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大マゼラン雲 風雲記 その6

おおまかには、この回で大マゼラン雲編、終了です。

(その後の話は当然、この回には入りません)

しかし、その後の話、どうしようかなぁ?

色々と案はあるのですが、一つに絞りきれなくて。


俺達が「教会」を情報・経済面から絞り上げて、もう一滴の資金も出ない(使えないように凍結したのと、資金の流れを断ち切ったのが効いたみたいだね)ようにしてから一週間。

俺は、最後に「教会」の悪逆非道な行いの中心人物の顔を見てやろうと、中央大教会にやって来ている。


金の切れ目が縁の切れ目。

「教会」にいた、下働きや司祭以下の者達は、とっくに中央大教会にはいなくなっている。


がらーん、とした広々した空間に、それまでは結構な重厚さで権威を象徴していたのであろう銅像や石像が、何の意味もなしに置かれている。

(銅像は、鋳潰そうとしたんだろうが、あまりに重すぎて動かせなかったんだろうな)


金や銀で作られていたのであろう像が乗っていた台の上には、もう何もない。

去る人々により、台から撤去され、それまでの給金代わりに鋳潰されてしまったんだろうな。


いやー、自分でやった成果ながら、ここまで効果的だとは思わなかったよ。

俺は、人のいなくなった空間(ホールだったんだろうね、ここ。人気がないと寂しいもんだ)を、建物の奥へ向かって歩きながら、そんな感慨に耽っていた。


しばらく歩くと、中央大教会の「これより一般信徒、入ること厳禁」と書かれた札が目に入る。

当然、護衛も以前はいたんだろうが、今は誰も俺を止めるものなどいない。


ご丁寧に大きく作られた扉を開けて、ご禁制の空間に入っていく。

あ、襲撃があるかも知れないから気をつけてくださいね、とはフロンティアやプロフェッサーから口うるさく言われていたので、サイコバリアくらいは張っているよ。


物理的には、今の俺を殺そうと思ったら小惑星並の質量兵器ぶつけるか、テラワット級のレーザービームでも浴びせなきゃ無理だね。

それからしばらく歩く。


ついに「教皇」と書かれてある扉に突き当たる。

神殿とか、聖なる部屋とか書かないのは、俗世にまみれた邪教だから。


扉をあけて、中に入る。贅沢な造りだ。

一般市民や、騙された信徒らの浄財を、こんなバカな事に使いやがって!


部屋の中を眺めているだけでムカムカする。


「誰だ?まだ教会に残っていたものがいるのか?我の望みを聞いてくれないか?」


声がする方へ振り向く。

ああ、醜い法衣に包まれた、まるまる太った豚野郎が、ここにいたわ。


「教皇様とお見受けします。お初にお目にかかります。「教会」を、ここまで追い込んだ、張本人です。もう、二度とお目にかからないでしょうが、あなたの教会組織を破滅に追い込んだ「敵」の顔くらい、お見せしようかなと思い、ぶらりとやって来ましたよ」


俺の言葉に、少しは残っていた敵愾心がうずいたのか、腹が減って動けないはずの肉体に鞭入れて教皇は立ち上げった。

少しは見なおしてやろう、今だけ。


声を上げるのも辛いのだろうが、それでも教皇としての最後の意地か……


「よかろう、最後の最後に、宿敵の顔が見られて余は満足だ。1つだけ聞かせてくれ……なぜ、なぜに「教会」を、ここまで追い詰めた?そなたの技量なら、組織をそっくり乗っ取ることも容易だったろうに。壊滅させては旨味も何も無かろう?」


はあ……

こいつ、どこまでも「豚野郎」だわ。


最後の最後に、宗教の最高指導者が吐く言葉じゃないぞ、それは。

俺は教皇に言い聞かせるように、声を少し張り上げて話す。


「教皇、あなたは骨の髄まで腐りきってますな。私は「教会」が、まともな宗教教会であれば何もしませんでした。それを、宗教組織でありながら「教会」は、人身売買、奴隷許容、暴力礼賛……もう、宗教組織と呼ぶのも馬鹿らしいものでした。私は、こんなものがこの世にあってはならぬと思ったので、叩き潰したまでです。ちなみに私、創造主は信じますが、神などという者は無いと思ってますよ。この宇宙は、生命体が手を取り合って生きていくのが自然だと思ってます」


「は、ははは、そ、それだけの事で、この「教会」を破滅させたのか……そなた、神の使いを名乗っていたそうだが、神の使いでは無かったという事だな?」


「そう!この宇宙、大マゼラン星雲の者ではない。我は銀河系より、やってきた」


「人に非ずという事なら、同じようなものか。そなた「教会」を破滅させて、次は何を目論んでおる?」


「私には、この大マゼラン星雲を平和な宇宙にするという大きな目的がある。今回は、ゴミ掃除だ」


それを聞いて狂ったように笑う教皇に、後から来た星系警察組織の者達がお縄をかける。

はー、終わったかなぁ……


まあ、教皇と最後に会話してたのは俺一人だったんで、当然に、参考人として同行を求められる。

教皇の衣服にも触っていない俺なんで、会話の内容を聞かれたのだが、ここは真実を話してやる。


相手が信じるか信じないかは、別だけどね。

30分位で「もう行って良いよ」とか言われたんで、信じてもらえなかったんだろうなぁ……


無理もないけど。


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