってくるわい。まあ、その時には私が駆けつけるが、な」
「ははは、頭が上がりませんな、いつになっても。ところで、ちょいと厄介な事案がありましてですね……アドバイスを受けたいのですが……あの対談時にも何かあったら相談に来いと言っておられたので、今回、仕事を詰めて時間を作ってきたわけです」
うんうん、そうじゃろうとも……
と言わんばかりの笑顔で相談を受けるのは、本名を「楠見太二」という。
ガルガンチュアで、この銀河を訪れた時、両親から捨てられた太二くんを拾い、育て上げたのは「楠見糺」その人だ。
スパルタでは片付けられない教育方針で太二くんは強靭な身体と世界最高峰(どころか超未来の知識まで)の教育を受け、一種の超人と化す。
20歳まで太二くんを育て、その後、ガルガンチュアは当銀河を飛び立ち、新しい冒険とトラブルを探して旅に出たわけだが、その後の太二くん。
とりあえず、クスミインダストリーズの中で地位を固めつつ、課長から部長、常務から専務、副社長から社長……
最終的には子会社も含めたクスミインダストリーズの総会長となり、その頃には100歳を超す。
部長時代に結婚し、子供も2人いるが最愛の妻とは40年ほどで死別。
子どもたちも順調に育ち、家庭を持ったことを確認して太二くんは父親から貰った家宝の小箱を開ける。
その時、太二くんは80歳過ぎ。
しかし見た目は中年に入りかかった青年期の終わり頃の男としか見えない。
父と過ごした修行時代の頃と肉付きは変わっていないように見えるが……
「さーて!クスミインダストリーズの宇宙展開だ!まずはお隣の星へ、次はその隣……200年も経てば跳躍航法もロックが外れるだろうから、そしたらお隣の星系だぁ!」
その言葉通り、本社と支店が目まぐるしく移動していくクスミインダストリーズは、圧倒的な資金力と技術力で、移民や星の開拓、そして、他の星に住む生命体をも平和的に取り込みつつ、銀河を経済的に統一していくこととなる。
その最前線には必ず楠見太二御大の姿ありと言われるほど、会社の発展と太二くんの姿は重なっていった……
閉鎖的で攻撃衝動の強い生命体種族であろうとも、クスミインダストリーズは負けない。
閉鎖的で攻撃的な種族なら、そうなる原因・トラブルがあるはずだと対話を繰り返し、最終的には原因やトラブルそのものを解消・解決していく様は規模の小さなガルガンチュア(この銀河では太二くん以外に知っているものはいない)のようだったと社史には書かれている(書いたのは太二くんだが、ガルガンチュアが何なのか分かるものがいないという謎の文章になった)
銀河内に、あまねく「クスミインダストリーズ」という社名が響き渡るころになると、ようやく政治的にも統一銀河が必要だという世論が出てくる。
厄介なことに、これが銀河統一戦争の引き金を引く……
辺境部から起きた戦乱の火は、時を待たずに中央部へも飛び火する。
あっちでもこっちでも、俺が銀河を統一してやらァ!
と勇ましい声を上げるやつが出てくる。
でもって、これにクスミインダストリーズは?
というと、何も関わっていない(歴史の事実)
宇宙船は提供しているが、その他の兵器類については宇宙航行用にも使われるレーザー砲のみが動作を許され、後はスタンナーやパラライザー等の非殺傷兵器しか動かない。
これにより戦争が長引いたと歴史家は言うが、戦死者が銀河規模の大戦争だと言うのにごく少数だったのが、正解だと歴史が証明している。
250年の長きに渡り大戦争を繰り広げた(その割に犠牲者はごく少数)が、ようやく統一銀河体制となってからは順調。
さすがに規模が規模だけに、自治権やら商業権、あらゆるトラブルや宇宙災害に対しても、初期の頃は初動態勢が整うのに時間がかかったが、いつの間にかクスミインダストリーズの各星系支店や営業所のバックアップ体制が整い、銀河の端から端まで一時間もかからずに救助隊が跳べる体制が制定されていく。
その救助隊には自動的にクスミインダストリーズより派遣された超常能力者たちのグループが付随しており救助資材と共に短期での救助と復興作業に従事する。
現在、第一執政官を名乗る者も、この時に宇宙震災害現場へ派遣された経験を持つ。
この時には一つの星系が宇宙震被害に遭うという、とんでもない激甚災害となり、さすがに太二くんすら現場へいく事態となる。
太二くんは950歳を過ぎて総会長職を引退する。
そして未開惑星だったこの星を選び、少々の手は入れたが自然は可能な限り残しつつ、隠遁生活へ入っているわけ。
「……そうか。この銀河は、また私を必要としているのか。では、また少しの間、頑張らねばな」
そう呟き楠見太二は微笑を浮かべつつ第一執政官の後をついていくのだった……