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ようこそ大宇宙へ! 超古代の巨大宇宙船で宇宙を征く  作者: 稲葉小僧
超銀河団を征くトラブルバスター
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銀河団探査船、5隻目登場! 十八話目

視点変更回です。


場面は変わって、楠見達の運送会社。

ガルガンチュア教団のお墨付き及び優先業者となってから、あっという間に中小の運輸会社を吸収合併し、今では、ちょっとした星系軍並みの艦船を保有する超巨大運輸関連会社となっていた。


保有する宇宙船は大型の貨客船が十隻。

中型宇宙船は数百隻になり、これが今は一番の稼ぎ頭。

これはガルガンチュア教団の人員異動が一段落したことで、大型を使うまでもない開拓星への移民団や教団の資材運送が主となっているから。

ちなみに小型宇宙船は全数が救助・医療船に改装され、緊急時の快速が必要とされる辺境・開拓星での急病患者対応専用として数秒単位で教団や星系首都から救急コールがかかっている。


「はぁ……疲労は蓄積してるが、すごい設備だよなぁ、この船。俺、去年まで首都星系の緊急医療隊にいたんだけど、ここの装備が羨ましくてねぇ……あっちだと、やたらめったらと医療薬品を積載して、それが患者に効くかどうかは運任せ!だったんだよ。ここの医療船は凄いよなぁ、それに比べて。持ってく医療ケースは一つだけ!それが未知の病原菌だろうが何だろうが効かない病人は無いという……万能薬と言うらしいが俺達は奇跡の薬と呼んでたんだぜ。それが今じゃ仕事で普通に扱えるという……報酬の面もそうだが、この会社、従業員にとっちゃ天国に近いだろうが」


「ああ、お前、首都星系の医療隊出身か。分かるぞー、その気持ち。俺は辺境出身でな、子供の頃に得体のしれない疫病に罹って明日をもしれない病状だったんだが。この会社の医療船が回って来てくれて、あっと言う間に回復してなぁ……それから、この医療船に乗りたくてガルガンチュア教団の辺境学校で猛勉強したさ。あそこの教団は親切でねー、数年で医療従事者の免許と小型快速艇のパイロット免許取得して真っ先に就職先に選んだのが、ここさ。緊急出動が日常なんで確かに重労働だが、完全交替勤務だし休みもタップリあるし、給与は首都星系救急隊よりも貰えるし、確かに天国だぞ、ここ」


ここの医療専用宇宙船や緊急災害対応宇宙船の乗員は、あまりに過酷な任務ゆえ、最前線で活動できるのは、およそ十五年。

それからは本部や現場中継基地などの裏方要員として活躍することとなり、それはそれで現場のバックアップやフォローで助かっている。

ちなみに、バックアップ要員だとしても現場経験者ということで、このまま首都星系の緊急医療現場のバックアップ要員へヘッドハンティングされる者たちも少数、いたりする(報酬や待遇の面ではない、そっち方面なら、この会社に残ったほうが良い。緊急医療隊の人員が少なすぎるという現場の苦労を知りすぎているからこそ、俺がやらねば誰がやる!という義憤と情熱に燃える漢たちが首都星系へ転職していく)


ちなみに、お隣の銀河(ガルガンチュア教団の本家本元)と同じように、なぜ万能薬を通常の薬局で販売しないのか?

これは、隣接銀河と違い、まだまだ、こちらの銀河が未開拓地が多すぎる事情による。

これは、ガルガンチュア教団の前に、お隣さん銀河には、まがりなりにも「銀河連邦軍」なるものが存在していて、辺境へも、その力の一部を注いでいたから未開星系開拓も比較的安全に行えたのと(まあ、ガルガンチュアクルーと比較するのも間違っているが)強力なエスパー集団が存在していたというのが差として大きい。

こちらの銀河が移民やら開拓団やらを比較的安全に行えるようになったのは、わずか数十年前に過ぎないため、銀河辺境や辺境付近の星系などに薬局を開こうなんて物好きな奴は、まだ少数しかいない。

よって、未だに薬局での万能薬販売自由化は行われていない(まあ、銀河全体の安全が高まり、辺境の人口が増えていけば、そのうち教団から万能薬自由化のお触れが出るだろうが)


「おーい、ライム総務部長!今週の予定便で、まだ手つかずの奴は……ああ、こいつか。この周辺宙域、まるっと俺が配達してくるんで、少しは従業員を休ませてやってくれ。仕事が多くて、やりがいはあるんだろうがなぁ、あいつら、働きすぎだ。少しは有給休暇を消化しろと、総務の方からも突っついてやってくれないか」


「はい、社長、了解です……が、先頭きって働き詰めなのは社長でしょうが!経営陣に残業制限は無いというものの、いつから休んでないんです?ちょっと失礼、社長の勤務日誌を……はい?!半年間、ずっと休み無しで宇宙暮らし?!駄目ですよ!この一大ルート配送終わったら、強制休暇10日間です!あまりに上が休まないんで、下も休めないんですから!」


「……ははは、やっちまったかな?確かに上が休まなきゃ駄目だよな。よし分かった!この巨大ルート配送、早々に終わらせて休暇に入るとするわ!」


「お願いしますよ、社長。まあ、体調崩すとかは考えないでも良いのは、こちらとしても助かりますが……では、お早いお帰りを」


「おう!行ってくるぜー、ではな、以上だ」


はぁ……

ライム総務部長は、いつものことながら、楠見社長の異常な程の行動力に呆れ果てる。


「まあ、あれだけやってもお遊び感覚だからこそ、銀河や銀河団、超銀河団なんて単位で宇宙のトラブルバスター、やってられるんだろうけどねぇ……さすがのアタシも、目の前で、あのバイタリティを見せつけられると、あまりの差に……従業員が引っ張られるのも理解はできるんですがねぇ……」


従業員の心身の健康管理を担当する部署のトップとしては、あまりにバリバリと働きすぎる会社トップというのも問題だと痛切に感じるのだった……


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