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ようこそ大宇宙へ! 超古代の巨大宇宙船で宇宙を征く  作者: 稲葉小僧
超銀河団を征くトラブルバスター
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銀河団探査船、5隻目登場! 十九話目 最終話

ようやく、唐突ですが最終話!

終わらせないと、次のキャラクターが拗ねるんですよ(笑)


楠見や郷たちの活躍(陰の陰謀というか?)により、この銀河においてトラブルの原因となっていた「人類種族優遇」方針は、ようやく訂正されることとなる。


「いや、申し訳なかった……シモン枢機卿にも言われましたが、我々の銀河にはガルガンチュア本体が来ていなかったので、あの者たちも事態を甘く見ていたところがあるのでしょうね。これを放置していたら、どこか辺境部の一星系から、人類種族の帝国を作れという勢力が出てきても不思議じゃなかった状況だったのは今更ながら私も冷や汗が止まりませんでしたよ、まったく」


この銀河の「ガルガンチュア教団教皇代理」は、その名を誇るでもない低姿勢で、シモンと郷、エッタに平謝り。

実は教団の高い地位にある一部の者たちが結託して、辺境部の過疎星系で種族の選別実験を行っていたことが発覚したからだ。

幸い、特定種族の絶滅などという行き過ぎた行動には至っておらず事なきを得たが、教団としては放っておける事態ではないことが判明。

シモンと郷から、あのパーティでのテレパシー心理チェックに引っかかった者たちを、それでもやんわりと質問しながら心理誘導したところ、特定の星区に属する上級司祭や、その星区を統括するべき枢機卿の一人までが関わるという大事になっていたため、あわてて教皇代理の名において、教団内部の警備隊の一個大隊と、それにも増して重要な監察官を中央星区から丸ごと一部門、派遣することに。


そこまでやって早急に事態を解決できたのだが、その後が問題となる。

彼らの背後にある「人種差別」意識だ。

彼らそのものには、そこまで強い差別の意識はなかったようで、どちらかというと「人類種の優遇」くらいだったようだが、教団の教えに明確に反する。


「お前たちは教団の教えを何と考えているんだ?!ガルガンチュアは、様々な人種や生命体が全て生命という意味において等しいと宣言されているのだぞ?!それを、特定種のみ優遇?その他は優遇しないのだから平等?よく、その口が動いたな!バカモノたちが!教団での地位は剥奪!見習いから、やり直すがよい!」


教皇代理という、この銀河での最高権力者に一喝されて、この一件は片付いたのだが……

シモン枢機卿が、こういうのは、つくづく根が深いと……


「いや、我々の銀河でも時折出てくるんですよ、こういう奴ら。その度に組織を潰したり、なだめすかしたり、あまりに過激なのは特定個人の逮捕と組織解体・個人の洗脳解除までやる羽目になるんですが。これ、人間というやつの宿命なんでしょうかねぇ……こういう人類絶対主義に近いような考え方するの、人類種だけなんですよ。人類種と一言で言いましたが、もちろん、その中には天使族やら獣人族もいるんですけど……見た目で判断しちゃう軽い奴らが多いというか何というか……」


愚痴が止まらない。

郷が苦笑しながらも、


「その人類種から、ガルガンチュア教団の屋台骨というか、信仰の中心となるクスミさんも出てるんだがな。ちなみに俺も人類種だ。どうも、人類種は始祖種族の血を受け継いでるだけあって、進化の可能性が高くなるのは避けられないようで。だけど、その進化が間違った方向へ行くと、こういった厄介な奴らが出てくるんだろうなぁ……」


慌ててシモンが弁明する。


「いやいや、郷さんや、神の代理人クスミ様が悪いと言ってるわけじゃないですってば!まあでも、そうか……進化の可能性が高くなる分、間違った方向へ進化する個体も多くなるという……これは、ロックフォールに報告する際に重要事項として記載させていただきますね。しかし、そうなると教団のとる方針として……」


「他の種族と人類種族の精神方面の研鑽方法を変えたほうが良いかも知れないな。人類種だけ、もっと高度な研鑽方法を選択できるようにしたほうが良いのかも知れない……今までの精神修行が生ぬるいと感じる、ごく一部の者たちに関して教育機械のプログラムを再調整するくらいの手は嵩じたほうが良いかもよ?もしかしたら、彼らは教団の反逆者ではなく進化し始めた者たちかも知れないんだから……」


