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ようこそ大宇宙へ! 超古代の巨大宇宙船で宇宙を征く  作者: 稲葉小僧
超銀河団を征くトラブルバスター
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銀河団探査船、5隻目登場! 六話目

ころころ視点が飛びまくりますが、ご勘弁を。


こちらは楠見たちの班。

順調に運輸会社は立ち上がり、中型でも快速船を持っている会社ということで、少々割高な運賃でも、運送できる量と速さを売りに商売の規模を大きくしていく。

今日も今日とて、


「はいはーい!スペースロジスティック クスミでーす!お運びする荷物ですが……はいはい、30t近い荷物量で、できるだけ速く目的地へ……はい、それでは運送距離は約7000光年となりますね。料金表から、ざっくり計算しますと……このようになりますが。あ、はい、料金先払いでしたら、かなり割引も可能ですよ。お届け先で着払いも可能ですし……はい、ではそういうことで。ありがとうございましたぁ!はい、お荷物は宙港で、いつもの通り、お待ちしております!」


コミュニケータを切るライム。

営業と経理と総務を受け持っているらしい。


「しゃちょー!++宙域への発進準備完了しましたぁ!いつでも飛び立てますよー!」


キャプテンから社長へと変わっただけのような気がするな、と思いながらも、


「おう!今回はルート配送に近いから、あっちこっちへ立ち寄りながらの荷物配送になるんで、燃料消費に気をつけて行ってくる!それじゃ、ライム経理統括部長!行ってくるぞ!」


「はい、行ってらっしゃいまし、クスミ社長!お気をつけて、ご安全に!」


早速、宇宙港から貨物満載で飛び立つ中型貨物船。


「仕事は有り余るほど入ってくるんだが、そろそろ、こいつ一隻だけじゃこなしきれなくなりそうな仕事量になる。もう一隻、買うか?プロフェッサー」


「それが良いかと、我が主。私、副社長にも、そろそろキャプテン職というものを体験させないと」


「それもそうだな。この仕事が終わったら、プロフェッサー用に、もう一隻、中型貨物船を買うとしよう。なーに、予算なら、たーっぷりとあるぞ。なんにしても、こいつの改造に思ったよりも金がかからなかったんで、予算が有り余ってる状況なんだから、我社は」


「予算が少なかったのは、かなりの資材をガルガンチュアから転送してもらったからでしょ、我が主。普通なら改造費だけで、この船と同じくらいの費用がかかるんですけどね」


「まあ、そういう事情があるから、会社組織としては異常なほど経費や予算が自由に使えてるんだ。税務関係でライムが困ってるらしい。通常の燃料代に比べて、こいつはあまりに燃費が良すぎます!だと。一回の航宙にかかる費用が安すぎて、税金対策に頭を抱える程なんだとさ。他に様々な節税対策してるから、こんな弱小企業が業績を伸ばすことができるんだけどな」


「ところで、我が主。この船の燃費が異常なほどに良いのは、我が主のせいでもあると思うんですが。発進や着陸時の質量噴射、あれ、ひょっとしてダミーじゃありません?」


「ふはは、バレたか。実は、最も燃料をバカ食いするのは、この大きさの船が発進と着陸する時だからな、それをサイコキネシスでアシストしてやれば、ほとんど燃料消費無く発進も着陸もできるようになる、という算段だったが……ここまで燃費が良くなるとは思わなかったね」


「この船はエンジン換装してないんですよね。こっちの技術で作られた跳躍エンジンと、その補助として付けてあるロケット型エンジンとイオンエンジンが、そのままだと聞いてますが?」


「そうなんだよ、フィールドエンジンにしたかったんだけど、あまりに技術のレベルが違いすぎて不審がられますとライムが言うんで、エンジン換装は止めたんだ。まあ、フィールドエンジンの場合には動作時の燃料消費量が段違いに増えることもあって換装中止は当然だったんだが。フィールドエンジンは、あのガルガンチュアの質量・エネルギー相互変換炉あっての話だから」


補助としてもフィールドエンジンは付けてないよとクスミは答える。


「それじゃ、この跳躍前後の燃料消費量の少なさって、どうしてです?私も、随分前は仮装駆逐艦の戦術コンピュータでしたからね。この船の総合燃費の良さは異常ですよ」


プロフェッサーが、ため息と共に愚痴を言う。

どうやら、自分が搭載されていた昔の仮装駆逐艦の燃費と比べて、あまりの違いに軽く落ち込んでいるらしい。


「プロフェッサー、まあ、そう自分を責めるな。これにゃ、ちょっとした理由がある」


「おや?着陸と発進時のアシストだけじゃなく、通常航行まで何かやってると?さすがに跳躍航法時には、我が主のサイコキネシスも干渉できないでしょうが」


「ふっふっふ……プロフェッサーくん、超空間だって干渉は可能なんだよ、実は……まあ、直接の干渉は出来ないんで、間接的にと言うことなんだが。通常航行で、光速度に近づくと物体の見かけの重さが増えるってのは知ってるよな」


「はあ、それが物体が光速度を超えられない理由でもありますよね。例えば、光子ロケットが実用化したとしても、それは光の99.9999……と、いくら頑張っても光に届かない、と。光速度に近づけば近づくほど、見かけの重さが無限に重くなっていくから、限界として光速度で無限の質量に達するという事になりますよね。光子フォトンそのものには質量がないため、その縛りは受けませんが、それ以外の物質は、どれだけ軽い質量であっても光速度で無限大の重さになると」


「そう、それ。それじゃ、例えば、だよ。目に見えない力で、それを軽くできるとしたら?」


「な、何言ってるんですか、我が主。もしかして、サイコキネシスで宇宙船そのものを持ち上げて軽くしてるとか?」


「正解。具体的に、どうやってるのかは俺も分からんが、みかけの重さを軽くして見たらどうなる?って興味本位でな、通常航行中の宇宙船を持ち上げるイメージでサイコキネシスバリアで囲んでみた……どうなったと思う?」


「光速度の99%以上の速度で飛んでる宇宙船の、みかけの重さが減った?」


「当たり。これが燃料消費に莫大な恩恵となってね。通常航行時、半分も燃料を食わなくなったとさ」


発進、着陸、通常航行のどれも燃料消費が大幅に減ったなら、超空間への突入時にも衝撃が減ることに繋がり、結果として通常の3倍近い燃費向上につながった、らしい。


「わが主……あなたという人は……神に近いほどになってる力を、なぜに無駄遣いするんでしょうかねぇ……」


今度は、心からため息をつく、プロフェッサーだった。


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