シモンは、その郷の言葉から何か得るものがあったようで。


「ありがとうございます、郷さん!これは、この銀河だけじゃなくて、我々の銀河にも通用するかも知れません!至急連絡便を飛ばして、ロックフォールや教皇様自身にもお伝えする予定です。では、資料と報告書作りに入らせていただきますので、これにて!」


さっと、その場から消えるシモン。

あまりの素早さに、いなくなったことに気づかない人間も周囲にはいた。


「ともかく、この事件で、改めてガルガンチュアクルーの優秀さと力の底知れなさを思い知った……教皇代理なんて肩書捨てて、この私も教育機械で学び直さねばならぬようだ。シモン枢機卿も、報告が済んだら改めて話し合いたいことも多々あるでしょう。教団の方針変更にも関わりますので、まだガルガンチュアには戻らないでくださいよ、ゴウ枢機卿、聖女エッタ……くれぐれも、お願いしますね!」


念を押されてしまう郷とエッタ。

苦笑はしているが、一応のトラブル解決にホッとしているようだった。


それにしても、なぜ、急にトラブルの原因が解明され、急激に解決に至ったのか?

これについては、教皇代理が、いみじくも……


「彼ら人類種優越主義者たちが今まで教団のチェックを掻い潜れたのは、物資や人員の輸送が滞ってたからなんです。数年前までは、それこそ中央部にいるものが辺境へ視察に行こうとするだけでも、あっちの業者とこちらの業者、最低でも4つの路線と業者へ予約を入れなきゃなりませんでした。これでは、彼らのような教団の反逆集団へ、予め視察へ行くよと触れ回っているようなものですからね。向こうでも対策をとったり資料を改竄する時間をとれるわけです」


「ほうほう……それが数年前から、流通がスムースに流れるようになり、物資も人員も、すぐに目的地へ送れるようになったと……」


郷が、意外なことを聞いたと返す。


「ええ、それで、とある監察官が急に辺境星区へ抜き打ち監査を行った時に、資料やデータの改竄と、詳細は分からなかったようですが何かの陰謀が動いているとの確証を得たとのこと。後は楽でしたし、速かったですよ……それにしても、今まで教団の力を持ってしても、資材や人材の流通そのものの根本的な渋滞は解消できなかったので諦めていたのですが……さすがはガルガンチュアの御力ですね。教団のトラブルの本質的なものは運送方面だと、どうやって気づかれたんでしょうか?」


郷は、さすがに苦笑しながらも、


「いや、それはさすがに偶然ではないかと思うのですが……まあ、クスミさんの超常能力が未来予知にまで広がったという話は聞いてないですから。あ、でも、本能的に物や人の滞りは感じてたんじゃないかなぁ、あの人。個人的に、今回のトラブルシューティングに運輸なんて関係ないだろと思ってたんですがねぇ……俺の予想のほうが間違ってたのは素直に認めるとして、ここまでトラブルを根本的に解決できるという師匠の力は……もう人間離れしてるんじゃないか?」


ちなみに、楠見の輸送会社は、もう後進に譲ってしまっている。

優秀すぎる社長と副社長、そして経理部長が揃って抜けた超巨大運輸会社は、それでも新社長と新経理部長を教団が後押しするような形で、さらに業務を拡大しようとしている。

今後は、銀河中央部よりも辺境を重視する形で定期輸送便も倍増するとのこと。

社長業を辞めて現在はガルガンチュアに戻っている楠見は、


「物や人の輸送が糞詰り起こしてるときには、一刻も早く渋滞してる原因を解消しなきゃいけない。俺は、太陽系でも同じような交通トラブルを受け持ってたことがあってね。天災や季節によって地上の交通が止まってしまうようなトラブルを、あっちこっちで解消してまわってたよ。あっちで雪かき、こっちで融雪剤撒き、こっちじゃ地震でダメージ受けた道路網の現状把握と迂回路作成……寝る暇もないほどだったか。結局、トラブルは数時間かからずに全て解決したけどね」


一惑星の交通トラブルと銀河規模の交通トラブルを一緒にするなと、誰かさんなら言いたくなるのだが……

一緒にしちゃって解決までやっちゃう楠見がおかしいのである(笑)


この銀河も、とりあえず平和である。

宇宙は、なべて平和に……

なるわけないものを、それでも目の前だけでも平和と安全を与えようと宇宙を跳ぶ宇宙船と存在がある……


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